【営業のルシフェルさん ver1.01】

Case:令二

尻尾の先の三角形。
背中に生えた黒い翼。
服なのか皮膚なのか、とにかく黒い全身。
喉の奥を鳴らすように笑う度に僅かに覗く牙。
今ボクの目の前に居るのは確かに悪魔だ。
絵に描いたような、あきらかに絵そのものの悪魔だ。
あまりにそのまますぎてペタペタ触ったら怒られてしまった。

「なぁ、叶えたい望みは無いか?」
あぁ、やっぱり悪魔だ。
「魂と引き換え?」
「チッ。最近はやりにくいぜ」
「あははは。やっぱりそうなんだ」
ボクが笑うと悪魔は不機嫌そうにコチラを見る。
「でよ、叶えてやるよ」
「うん。でもさ、見ての通りでボクはこの病院のこの病室。そしてこのベッドから動けないんだ。望みなんか…」
そこで言葉に詰まった一瞬を悪魔は見逃さなかった。
きっとトップセールスの営業マンってこうなんだろうな。
ボクは思わずそう考えていた。
「ククク、あるんだろ。言ってみろよ」
楽しそうだ。
「うん。ボクを殺せる?」
「無理」
即答だった。
「叶えられない望みもあるんだ」
期待はずれという表情をあからさまに浮かべてみた。
悪魔はどんな反応をするのだろう。
「あのな、叶えた望みで死んじまったら魂の回収が難しくなるんだよ。この業界も手続きとか縄張りとか色々複雑で面倒でな。サクッと叶えてサクッと回収!これがウチのモットーなんだよ」
言ってる意味がイマイチ分からなかったけど、多分『割に合わない』という事なんだろう。

「初めは死神が殺しに来たのかと少し期待したんだ」
ボクの言葉に悪魔は明らかに不快な表情を見せた。
「死神と一緒にされるのは面白くないな。あいつらは寿命の予定表を元にして回収に行くだけの集金係みたいなモンよ。俺たち悪魔は言ってみりゃあ、一発勝負の訪問営業。どこの世界でも飛び込みってのは大変なんだぜ」
しみじみという感で語る悪魔はそれなりに苦労をしているのだろう。
「で、どうして死にたい?」
ボクが考えている間に悪魔が言葉を続けた。
「ボクが生きてると皆に迷惑が掛かるんだ」
「ああ、入院費とかか?」
「うん。治る見込みも無い病気の治療は高い薬とかも必要で、ウチにはもうお金が無いんだ。お兄ちゃんは学校を辞めてボクの治療費の為に働いている。お姉ちゃんは修学旅行を諦めたし、小さな弟はおばあちゃんの家にずっと預けられているんだ。お兄ちゃん、学校の先生になりたかったんだ・・・」
「なるほどな。お前が死ねば万事解決って訳だ」
悪魔は何度も頷いている。
「だから死にたい」
「それは無理なんだけどよ、お前、病気を治したいとかって願ったりしないの?」
「あ・・・」
ボクは何度も瞬きをして悪魔の顔を見た。
顔が熱くなる。
きっと真っ赤になっているに違いない。
恥ずかしいのだ。
「悲劇の主人公気取ってるから死ぬことしか考えないんだよなぁ。『病気を治して下さい!』ってすがってくるのが普通だぞ」
悪魔が痛いところをついてきた。
ボクはますます赤くなった。
「ケケケケケケ」
悪魔は悪魔っぽく笑うと「どうよ?」と言って顔を近付けてきた。
「・・・きたい」
「ん?」
「生きたいです!」
ボクは泣きながら叫んでいた。
ずっと死んだ方が良いと思っていた。
こんな身体で生きているから家族に迷惑を掛けている。
自分さえ居なければ。
そんな思いがボクから生きるという選択肢を忘れさせていた。
この悪魔に言われてボクは初めて『生き抜きたい』と強く思った。
そして悪魔はボクの言葉に微かに笑った。
それは魂さえも凍るような冷たい微笑みだった。

