タイトル「永遠の愛」
「君とはもう付き合えない ごめんね」
そう言われてフラれたという昔の女が
ある日僕を訪ねてきた
彼女はいくつもの涙をこぼして
僕の机に 枯れた愛の水たまりをつくった
美しいとは思ったけれど
僕は彼女を慰めなかった
「あの人だけは
永遠に私を愛してくれると信じてた」
彼女はそう言って歯を食いしばるけど
僕だって 彼女だけは
永遠に僕を愛してくれると信じてた
「君を永遠に愛してくれる人なんていない
でも それは
誰が悪いというわけじゃなくて
移り変わってゆく日々の中で
その人が君以外の女を
知ったというだけの話」
そして
君もまた そうなのだと
「永遠の愛を紡いでいこうね」
そう言って僕の手を取ってきた女を
僕は「ごめん」と断った
彼女はいくつもの涙をこぼして
僕の手の上に 澄んだ透明の雫をつくった
美しいとは思ったけれど
僕は彼女を慰めなかった
「あなただけは
永遠を約束してくれると信じてた」
彼女はそう言って僕を睨みつけるけど
永遠を信じているなら
僕は彼女を傷付けるだろうと思った
「永遠の愛だなんて存在するわけがない
もし恋人が
何事もなく添い遂げられたなら
それは2人の世界の途中で
どちらかが命を放してしまい
別れたというだけの話」
だから
君とは一緒になれないと
僕は
「永遠があればいいのに」と…