正直に言う。

 

 今まで1年ほどオアシスを推してきて、実は私は、リアム・ギャラガーの魅力が全く分かっていなかった。

 


 もっと正直に言うと、リアムがなんでファンからめちゃくちゃ人気があるのか分からなかった。歌の上手さも、カリスマ性も、リアムより断然ノエルの方が上だと思えた(これは、私がノエルファンだからだろうけど)。


 もちろんリアムの声はすごく好きで、その声の魅力は歌の上手さなんてものを超えた、もっと精神的なところにある、ということはなんとなく分かっていた。パワフルで、ノエルが作り出すメロディに合っているということも。

 


 だけど、私はリアム人気の高さが全く理解できなかった。いい声だけど、ジョン・レノンになんとなく似てるし、探せばこういう声の人いそうだし、ノエルみたいに作曲できないし(一応できるけど、あんまりしてない)…云々。すごく失礼なことは分かってたけど、そう思わずにはいられなかった。でもそんなことをブログに書けば、「こいつはリアムを全然分かってない」と言われそうで(実際そうなのだが)、書けなかった。だから、あまりリアムの話題が出せなかった。私のリアム記事の少なさが、何よりの証拠だ。

 


 しかし、ある日聴いたMorning Glory(アルバムじゃなく、曲の方)で、私はやられた。完全にやられた。


 もともとMorning Gloryは大好きで、死ぬほど聴いた曲だ。もしかしたら、オアシスで1番好きかもしれない。母に何度、「またそれ聴いてんの!?」と驚かれたことだろう。そしてあまりにも私がこの曲を流すもんだから、妹がメロディを覚えて口ずさむまでになってしまった。


 そこまで聴いても、リアムの声の魅力に気づくことはなかった。あの日が来るまでは。

 


 その日、私はベッドの中にいた。もうすぐ日付けが変わろうとしている。明日も学校だから間違いなく早く寝た方がいいのに、いつもの癖でスマホに手を伸ばし、YouTubeを開き、指はオアシスの曲名を打ち始める。そこで打ったのが、その頃あまり聴かなくなっていたMorning Gloryだったのだ。


 なんとなく聴いてみよーと思いながら再生し、あのヘリコプターの音と、超絶カッコいいイントロ。このノエルのギターに、何度魅せられたか分からない。そしていつもの通り、スマホからリアムの声が流れた瞬間…


 All your dreams are made〜♪


 !!


 え、え、え!? リアムの声ってこんなカッコよかったっけ!?


 私はあっけに取られ、スマホに耳を思いきりくっつけて、リアムの声に聴き入った。


 その途端、私は、今までリアムのファンたちがなぜリアムの声を魅力的だと言っていたのか分かった。分かったというより、感じたという方が近いかもしれない。

 


 リアムの声がどう魅力的かは、説明できない。決して上手くはないけれど、人を惹きつける何かがある。パワフルで澄んでいて、まるで神様からの贈り物のような声…こんなふうに書くことはできるけれど、書いてもあまり意味はない。聴いて感じなければ伝わらない。私だって、リアムの声の魅力の説明は何度も読んできた。色んな人の説明を、たくさん読んできた。魅力を理解したくて。リアムを、オアシスを、もっと好きになりたくて。


 だけど結局、その魅力に気づけたのは、なんとなく聴いたときだった。それまで何十回と聴いてきた曲をなんとなく聴いて、いきなり雷が落ちた。稲妻は心を貫いた。理解しようと必死になっていたときは、いくらリアムの声を聴いても、リアムの声の魅力についての説明を読んでも、稲妻なんて見えもしなかったのに。

 


 「考えるな、感じろ」とはこういうことなのだなあ、と、久しぶりに思った。リアムのおかげでそんな体験ができたよ、ブルース・リー。

 


 なんだか、前よりもっとリアムのことが好きになった。これからはもっと、オアシスやノエルのことだけでなく、リアムのことも書けるかもしれない。そう思うと、前よりさらにオアシスのファンになれた気がして、とても嬉しかった。