「さて、お客様。では改めて私、ルシフェルと申します」
ルシフェルと名乗った悪魔は名刺を差し出した。
受け取った名刺には『(有)堕天使商会 営業課 ルシフェル』と書かれてあった。
「有限なんだ」
「零細企業ですからねぇ。でも今日日有限会社は老舗の証ですよ。下手な株式よりも実績はありますからお任せ下さい」
ルシフェルさんはそう言うと契約書を取り出した。
「それでは今回のご契約の説明をさせて頂きますね。ご契約商品は生命満期回収型となっております。お客様の願望成就の暁、ご寿命を全うされた後にお客様の魂をこちらで回収させて頂きます。詳しくはこちらの約款をご熟読下さいませ」
「あのう、口調が突然変わりましたね」
「それはもう、お客様には失礼の無いよう心掛けておりますから」
ルシフェルさんはニッコリと笑った。
先ほどの微笑とはまるで違う。
「それではですね、こことここ、それから次のページのここに印鑑と、最初のページの枠外に捨印をひとつお願いします」
手際良く鉛筆で丸を囲む。
「契約は血判とかじゃないんだ」
「お客様も古いですねぇ。イマドキの悪魔はそんなことをしませんから」
ルシフェルさんはまた笑った。
笑ながらもボクが押す印鑑の場所をじっと見ている。
全ての捺印が終わると素早く用紙を取り上げて鞄にしまった。
「では審査の後、契約は明日の正午より有効となりますのでよろしくお願いします」
「審査ですか?」
「ええ、こちらの内部的なものです。契約に際し説明をしたかとか、強制の類が無かったかとか・・・ま、そんな内容ですから間違いなく契約は成立しますのでご安心下さい」
「そうですか。じゃあ治りますね」
「もちろんです。それではまた、遠い未来にお迎えに伺います」

夢を見ていたのだろうか。
何もすることの無い病室。
治る見込みの無い病気。
幻想か妄想か、白昼夢に違いない。
悪魔とか契約とかあり得ない話だ。
現に今、目の前に居たはずの自称悪魔は何処にも居ない。
もうすぐ夕方の回診だ。
検温をして血圧をみて、いつも通り同じ。
そんな退屈が見せた夢だろう。
そう思った。
翌朝の検査までは。

先生は何度も首をひねり、診察室に呼ばれた母さんは泣きじゃくって白衣にすがりついていた。
ボクは何故かそれを他人事のように眺めていた。
「令二、あんた治ったんだよ!あんたも早く先生にお礼を言いなさい」
母さんは何度も何度も先生に「ありがとうございます」と繰り返していた。
先生はやはり首をひねるばかりで戸惑いを隠せない様子。
ボクはなんだか可笑しくなって笑い出してしまった。
お母さんはそれを咎めると、ボクの頭を押して下げるともう一度「ありがとうございます」と言った。

あれから80年以上が過ぎた。
与えられた命で懸命に働き、小さな会社を興し、十分な財を成した。
親兄弟には多少なりとも恩返しが出来たと思う。
その父も母も随分前にこの世を去り、兄と弟も他界した。
姉はまだ存命だが今は施設で暮らしている。
そして今、私は病室のベッドの上にいる。

妻と子供達をはじめ、沢山の孫。
私の名を呼んでいる。
医者が激しく胸を押す。
ああ、もう最期なのだ。
私はよく生きた。
もう目は見えていない。
呼び声も遠くなってきた。
そんな中、ハッキリと感じる存在があった。

