#02-08 Night After Night/UK | BIG BLUE SKY -around the world-

#02-08 Night After Night/UK

BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0201_nightafternight
[Night After Night/UK] (1979)


Side A
1. Night After Night
2. Rendezvous 6:02
3. Nothing to Lose
4. As Long as You Want Me Here
Side B
1. Alaska
2. Time to Kill
3. Presto Vivace
4. In the Dead of Night
5. Caesar's Palace Blues


'79年の日本公演を収録したライヴ・アルバム "Night After Night"。
私は、10代の頃に UK のコピー・バンドを組んで活動していたので、UK には特別な思い入れが有る。

"Night After Night" の発売日、学校帰りに購入して、急いで家に帰って LP に針を落とす。
「UK, UK, UK, … 」 というファンの呼び声が歓声に変わった瞬間、一曲目 "Night After Night" のイントロが始まり、パワフルな演奏に圧倒される。
ここで展開されていたのは、まぎれもなくキーボードをメインとしたロック演奏だった。
プログレ,演奏テクニック云々といった論評を吹き飛ばすような、圧倒的なロックであった。

2曲目 "Rendezvous 6:02" は、一転して大変美しいピアノのアルペジオで始まる。
2コーラス目が終わると 5拍子のピアノ・ソロが始まる。
演奏は徐々にクレッシェンドして行き、シンセ・ソロに移るころにはダイナミズムと音空間の広がりは無限大となっていた。
ポルタメントの効いたシンセ音が、大地と天空を往復する。
ソロが終わるとイントロのアルペジオ・リフが再び訪れ、ハッとする美しさとともに現実に戻される。
これ以上ない場面転換だ。
イントロ・リフが 7/8拍子でも、ソロが 5/8拍子であっても、そんなことはどうでもよい美しさ。

B 面ラストの曲 "Caesar's Palace Blues" まで一気に聴いて、私が演奏すべき音楽はこれだと思った。
正に求めていたものが現れたのだ。
こんなロックを演奏したいと思った。

それから 2年半後に、私はキーボード・トリオを結成し、UK 楽曲をレパートリーの中心として約 1年間活動して、6回の LIVE を行っている。
"Night After Night" 収録曲では、A-4,B-3 以外の全曲を演奏した。
右には Piano,Organ,Mono-Synth の 3段積み、左には Poly-Synth を 2段積みにして、L 字型にキーボードをセットして、観客席側をオープンにしてマルチ・キーボード・プレイを見せ付けた。
プログレッシブ・ロックの聖地 吉祥寺 Silver Elephant への出演が、1年間のハイライトであった。


'79年に "Night After Night" を聴いて書いた感想メモを、以下に引用します。

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A-1: Night After Night  新曲。Eddie と Terry により 32分音符のリフが繰り返される (イントロ以外では、頭 2拍が 5連符となる)。非常にパワフルな演奏。実に色々な種類の Key の音が聞こえる Eddie のロック的 Organ Solo が珍しい。

A-2: Rendezvous 6:02  イントロの Piano は Flanger の効いた音で輪郭をぼかす (イントロだけ)。Terry は 7/8リフのバックで Hi-Hat と Triangle とを同時にプレイ。感動的・大々的に盛り上がる 5/8拍子の Key Solo から、7/8リフに戻ったところの場面転換にハッとさせられる。3コーラス目のバックで John が繰り返し弾くフレーズが耳に残る。Best Track。

A-3: Nothing to Lose  スタジオ Version と違って、Eddie は Hammond Organ で終始ハードにリズムを刻む。前の 2曲もそうであったが Eddie と Terry によるコーラスが美しい。Eddie は Key から Violin に持ち替えて Solo を弾く。バックの Bass は、音の厚みを確保するためと思われる音数の多いリフである。曲間に変な日本語が出てくると、聴いているほうが恥ずかしい。『君達サイコだね』 ???

A-4: As Long as You Want Me Here  新曲。つまらない。

B-1: Alaska ~ B-2: Time to Kill  4人編成時代の曲であるが、Allan の Guitar はメロディ,Bass とのユニゾン・リフを弾いていただけだったので、3人でも大きな違いは感じられない。所々で効果音的シーケンサー音列が流れる。スタジオVersion を凌ぐ,強烈にドライヴする Violin Solo が秀逸。

B-3: Presto Vivace ~ B-4: In the Dead of Night  これも 4人編成時代の曲。イントロの Key リフは単純三和音 (Am-G-F-G),歌伴では (Em-D-C-D) だがシンフォニカルで新鮮な響き。B-4の Key Solo は Allan の Guitar を意識したかのようにも聴こえるが、スピード感に欠けた変な Solo。

B-5: Caesar's Palace Blues  Eddie は、Effect の効いたハードな音で Violin を弾きまくる。だが Violin 以上に Terry の Drumming が強烈に曲を印象付けている。

全体を通しての印象
・Terry の Drumming が素晴らしい。
・Terry,Eddie の演奏はパワフルでヘビーであるが、John の Bass の音質がやや弱くてよく聞こえてこない。
・Eddie のキーボードは、スタジオでオーバーダビングしていると思う。
・名盤。
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Best Track と評した Rendezvous 6:02 は最も好きな楽曲で、ハンドル・ネームはこの曲名から拝借したものです。
皆さんに聴いて頂きたい名曲です。


以下は、'86年のスタジオ日記からの引用です。
… スタジオでの休憩時間中にアップライト・ピアノで Rendezvous 6:02 を弾いていた。すると Bassist が反応した。私のピアノに合わせて、曲を特徴付ける Bass のグリッサンド・フレーズを弾いたのだ。ピアノ・ソロのバッキングの 5拍子リフも聴こえた。弾き終わって、特に言葉は交わさなかったが、互いに微笑みを交わしたと思う。彼は Funk Bass を得意としているが、Soul Music はプログレッシブ・ロックだったようだ。後に、その Bassist の友人から、Rendezvous 6:02 を弾いて欲しいと頼まれたことがある。スタジオには Rhodes しかなかったので、申し訳ないが Rhodes で弾いた。迷彩服に身を包んだ Bassist の友人は真剣に聴き、演奏が終わると感動しましたと言って握手を求めてきた。私だけではなく、多くの人の胸の中で Rendezvous 6:02 は響き続けている。


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