今日は月曜で本来なら定休日だが、小学生の頃から来てくれてるお客さんが、
『今年卒業した大学の同級生達とパーティー的なものをするので、そこに着物で行きたいから出来れば頭のセットをお願いしたいんですけど‥、無理ですか?』
と言う事だったので、朝の10時に少しだけ店を開ける事にした。
そんな大切な用事があるのに断るわけにはいかない。
しかし今日は色々と済ましてしまわなければならない事があり、スケジュールは詰まっている。
___________
1,お客さんセット
2,お義母さんを病院送迎
3,市役所に書類発行
4,書類を持ってオートバックス
5,車の羽根を売りに行く
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
出掛ける間際に嫁と、
「今日お母さんが、お父さんの病院に行かなアカンねんけど、お客さんのセットが終わったら乗せてってくれへんやろか?
市役所とか行かなアカンし、乗せて行くだけでいいから。
予定あるから、お母さんにも片道だけしか無理やで。って言うてあるし。」
『ほぅか。かまへんで。
ほな、お客さんの頭終わった時点で俺がお義母さんの携帯鳴らすわ。』
「うん。そうしてあげて。そしたら悪いけど頼むわ。」
と言う会話になっていた。
若干、親父さんの入院が長引いているのが気になっていたので、今日の予定が上がり次第、病院へ顔を出そうとも思っていた。
ここから3度目の"確率劇"への秒読みが始まって行く。
【am10:30】
それからしばらくして、頭に髪飾りを付けた女の子が待ち合いの椅子で迎えを待っている姿が見えた。
『今日は、市内まで出るんやんなぁ?』
「そうですよ。北山まで行きますよ。」
『北山ぁ!?‥また遠いな。』
「そうなんですよぉ~!
チョット遠いんですよぉ~!」
『ベロベロなったら帰って来られへんで。(笑)』
「私、あんまり酔わないんですよ。(笑)」
『‥ザルか。』
「酒飲みちゃいますぅっ!」
【am10:40】
『はっはっはっ!あ!
お母さん来てくれはったで。』
「ホンマや。 じゃぁ行ってきます。今日は休日にありがとうございましたぁ!」
そして、車の所まで送り出し、迎えに来られた親御さんにも挨拶をする。
『お迎えご苦労様です!
至れり尽くせりですね!(笑)』
〔いやぁ~ありがとうございましたぁ!
折角のお休みやのに申し訳ありませんでしたぁ!〕
『いえいえ。またお願いします!
ありがとうございました!
あ!飲み過ぎたらアカンで(笑)』
「大丈夫ですよ!」
そう言うと、2人は何回もこちらに頭を下げながら車で去って行った。
そして店に戻った俺は片付けをして、義母さんに連絡を入れた。
【am10:50】
---------------------
-----<はい!はい!>
『あ。義母さん。
今こっち終わったんですけど、何処居てはります?』
<うん!それなんやけど、今もぅ病院に来てるんやわ。仕事が終わってからあそこのバス停に走ったら、送迎バスに間に合ったんよ。>
『あぁ、そうやったんですかぁ!ほんで、義父さんの具合どうですか?』
<かなり回復してるんやわ。それで、退院はいつになるか先生に聞いてみてるんやけどな。
そやから、適当にタクシーで帰るし大丈夫やから。
ありがとう!>
『わかりましたぁ!
そしたら、僕このまま市役所行きますわ。』
と言う事で電話を切った。
あるバス停から木〇川病院送迎バスが出ているのだが、どうやらそれに乗れたらしい。
【am11:10】
俺は市役所の待合に居た。
ここで発行された書類を受けとり、そしてそれをオートバックスに届けなければならない。
《せや。義母さん迎え行かんでよぉなったんと、義父さんの回復の事を嫁はんにメールしとこか。》
そんな事をしているうちに名前が呼ばれ、書類を手にした。
そして外に出ると、今から向かう事をバックスの彼に伝えた。
【am11:35】
市役所を出る。
【am11:50】
オートバックス着。
ガレージに車を止め、早速携帯を鳴らす。
---------------------
--<もしもし!着きました?>
『毎度!
今着いて、ピット前の自販機んとこまで歩いて来たとこやわ。』
<分かりました!チョット待ってて下さい!すぐ行きます!>
『了解!』
携帯を切ると、彼の到着を待った。
【am11:55】
5分程すると、全力で走ってくる彼の姿が見えた。
『あ!
ゴメン!ゴメン!何回も!』
「いえいえ!こちらこそ何回も足運んでいただいて!」
『書類、こんで良かった?』
「OKっス!」
持って来た書類を手渡し、後は他愛もない雑談で少しの間盛り上がり、
『ほな、後の手続きは宜しくお願いします。』
「了解っス!」
後の手続きは彼に託し、オートバックスを後にした。
【pm12:15】
オートバックスを出る。
自宅へ向かって車を走らせながら、次の予定を頭で確認しながら段取りしていた。
《一旦帰って昼飯食って、それから羽根を積んで病院に顔出してから、羽根売りに行こか。》
そんな事を考えながら、最後の交差点に差し掛かった。
直進しても右折しても自宅には帰れる。
直進ルートなら国道と広目の府道を直線で繋いだだけのコース。
スピードは乗るが、交差点が2ヶ所ある。
右折ルートなら、直線と曲がりくねった狭い府道1本だが信号が無い。
俺は右折ルートを取った。
【pm12:23】
曲がりくねった府道へと
入りしばらく走った時に、見慣れた白い車が前方から走って来る。
【pm12:25】
すれ違う瞬間、ドライバーを確認した。
『‥‥‥あ。』
嫁の親父さんだった―‐‐‐
~fin~
