夫が言うには、私と出会ったのは去年の9月15日ということだった。
なぜ日付まで正確かと言うと、夫が私とのomiai内でのメッセージ画面を全てキャプチャーして保存していたからである。
付き合ってから、「なんでそこまで正確に覚えているのか」聞くと、「気持ち悪いと思わないでね…」と言い、30枚ほどのキャプ画面を見せてきた。
夫は「アプリを退会するとこれまでの質問や回答が分からなくなり、何度も同じ質問をしてしまうのは失礼だと思ったから、LINEに移行した人のキャプを撮ってる」と言っていた。
私は気になっている人から同じことを何度も聞かれても「私に興味を持ってくれているんだ」と思い、失礼とも思わないが、夫のことを律儀な人だと思った。
9月15日、その日から私たちはほぼ毎日、往復1通以上のLINEのやりとりをしている。
単身赴任故、それは結婚した今でも続いている。
さて、本題だが、夫はバツイチである。
前妻との間に子はない。
前妻とは1年半ほど交際し、色々あって結婚して3ヶ月で婚姻関係は破綻した。
元々前妻のことは付き合った当初から”やばいヤツ”とは思っていたらしいが、彼が結婚の為に転職をしており、両親にも啖呵を切って絶縁覚悟で婚約したので、婚約破棄だけは避けたかったとのことである。
私は前妻の写真すら見たことがないので、どんな人か知らない。
そのため、夫から聞いた情報だけで前妻の人格を否定することは不公平であることも重々承知している。
私の経験上、離婚した男性と女性を比較すると、女性よりも男性の方が元配偶者のことを卑下することが多い気がする。
元彼氏もバツイチで、その傾向があったが夫ももれなくその一人だ。
バツイチ男性がどれだけ元配偶者のことを悪く言おうが、結局結婚に踏み切ったのは自分の意思なので、よっぽど腕利きの詐欺に遭ったなどではない限り、結婚というものは”自業自得”という面が大きいのである。
それを考慮して上で夫の前妻の話を聞いていたが、
・両親に挨拶に来なかった。
・高価な婚約指輪をねだってきたのに、一度も指を通さずダイニングテーブルの上に放置していた。
・生活費を一切出さず、貯金の額も開示せず、同棲中の家賃や水道光熱費、食費に至るまでほぼ全て夫持ちであった。
・家事も一切せず、休日は推し活で家にいない。会話もない。結婚してからの夫婦生活はほんの数回であった。加えて、二人ともアラサーであるのに、自由でいたいからと子作りを拒否された。
この辺りの前妻の行動は上記を逸脱している。立派な有責配偶者である。
「いや、なんでこんな女と結婚したんだよ。」というのが正直な感想である。
前述の通り夫にも理由はいろいろあったかもしれない。
しかし、話を聞くところによると彼女は交際時点ですでにその片鱗を十分見せていた。
夫に面と向かって「それは、そんな人を選んだあなたの自業自得です。」とは言えないし、同情もするが、夫は楽観的だったのか、前妻を信じたかったのかもしれない。
ただ、外見がとても好みであったことは聞き及んでいる。
「この人を逃したらモテない自分には次のチャンスが訪れないかもしれない。」そのような、半ば依存的な思考回路であったのかもしれない。
それにしても選ぶ人間違えすぎだと思うが。
3ヶ月で堪忍袋の緒が切れた彼は、前妻に自分の分の署名押印した離婚届を持たせ、家から追い出した。
そして約2ヶ月後私と出会った。
結局離婚が成立したのは私と出会った前日だったらしい。
入籍の再判明したが、私は7月と聞いていたのでもう少し早く離婚成立は9月だと言って欲しかった。
気持ちは変わらないが、心持ちは少し変わる。
つづく