14) 泠龍と共に滝へ向かう | BIG BLUE SKY -around the world-

14) 泠龍と共に滝へ向かう

第十四話) 泠龍と共に滝へ向かう

Erika の部屋で朝食をとる。
近所のお店で買ったという中華風のお粥は、とても美味しい。
今度はお店に行ってみることにしよう。

「 今日は滝へ行きましょう 」

タイの人々の休日の代表的な娯楽である、滝遊びに行くことにした。
バンコク近郊のパトゥムターニーから、友人一家の滝遊びに同行したことがある。
滝は、瀬音涼しく木陰豊かで、水遊びをするも良し、森林浴をするも良し、熱帯の休日を過ごすのにこれ程良い場所は無い。
ニュー・サクラ・ホテル先のスパ店頭のベンチに、一時間後に集合とした。



[中庭のキッチン横で遊ぶ猫,ハジャイ,南タイ] (2015)


スパに着くと、Erika がトゥクトゥクを一台捕まえて待っていた。
トゥクトゥクで、スパのヘアケア嬢とその友人を迎えに行くと、二人はまるで日本の会社の寮のような集合住宅に住んでいた。
彼女たちにそう言うと、確かに以前は日本メーカーの寮だったらしい。
一通り見回しても、日本の会社名を窺い知ることは出来なかった。

ヘアケア嬢の友人の、右腕内側の手首と肘の間には、漢字のタトゥーが見える。
"冷龍" に見えたが、よく見ると "冷" の字が、にすい (冫) ではなく、さんずい (氵) で彫られている。
"泠龍" だ。
龍を泠す (さとす),泠い (きよい) 龍、そのような意味だろうか。


どのような意味かと聞くと、"Cool Dragon" という答えが返って来た。
おそらく中国語で彫ったのだろうから、"冷 lěng" ではなく "泠 líng" の方なのだろう。
カッコイイを意味する "Cool" の中国語訳が、"泠 líng" なのかも知れない。



[滝へ向かう道中,ハジャイ郊外,南タイ] (2015)


日本では馴染みが薄い漢字なので、間違っているように見えて仕方がない。
Erika にそのように言うと、なんと本人に私の言葉を伝えてしまった。
すると泠龍嬢は、嬉しそうに私に礼を言って来た。

Erika に何と言ったのか聞くと、「 日本人にも難しい良い意味の字で、とても素晴らしいと褒めた 」 と言う。
意訳が過ぎるが、間違いではない。
今日も長い一日になりそうだ。


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