の続きです。
胃瘻造設をして、食べず、話さず、天井だけを見て過ごすことの多い利用者を見てきて、これではいけないと思いました。
なので、入院して胃瘻造設をして戻られた利用者には、身体の状態が落ち着いてから、口から食べられるような取り組みをしました。
まずは、ご本人に食べる意欲があるかをみること。例えば、食事の時に食堂に来てもらい食べたそうな様子があるか、しっかり覚醒している時間があるか、など日頃の様子を観察していきます。
次に口腔ケアをしてどれくらいの嚥下能力が残っているのかをみます。
病院と違って、さまざまな機械がある訳でもなく、また万が一誤嚥性肺炎を起こしたら治療も出来ないので、ひとつひとつ手探りでやっていました。
次に、薄めたジュースで作ったゼリーを飲み込めるかをみます。
ゼリーをスプーンに一口飲み込むところから、状況を見ながら少しづつ量を増やし、50cc程度のゼリーを安全に飲み込めるようになったら、トロミのついた水分が飲み込めるかを見てみます。
これで、どの程度のトロミがつけば誤嚥なく飲めるのか、もしくはトロミつきの水分は誤嚥してしまい飲み込めないのか判断します。
もし、トロミつきの水分が飲み込めるようであれば、ゼリーと並行してトロミつきの水分の嚥下訓練も行います。
毎日、毎日、少しづつすすめ、ある程度嚥下が安全にできるようになったら、ワーカーさんと協力して、食事に移れるよう関わっていきます。
まずは、人数が厚く、緊急時にも対応ができるように、胃瘻と並行して、昼食にゼリー状のものを召し上がっていただきます。
これも、3日単位とか、1週間単位とかで、口から食べる量を増やしていき、胃瘻からの栄養量を減らしていきます。
食事介助時の注意事項を他職種で共有し、
むせないか
痰がらみはないか
血中酸素濃度は?
熱は出てないか
しっかり飲み込んで、喉が動いているか
などなど、細かく、細かく見ていき、記録にとっておきます。
この記録をきちんとつけてくれたワーカーさんには頭が下がります。
たくさんの介助が必要な食事の時間に、これだけの情報を観察し、記録するのですから、大変だったと思います。
それだけ、
「本人が食べたい意欲があるんだから、出来るだけのことをしたいっ!」
という気持ちに溢れていたと思います。
もう少し続きます。