迎えが来た。

黒いフードを被り、闇を宿したような眼窩。
大きな鎌をを握るその手は骨だった。
ルシフェルさんではない。
「吉澤令二だな」
声とも音ともつかない呼び声だった。
ルシフェルさんが絵に描いたような悪魔なら、こちらは絵に描いたような死神だった。
「死神が来ても私が差し出すべき魂はありませんよ」
そう答えると「往生際の悪い」と死神は呟いた。
「私の魂は契約で悪魔に差し出すことになっています」
「いや、お前の魂は今日刈り取り、天へ送ることになっている」
死神は目録のようなものを確認しながら私に言った。
「おかしい。ルシフェルさんとの契約で私の病気は完治したんだ」
「ルシフェル、堕天使商会のルシフェル課長か?」
白骨のドクロの顔が訝しげな表情を浮かべた気がした。
「当時はヒラだったよ」
私が小さく笑うと死神は何かを唱えながら魔法陣を描いた。
魔法陣が紫色に光ると中からルシフェルさんが現れた。
「なんだよリッチー」
ルシフェルさんは仏頂面で死神を見た。
そしてすぐ私に気付くと「これはお懐かしい」とベッドの脇へ来てくれた。
「ルシフェルさん、この死神の方に私達の契約の話をして差し上げて下さい」
私がそう言うとルシフェルさんの表情が雲った。
「実は、あの契約は無効になっております」
「えっ、ですが私は翌日には病気も治り今日まで生きる事が出来たんですよ」
「はい、それが問題なのです。契約の開始は正午からだったのですが、お客様がご快復なさったのは午前中。せめて検査が午後に行われていたなら我々としても契約の履行を主張出来たのですが、午前中の記録が残ってしまっている以上は私達の契約の結果ではなくお客様ご自身の力となります。ですからこの契約は自動的に無効となりました」
ルシフェルさんは深々と頭を下げると魔法陣の中へ消えて行った。
「納得したか?」
問い掛けに頷いた私に死神は言葉を続けた。
「どんな理由があろうと悪魔との契約で差し出された魂は輪廻の輪を外れるのだぞ。行き着く先は永遠の煉獄。再び巡る時にはこの様な真似は絶対にしてはならん。もっとも、いつかまた生まれ来る時にはこの記憶は無いのだかな」
「はい」
私は畏まって返事をした。
「では、しばし魂を休めるといい」
死神がその大きな鎌を振り下ろすと全てが闇に閉ざされた。



「ルシフェル、おまえがやったんだろ」
「さあな。ただよ、人の為になら自分の命を差し出そうなんて純粋な魂はマズイんだよ。やっぱり適度に欲望のサシが入ってないとよ」
「あまりやり過ぎるなよ」

闇に閉ざされて全てが消え去る一瞬、そんな会話が聞こえた気がした。





星新一先生リスペクト作品

【鍵 ver.1.01】

ドアは開いていた。
差し込んだ鍵は何の抵抗もなく回り、薄っすらと抱いていた不安を増殖させる。
その不安を振り払うように強くドアを開けた先には絶望があった。
いや、正確には何も無かった。
昨日まであったオフィス家具も電話も、そして何より信頼していた友人の姿も全て無くなっていた。

取引先で偶然再会したのは学生時代の友人だった。
仕事に行き詰まっていた僕は彼の話す独立の話に乗って共同経営で事業を起す決意をした。
1ヶ月の準備期間。
いよいよ来週から開業の予定だった。
資本金として1千万円。
僕は貯蓄の全てを彼に預けた。
それが昨日の話。
その晩に開業の前祝いをしたいと思い、彼に電話をしたが繋がらなかった。

そして今、僕は全てを失っていた。
抑えようの無い怒りに鍵を持つ手を握り締めた。
手のひらに食い込んだ鍵から血が伝い落ちる。
力の限りに投げつけた鍵は乾いた金属音を部屋に残して床に跳ねるだけだった。

我を忘れる程の怒りを抱いていた時は良かった。
怒りの次に来た感情は不安と後悔。
仕事も辞め、蓄えも失い、友人も失った。
何も無い部屋にあった唯一が絶望だった。

何処をどう歩いたのだろうか。
真夏の陽射しの照り返すアスファルト。
夢遊病者のようにゆらゆらと歩く僕の姿はきっと陽炎のように映っただろう。
僕が今、この街をゆく人達の群れや建ち並ぶビルが蜃気楼のように見えているのと同じく。
だが時おり疼く手のひらの傷が「全て現実なのだ」と僕に囁いていた。

そうして現実に引き戻された時、視線の先にホームレスの姿が映った。
暑さを避けるようにビルとビルの隙間の日陰に腰をおろしていた。
伸びきった髪と髭。
服なのか布なのか分からないものを着て、露出した腕と脚は細く痩せこけて汚れて黒ずんでいた。

