01) ハジャイからのメッセージ | BIG BLUE SKY -around the world-

01) ハジャイからのメッセージ

第一話) ハジャイからのメッセージ

2015年 7月、バンコクでオフタイムを迎えた。
Fashion-Island のカフェを出て、2階駐車場の喫煙所で煙草を燻らせると、熱帯特有の甘く湿った空気がぬめるように頬を通り過ぎて行く。
シンガポールへ行くまでの数日間を、どのようにして過ごそうか。
あまり良いアイデアは浮かばないので、このままバンコクでぶらぶらすることになりそうだ。
地下一階に降りて足マッサージを受けていると、不意にメッセージが届く。
 

「 今ハジャイにおります。よろしければいらっしゃいませんか。心よりお待ちしております 」


二年振りの Erika からのメッセージだった。
このメッセージに、Erika が横浜にいた頃を思い出した。
不思議と、特別な目的も無く関内周辺にいると、電話がかかって来る。
有隣堂,喫茶金馬車,會星楼 ...  どこかで見ているかのように電話がかかって来る。
そして店にやって来た私を見ると、満足そうな表情を見せた。
今日のようなことが有ると、彼女は関内周辺と同様に、ここバンコクにも網を張り巡らしていて、私はまたもやその網に、絡め捕られてしまったように思える。



[タイ国鉄 ハジャイ駅] (2007)  よく見るとマレーシアの駅かもしれません


「 南タイのハジャイで仕事をしておりますので、お時間のある時に是非いらしてください 」

彼女は、私が南タイを訪ねたことが無いことを、覚えていたようだ。
(正確には、マレー鉄道で通り抜けたことは有る)
シンガポールへ行くまでの数日を、南タイのハジャイで過ごす。それは良いアイデアだ。


「 OK 明日午前中の飛行機で行くよ 」
「 到着時刻をお知らせください。エアポートでお待ちしております 」

 

もう一度、2階駐車場の喫煙所へ行って煙草を燻らせながら、Erika とメッセージを交わす。またしても、Erika の張った網に絡め捕られてしまったようだ。



[バンコクの常宿 Synsiri Resort の飼い猫] (2014撮影)



バンコクの常宿 Synsiri Resort に戻って、明朝のタイ・スマイルズ便を予約する。
二年振りに旧友に会うのが楽しみだ。

いつものように 7-11 隣りの定食屋で夕食を取り、Synsiri 1階のテラスで猫と遊んでから部屋に戻り、ベランダで大通りの車を眺めながら煙草を燻らせると、Fashion-Island で買った土産品の仏画をバッグの中へ丁寧に収めた。


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