#03-02 横浜シェルガーデン '82/難波弘之&SOW | BIG BLUE SKY -around the world-

#03-02 横浜シェルガーデン '82/難波弘之&SOW

BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0201_sow19821217
[横浜シェルガーデン/難波弘之 & Sense Of Wonder] (17-Dec-1982)


1. 飛行船モルト号
2. セムリの首飾り (Rendezvous 6:02)
3. 都市と星
4. シリコン・ラブ
5. 空中の音楽
6. ロスト・ラブ
7. ベース・ソロ
8. キーボード・ソロ
9. パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
10. トロピカル万国博
11. メッセージ
12. 百家争鳴
13. ドラム・ソロ
14. シルバーグレーの街
アンコール
15. ナットロッカー
16. リングワールド


Sense Of Wonder のライブを観たのはこの時が 4回目。その前の 3回はゲストを迎えていたので、トリオによる公演はこれが初めてだった。メンバーは、難波弘之 (Key,Vo),そうる透 (Ds),荻原基文(MECKEN) (B)。ベーシストが、オリジナル・メンバーの田辺モット 氏から荻原氏へと、交代して間もない頃である。

セット・リストは記憶頼りだが、大体合っていると思う。確かこの日は、アコースティック・ピアノ曲 "夢中楼閣" ,"ホスピタル" は演奏しなかった。もしかすると、シングル曲 "キー・ステーション",新曲 "晝の夢" は演奏したかもしれない。また、アンコールは "ナットロッカー" ではなくて、"アルジャーノンに花束を" だったかも知れない。多少の記憶違いは、30年前のことなのでご容赦願いたい。

横浜シェルガーデンは、元町商店街を抜けて本牧への曲がり角に建つ、バンドホテルの別館 2階に在った。'82年頃のオープンで、横浜のロック系ライブ・ハウスでは、最も新しく収容客数が多かった。

公演前の楽屋からは、そうる透氏の豪快な笑い声が響く。難波氏のフサフサ・ヒラヒラした衣装を見て、「ミルマスカラスみたいだ~」 と言って笑っていた。"東京おとぼけCats" で知られた そうる透氏は、100点セットと称するドラム・セットを駆使して、物凄い手数で桁外れに大きな音を響かせる。その明るいキャラクターと相まって、Sense Of Wonder では、難波氏と双頭と言える存在感を示していた。
新加入の荻原氏は、田辺モット氏に比べて地味な印象を受けたが、難波氏が 「新しいベーシストの、荻原君です」 と紹介すると、一人多重奏での長いベース・ソロを聴かせたのが印象に残っている。

この日の難波氏は、ギターのように肩にかける所謂ショルダー・キーボードを二種類使用した。いつものリモート・プロフィットに加えて、もう一台、見慣れない小型の試作品のようなものを持ち出して来た。これは、光センサへの入射光量で音程が上下するカスタム品で、難波氏のファンが自作・提供したと聞いた。鍵盤は何とテンキーで、"トランジスタ技術" と "秋葉原電気街" の匂いのする逸品だった。ライティングによる演出とともに、音程を高低ポルタメントさせながら、難波氏は誰にも真似の出来ない演奏をした。
また、UK の "Rendezvous 6:02" を、"セムリの首飾り" と題した日本語の歌詞で歌ったが、この歌詞もファンから提供されたものだった。
("セムリの首飾り" の歌詞は、アーシュラ・クローバー・ル=グウィン氏 (Ursula Kroeber Le Guin) の同名の短編 SF 小説を題材としている。ル=グウィン氏の代表作は "ゲド戦記" )
これらのエピソードから分かるように、当時、本当に多くのプログレッシブ・ロック・ファンが、難波氏を応援していたのだった。


BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0202_sh101&cx3
[Roland SH-101 & KORG CX-3 ]  + KORG DELTA & YAMAHA CP-30 が当時の私機材でした


さて先の記事 で書いたように、当時、キーボード・トリオで活動していた私は、演奏上の課題解決へのヒントを得ようとして、難波氏のライブへと足を運んでいた。そこで私が得た答えは、演奏テクニックや作・編曲力よりも、最も重要なことはロック・スピリットだということだった。
ロック・スピリットを言葉で表現することは難しい。敢えて言うならば、前頭前皮質の意識と大脳辺縁系の情動 ... 受容体・神経細胞・肉体への刺激 ... その全てで構成されて、Sense Of Wondr を湧き立たせ、駆り立てるものだ。
この時期、私が次の段階へと進むことが出来たのは、難波氏のお蔭であることは間違いない。30年を経て尚、鮮明に記憶に残るライブが、そのことを証明している。

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