12) 木の根に彫った象
12) 木の根に彫った象 Numerous Elephant Images Carved in Wood
ワット・ロン・クン前の十字路の斜向かいにある食堂で、ラーメンを食す。
一杯 15THB (≒46JPY)。
ワットには大勢の観光客がいるが、食堂はガラガラ。
皆、どこで食事をしているのだろうか。
食事を終えてバス通りに向かう途中で、前方に大きな木の根が置かれているのが見えた。
珍しいなと思って近付いて行くと、何やら彫刻が施されている。
近付いて見ると、無数の象が彫り込まれていたのだった。
[木の根に彫った象] (2010)
象は、ねじれた鼻を伸ばし、身体を寄せ合って、苦悶の表情を浮かべているようにも見える。
木の根の元の形状を活かして、数え切れないくらいの象が配されていた。
タイを代表する芸術家による白亜の寺 ワット・ロン・クンのすぐ近くに、おそらくは無名の作者の手による木の根に彫った象が、ただ打ち置かれていることに衝撃を受けた。
[木の根に彫った象] (2010)
ワット・ロン・クンの本堂へと向かうスロープの両側には、天に向かって伸びる無数の灰色の手が有った。
木の根に彫った象の苦悶は、無数の灰色の手にも勝る迫力であった。
この国の文化の奥深さを感じるとともに、おそらくは無名の作者に畏敬の念を覚えた。
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