01) ハジャイの前景

第一話)　ハジャイの前景

2018年 7～8月、南タイのハジャイを拠点として周辺の街々を訪ねた。
タイ在住の ASEAN-T を中心とした成員で、南タイを廻るツアーに出たのだ。
ハジャイには、2015年にバンコクでの休日を共にした、DS 夫人と AI が住んでいる。
二人を訪ねて旧交を温めると、二人の住む団地にほど近い IDO Boutique に宿を取った。



[タイ国鉄ハジャイ駅近くの団地，ハジャイ，南タイ]　(2018)


ハジャイに着いてすぐに、タイ国鉄ハジャイ駅の跨線橋から、二人の住む団地を撮影した。
写真の前景は、右上部に僅かに写る二人が住む団地であり、バンコクへ向かって延びる鉄路と、駅構内に停車する車両とは背景である。
この時の、関心の対象領域は二人が住む団地であり、鉄路と車両ではない。
そして写真に収められた前景と背景とは、一体的に合成されるものではなく、対象の集積でもない。



[タイ国鉄ハジャイ駅近くの団地 1号棟 2階の廊下，ハジャイ，南タイ]　(2018)


二人が住む団地に到着すると、二階の廊下を南側から北側へ向かって撮影した。
一番手前の左側に写ったドアが、DS 夫人と AI の住む 2DK の部屋のドアだ。
ここでの関心の対象領域は、団地の構造，長く続く廊下の情景，各部屋毎の装飾であり、二人の住む部屋はそれらの一部を成している。
団地を初めて訪ねて二階の廊下を眺めた時には、対象の集積だったのだろう。
これが一体的合成へと進むのは、現象の理解が進んで対象領域が整理されるのを待つことになる。


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