タイトル「恋の五十音」
あなたっていう男の人は
いつも遠くで笑ってる
うしろ姿ばっかりで
えがおはなかなか見れないけれど
おおきな背中を見つめてる
かわいいね なんて言われたい
きいてみたいな 愛の言葉
くさい言葉は言いたくないと
けちなあなたは言うだろうけど…
こいっていっつも つれないな
さわさわ揺れる前髪を
しずかにかきあげ わたしの方を
すんだ瞳でじっと見た
せいじつそうなその顔を
そうっと見やれば胸が高鳴る
たいせつそうに 両の手に
ちいさな何かを抱えてる
つい気になって 覗いてみたら
てのひらに花が乗っていた
とっても可愛いあなたを知った
なみだが1粒ぽたんと落ちて
にっこりえがおが消えちゃった
ぬすまれた心を返してほしくて
ねえ、とあなたに言いかけたけど
のぞみどおりにはいかなくて…
はずかしがってちゃいけないと
ひとつ呼吸を置いてから
ふぁいと、と自分を励まして
へんな声にはならないように
ほほを染めつつ「おはよう」と
まいにち話しかけてたら
みのり始めた愛の花
むりだと思っていたけれど
めが合うことも増えたのよ
もう嬉しくて 天にも昇る気持ちだわ
やっと好きだと気持ちを伝え
ゆめにまで見たあなたの返事
よかった、想いが伝わって
らんらんらんと 道ゆけば
りんご畑の樹の下で
るりの色の目の素敵なあなたが
れんげのような可憐さ持って 立っていた
ろまんす始まる音がした
わたしはグッと せいのび
を して
ん、と くちびる突き出した
※一部、島崎藤村の「初恋」を参考にしました。