どうしてか分からない。
いや、本当は分かっている。
僕はそのホームレスの前に立った。
ホームレスは何も言わず黙って僕を見上げている。
僕も何も言わずに財布を取り出すと、それごとホームレスの前に置いた。
数千円の中身しか無いが、このホームレスのしばらくの糧になるだろう。
僕には必要の無いものだ。
僕はそのまま目の前のビルに入ると階段を登った。

幸か不幸か屋上へのドアは開いていた。
「ここの鍵も開いているんだ」
自嘲するように独り言を言うとまっすぐに屋上の縁へ向かった。
背の低い柵に手を掛けた時、背中で声がした。

振り向くとさっきのホームレスだった。
「これは何のつもりだ?」
僕は一瞬何を言われているか分からなかった。
こういう時は「バカな真似はよせ」とか「早まるな」とか「悩みがあるなら相談に乗る」とか言われるのが普通な筈だ。
いや、それもドラマとかの話だから、初めての飛び降りをする僕が普通とか言うのはおかしいのかもしれない。

僕が何をどう答えて良いか言葉を見つけられずに戸惑っている間にホームレスは目の前に詰めていた。
そして財布を差し出し「これは何のつもりだ?」と再び言った。
「俺はホームレスだが乞食ではない。アンタに金を恵んで貰ういわれはない」
怒気を含んだ言葉に僕は思わず謝ってしまった。
そして差し出された財布を受け取ろうと手を出すと、今度は財布を引っ込められた。
僕の腕は宙で空回りすると、そのままバランスを崩してホームレスの前に倒れ込んだ。

僕はホームレスを見上げた。
先ほどとは真逆の光景だ。
ホームレスは僕の前にしゃがみ込むと鍵を差し出した。
「俺は乞食ではない。だからアンタにこれを売る」
僕は勢いに押されて鍵を受け取ってしまった。
「これは?」
「鍵だ」
鍵なのは分かる。
「何の鍵でしょうか?」
間の抜けた質問だった。
「知らん。古雑誌を集めるのにゴミ箱を漁っていたら挟まっていた鍵だ。アンタにそれを売る。そしてこれは釣りだ」
ホームレスは再び財布を差し出した。

財布と鍵を受け取って明らかに困っている僕を置いてホームレスは去って行った。
去り際に「合うドアを見つけたら幸せになるかもな」と言葉を残して。
財布を開けると中身は空だった。
僕は鍵を手に屋上を後にした。
もうすっかり死ぬ気は無くなっていた。

試しに屋上のドアに鍵を差してみた。
当たり前だが回らなかった。
我ながらバカだと思ったが、なんだか可笑しくなってきた。

騙されてサラリーマン人生全ての貯金を失って鍵を投げ捨てて、財布の中身の全てを渡して何の鍵か分からない鍵を手にして回るわけ無いのに差し込んでいる。
あまりの馬鹿馬鹿しさに笑いが込み上げて来た。
笑うとなんだか力が湧いてくる気がした。

この日から僕は鍵穴を見掛ける度に回し始めた。
町中の鍵を回したが結局合う鍵穴は無かった。
様々な町や国へ行って鍵を回す為に新たな職に就いた。
旅費や生活費が無くては鍵穴探しは出来ないからだ。
休日や終業後は鍵穴探しに没頭した。
無用な残業をしないよう、日中は昼休みすら惜しんで働いた。
全てはこの鍵でドアを開ける為だ。

そうしてもう何年も探して来た。
鍵とはなんと奥深いものか。
あのギザギザの山ひとつ違うだけで全く別のもの。
いまだに僕は鍵を開けられずにいた。
会社ではMr.定時のあだ名までついていた。

ある日、僕は社長に呼び出された。
残業をしないことを咎められるのだろうか?
毎年毎年、有給休暇を全て消化して(鍵穴探しの)旅行をしている事を叱られるのだろうか?
クビになってしまうと鍵穴探しは困難になるかもしれない。
僕は暗い気持ちで社長室のドアを叩いた。

