小言こぼしても季節は巡って足元に来る
いつでも前だけ向いているなんてムリさ
街路樹の一番短い枝が
水色の風を引き止めていて
それがあんまりも弱々しいモンだから
僕は思わず立ち止まり
二、三歩下がって見上げた
風は落ち葉を抱いて飛んでく
街路樹は少しさみしそうに微笑んで
僕に「もういいよ」と言った
僕ってのは天邪鬼なモンで
そう言われるとまだいたくなる
座ったコンクリートの冷たさに
その底に僕は何かを囁く
やがて小雨が降り出した
「そんなこといいのに」と言われながらも
僕は街路樹にそっと上着をかけた
きっと僕は僕さ
この街路樹に それともかあの風に
ならなくちゃいけないなんてことないよな
ずっと僕は僕さ
上着も飛ばしてしまった悪戯な風に
僕はキスした
ありがとうございました!