#02-09 There and Back/Jeff Beck | BIG BLUE SKY -around the world-

#02-09 There and Back/Jeff Beck

BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0211_thereandback
[There and Back/Jeff Beck] (1980)


Side A
1. Star Cycle
2. Too Much to Lose
3. You Never Know
4. The Pump
Side B
1. El Becko
2. The Golden Road
3. Space Boogie
4. The Final Peace


'80年に発表された、Jeff Beck インスト路線 4作目 "There and Back"。
アルバム・カバーは、ギター・ケースのペイントを模したもので、そのギター・ケースを提げて歩く Jeff Beck の写真を、インナーに見ることが出来る。
LP のスリーブにはエンボス紙を使用して、ギター・ケースの雰囲気を醸していた。

Jeff Beck は、'78年に Stanley Clarke (B),Tony Hymas (Key),Simon Phillips (Ds) とともに来日公演を行っている。
このメンバーでの新作を期待したが、Stanley Clarke は参加しておらず、英国人の Mo Foster (B) を起用していた。
Jan Hammer (Key) は、冒頭の 3曲に参加している。

"Blow by Blow" と "Wired" は Funk 色が濃い Jazz Rock であったが、"There and Back" は Rock 色が強い作品に仕上がっている。
インスト路線 4作目にして、Rock 的で聴き易い曲調へと路線転換を図った作品と捉えることが出来る。
Stanley Clarke との双頭作を制作していたとしたら、おそらくは "Wired" の延長線上にある Jazz Funk 的,Return to Forever 的な作品になっていただろう。
その作風では、'80年の作品には相応しくなかったと思う。


BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0214_modernman
[Modern Man/Stanley Clarke] (1978)  Jeff Beck 参加 "Rock 'n' Roll Jelly" 収録


そんな "There and Back" は、発表当時、多くの話題を振りまいた。
以下、その幾つかを紹介します。

① "Star Cycle" のシーケンサー
… Jeff Beck がテクノに踏み込んだのか? 時代の音を取り入れたのか? と話題を呼んだ。
"Star Cycle" をレコーディングしたのは '78年なので、その時点でリリースされていれば、時代を先取りした音になったことは間違いない。

② Jan Hammer のシンセ・ベース
… A-1~3 のシンセ・ベースが大きな話題を呼んだ。
"Wired" の "Blue Wind" で既にシンセ・ベースを披露しており、ベース・ギターでは成し得ないドライブ感で曲をリードしていたので、何を今更の感があった。
周りを見ても、Chick Corea や Bernie Worrell が、見事なシンセ・ベースを既に披露していたので、何を今更である。
Bernie Worrell のシンセ・ベースがうねる Parliament の "Flashlight" がヒットしたのは、'77年のことだった。
もっと、Chick や Bernie のシンセ・ベースを評価して欲しいと思う。


BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0212_funkentelechy
[Funkentelechy Vs. The Placebo Syndrome/Parliament] (1977)  シンセ・ベースがうねるヒット曲 "Flashlight" 収録


③ Simon Phillips のドラミング
… "Space Boogie" での脅威のドラミングで、スターダムに駆け上がった。
疾走するドラミングは、この曲が 7/8拍子であることを感じさせない。
Simon Philips のドラミングは、Brian Eno や Phil Manzanera と活動した 801 (Band) での "801 Live" ('76)、ドラマーが脱退した Judas Priest にサポート参加した "Sin After Sin" ('77) で聴いていたが、Jeff Beck,Stanley Clarke との活動で、人気・実力ともに大きくステップ・アップしたのだった。
隠れた名盤、"801 Live" での Simon Phillips のドラミングも、是非多くの方に聴いて頂きたい。

④ Tony Hymas のピアノ
… "El Becko" や "Space Boogie" のピアノが、物凄く新鮮に聴こえた。
これまでの Jeff Beck のアルバムで聴かれたのは、Max Middleton の Electric Piano や Jan Hammer の Mini-Moog だったので、アコースティック・ピアノの響きが堪らなく新鮮であった。
"El Becko" のイントロ、"Space Boogie" のピアノ・ソロは、大変に素晴らしい。

番外 私的エピソード
… 私は "El Becko" が大好きで、バンドで演奏したいと思っていた。
"There and Back" と同じ頃にリリースされた Yes の "Drama" 収録曲 "Into the Lens" もまた気に入っており、バンドで取り上げたいと思っていた。
いつしか、私は、これらの 2曲をくっつけて一緒くたにして演奏するようになった。
この珍妙な二個一アレンジでのカバーを主張したのだが、他のメンバーには変てこだと受け入れて貰えなかった。
残念。


BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0213_801live
[801Live/801] (1976)  Simon Phillips 参加作品


'60~'80年代の Jeff Beck の作品で、近年一番聴いているのはこの "There and Back"。
現在も Jeff Beck のステージで演奏される曲が多い名作です。

(Jeff Beck officcial site: http://www.jeffbeck.com/ )


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