結果、ここでの話は僕の鍵穴探しを終了するきっかけとなった。
社長からの話。
これを受けるなら鍵穴探しは諦めなくてはならなかった。

社長室での話に戻そう。

社長は僕を見るなり来客用の応接ソファーに座らせた。
畏まる僕の向かいに腰を下ろした社長はMr.定時のあだ名について口にした。
「君はMr.定時と呼ばれているそうだね」
「はい。お恥ずかしい話、そう呼ばれているようです」
「どうして残業をしないのかね」
社長の口調は至って穏やかだ。
「絶対に残業をしないわけではありませんが、可能な限りは定時の就業時間で全ての仕事を終えるように配分しています」
「なるほど・・・」
社長はそう呟いて少し黙った。
時間にして1、2秒。
『クビだ』
きっとそう言われると思い身を固くして言葉を待った。
「気に入った!」
社長は膝をポンと叩いて笑顔で僕を見ていた。
「残業をしないで全ての業務を終えている君はとても勤勉で有能だ。実は私の娘が君を気に入っているんだ。Mr.定時。どんな奴かと思ってしばらく様子を見ていたんだよ。仕事嫌いなのかと思えばそうではない。定時で帰る為に一生懸命仕事をしている姿を見せてもらった。どうだ、君さえ良ければ娘を貰ってやってはくれんか?」
深々と頭を下げる社長に僕は戸惑いながらも「よろしくお願いします」と答えていた。

結局この鍵に合うドアを見つける事の出来なかった僕は、この鍵に合うドアを作ることにした。
そしてこのドアを玄関のドアにして小さな家を建てた。

【合うドアを見つけたら幸せになるかもな】

あれから数年。
僕は毎日この鍵でドアを開けている。
幸せかだって?

「ただいま」
「おかえりなさい、あなた」
「パパおかえり!」

幸せだよ。






『どうか一つの小さな命とひきかえに、とうはいごうを中止してください』

先日、列車に飛び込み自殺をした大阪の少年が遺したメモだ。

新聞に載せられたこのメモの文面を見て言葉を失った。
怒りと悲しみと虚無感と恐怖・・・
混ざり合った分からない感情が込み上げて唇が震えた。
そして、ようやく出た言葉が『馬鹿げてる』だった。

命の重さって何だろうか?
例えば命に物理的な重さを仮定したとして、命の重さは全て平等だとして1gとしようか。

僕らは日々、誰かの命を頂いて生きている。
魚の命、牛や豚や鶏の命。
野菜や果物の命。
飲み水にする為に浄化された微生物の命。
それらが蓄積されて僕らの命に加えられる。
それは10品食べたから10g加算されると云う訳では無い。

僕らが食べた命も、僕らに食べられる寸前まで他の命を蓄積して生きてきたのだから、その命も当然加算される。

そして、僕らが生まれるまでに紡がれた命の数々が、僕らに繋がるまで費やした無数の命の膨大な重さ・・・

だから、生まれたばかりの赤ちゃんも、子供も大人もお年寄りも、等しくその命の重さは果てし無く重たい。

だから俺は、命の重さとは、他の命を奪って生きながらえたその責任の重さだと考える。

だから、どんなに小さな命だろうと、その命を自ら捨てちゃいけない。
どんなに小さな命だろうと、その命を大切に思う人たちが居る。
どんなに小さな命だろうと、その命に代わる命は存在しない。

物語を盛り上がる為だけに失われてゆく架空の命。
死ぬことが正義だと教えた過去の時代。
自己犠牲の美徳を履き違えている世の中。

道徳を正式に教科とする動きがあると聞くが、どうか並行して『命の教育』をしてほしい。

自分の命の始まりが、お母さんのお腹の中でどんな大きさだったのか。
人間の形になるまでにどんな物語があったのか。
生まれるその時にどんな風に外に出て来たのか。

小さな命。

世の中に小さな命なんて無い事を知ってほしい。
どんなに小さな命に思えても、その命はとても大きくて、失ってしまったその存在を埋める術など何処にも無い事を自覚してほしい。


例え統廃合が中止になったとしても、そこにキミの笑顔が無ければ元の学校じゃないんだよ。

・・・そうか、書いていてようやく気付いたよ、言葉を奪ったあの感情が何なのか。
あれは寂しさだ。
人が居なくなる事への寂しさと怖さだ。


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