08) 人魚像とロティ・サイマイ | BIG BLUE SKY -around the world-

08) 人魚像とロティ・サイマイ

第八話) 人魚像とロティ・サイマイ

Erika は、一旦酒を飲みだすと止まらない。
間断なく話し続けて、Lung と警官氏を圧倒した。
ビールを飲み、カニとエビを摘まみ、Khrong Thip を燻らせながら、間断なく話し続ける。
昼食の時間はとうに過ぎ、周囲の席にはもう誰もいない。

Erika の相手は Lung と警官氏に任せて、ビーチを散歩する。
遠くの方に人魚の像が見えて、人が集まっているのが見えた。
レストランの店員によると、ソンクラーの象徴の人魚像で、とても美しいから見に行くといいよと言う。
席に戻って、人魚像の方へ行こうと誘うと、意外にも三人ともに応じた。
既にビールで酔った警官氏の運転で、岬の先端へと向かった。



[岬の人魚像,ソンクラー,南タイ] (2015)


ロータリーで車を止めて、雑貨屋でウィスキーと水と氷を買う。
芝生にレジャーシートを敷くと、Erika と警官氏はウィスキーを飲み始めた。
この国では、酒酔い運転は取り締まりの対象ではないのだろうか。
警官氏に聞くと、大丈夫だと答える。

「 人魚の方へ行きましょう 」

ヒジャブを被った女学生の一団が、人魚像の周りで記念写真を撮っている。
どこの国・地域でも、女学生の一団は本質的な賑やかさを見せる。
観光用の馬が行き交うビーチには、ヤシの木の影が長く伸びて、砂の惑星デューンを思い出す。



[岬の夕景,ソンクラー,南タイ] (2015)


「 あれを買いましょう 」

物売りのご婦人から、ロティ・サイマイを購入する。
ロティ・サイマイとは、クレープのような薄皮ロティで、縦長の細い綿あめサイマイを、巻いて食べるスイーツである。
ハジャイ,ソンクラーでは、道端に屋台を多く見かけるポピュラーなスイーツだ。
Erika は、私にはロティ・サイマイを勧めながら、間断なくウィスキーを飲み続ける。

Erika と過ごす一日は長い。
既に日は傾き、ヤシの木の影はさらに伸びて海にまで届く。
今日もまた長い一日になりそうだ。


< to INDEX >

 [#1051]