#01-11 DIE 2/NEU! | BIG BLUE SKY -around the world-

#01-11 DIE 2/NEU!

BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0111_die2
[DIE 2/NEU!] (1973)


Side A
1. Für Immer (Forever)
2. Spitzenwualitat
3. Gedenkminute
4. Lila Engel
Side B
1. Neuschnee 78
2. Super 16
3. Neuschnee
4. Cassetteo
5. Super 78
6. Hallo Excentrico !
7. Super


白地にグレーの NEU! のロゴ、その上にショッキング・ピンクで大書きされた数字の "2" に目が惹き付けられた。
レコード屋で見かけた LP が、どうにも気になって仕方がない。
青い帯には 『ノイ! 電子美学』 とあり、曲名には空間美学,倒錯美学のように意味深な邦題が付けられている。
Jean Michel Jarre や Isao Tomita のようなシンセサイザー・ミュージックか?
何の予備知識も無く、いわゆるジャケ買いをしたのは、これが初めてだった。

期待を込めて LP レコードに針を落とすと、A 面 1曲目はフェード・インして来るギターのリフで静かに始まる。
いきなりワウ・フラッター気味に音程が揺れている。
ドラムとベースが加わり、ギターも次第に激しさを増して行く。
限りなく 8つ打ちを続けるバスドラに、延々とコードを刻み続けるギター、ノリの良い 8ビートが続くかと思うと、突然サウンド全体にエコーやフランジャーがかかり、バンド・サウンドは雲の向こう側に見え隠れする。
延々と続く衝撃的なサウンドにぶっ飛んだ。

B 面は更に強烈だった。
スクラッチ・ノイズで始まり、同じ曲がテープ・スピードを変えて何度も現れる。
曲名に付いている 78,16は、アナログ・レコード用の、ターン・テーブルの回転数を表していると思われた。
Super 16 は 33 1/3 RPM (回転/分) のレコードを 16 RPM で再生した状態、Super 78 は同じく 78 RPM で再生した状態のサウンドなのだろう。
16 RPM は呻き身悶える感覚、78 RPM は無理やり巻かれたゼンマイに弾き飛ばされる感覚に囚われる。
ライナー・ノーツに、「B面が異常に聞こえる人のプレイヤー・システムは正常です」 と注意書きが有る理由が分かった。
(注) 16 RPM は、米国車のカー・ステレオ用ターン・テーブルとして流通していたらしい。78 RPM は SP 盤ですね)


BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0112_transeuropeexpress
[Trans-Europe Express/Kraftwerk] (1977)  NEU! の二人が在籍していたのは'71年


NEU! はドイツのバンドで、Klaus Dinger (ドラムス他) と Michael Rother (ギター他) の二人組。
特有のバスドラ 8つ打ち連打は、"ハンマー・ビート" と呼ばれている。
当時はジャーマン・プログレなどと呼ばれていたが、現在ならばテクノ,オルタナティブ,エレクトロニカに分類される音だろう。
二人は初期 Kraftwerk のメンバーで、Kraftwerk 脱退後に NEU! を結成して、'71~'75年に 3枚のアルバムを製作している。
『電子美学』 は 2作目で、1作目 (NEU!) には 『宇宙絵画』、3作目 (NEU! '75) には 『電子空間』 という、何だかひねり過ぎた邦題がつけられていた。
すぐに他のアルバム 2枚も購入して、一時は NEU! ばかり聴いていた。
まともなロックを聴いて来た 1~2年の経験は、NEU! に完全にぶっ飛ばされてしまった。
色々な音楽を偏見なく聴くことが出来るようになったのは、NEU! によるものが大きいと思う。


BIG BLUE SKY    ~旅の空の下で~-0113_returnofwax
[Return of Wax/Lee "Scratch" Perry] (1975)


後に Lee "Scratch" Perry のダブを聴いた時に、NEU! のようなサウンドだと思った。
Lee Perry は、ダブのことを X-RAY ミュージックと称していた。
表面を削ぎ落として、レゲエ・ビートの骨格を露にしたという意味のようだ。
NEU! のサウンドも、8ビート・ロックに X-RAY を当てて、様々な角度からサウンド・エフェクトで加工したものと捉えることが出来る。

私は、今でも NEU! と Lee Perry の作品を並べて聴くことが多い。
そして、ニュー・ウェーブ以降に大きな影響を与えた、'70年代のドイツとジャマイカに思いを馳せるのだった。

(NEU! official site: http://www.neu2010.com/ )
(Lee "Scratch" Perry official site: http://www.lee-perry.com/ )


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