問題にぶつかったらばらばらにするんだ、世界を細かく分解すればいい・・・幼いころからわれわれはそう教えられる。これで複雑な議題や課題やテーマも一見取り組みやすくなる。しかし、その裏に潜む莫大な代価をわれわれは支払うことになるのだ。なぜなら、行動のもたらす結果をもう予測できないからである。つまり、より大きな統一体とつながっているという実感が失われてしまうのだ。そこでわれわれは「大局を見よう」として、頭の中になる断片を寄せ集め、全部のかけらを項目に分け、意味あるまとまりを作ろうとする。しかし、それはむなしい。割れた鏡の破片を寄せ集めて正しい映像を見ようとするようなものだから。こうして、やがて人は全体をみる努力をすっかりあきらめてしまう。「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p9 ピーター・M・センゲ



ラーニング・オーガニゼーションが可能なのは、実際、だれもが学ぶものであるからだ。幼児に学び方を教える必要はない。何も教えなくたっていい。幼児は根っから好奇心旺盛な学習名人である。歩くのも、話すのも、家じゅうを走り回るのもひとりでに覚えてしまう。ラーニング・オーガニゼーションが可能なのは、このように学ぶことがわれわれの本性であるからだけでなく、好きだからでもある。「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p10 ピーター・M・センゲ



新しいアイデアは、その有効性が実験室で実証されれば「発明された」と技術者は言う。だが有意義な規模と現実的なコストで安定した複製ができてはじめて、そのアイデアは「イノベーション」となる。それが電話とかデジタル式計算機、商業航空機のように十分な重要性を持つ場合、「ベーシックイノベーション」と呼ばれ、新たな産業を生むか、既存の産業を変容させる。「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p13 ピーター・M・センゲ



システム思考

雲が広がり、空が暗く茂り、植物の葉が反り返る・・・するともうじき雨だとわかる。そして嵐が過ぎれは、雨水は何キロも先の地下水をうるおし、空は明日には晴れるのをわれわれは知っている。こうした出来事は、時間も空間もかけ離れた現象なのに、すべてが同じパターンの内部で結びついている。それぞれが残りの部分に影響を与え、その影響はたいてい目には見えない。嵐のシステムを理解するには、パターンの個々の部分ではなく、全体を考慮しなければならないのだ・「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p14 ピーター・M・センゲ



自己マスタリー

高い習熟を身につけた人は、彼らが特にこだわりをもつ結果を安定して実現することができる。要するに、芸術家が作品に向き合うように人生に向き合う。みずからの人生をかけた学習に心から取り組むことによって、それはかのうになる。「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p15 ピーター・M・センゲ



共有ビジョンの構築

リーダーシップに関して数千年もの間幾多の組織を導いてきた一つのアイデアがあるとすれば、それは、達成すべき将来のイメージを共有することであろう。・・・(中略)・・・本物のビジョンがあれば、人々は学び、力を発揮する。そうせよといわれるからではなく、そうしたいがゆえに。「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p17 ピーター・M・センゲ



共有ビジョンを作るのに必要なものは、お義理ではなく心からの参加と献身を育む共通の「将来像」を掘り起こす技術だ。経営者たちはこれを習得する中で、どんなに善意であれ、ひとつのビジョンの押し付けは生産性を阻害することを学ぶ。「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p18 ピーター・M・センゲ



ディシプリン(学習し習得するべき理論および技術の訓練)を実践するとは、生涯学び続けることだ。「ゴールに到達する」ことは決してない。一生かけて修得に励むのである。学べば学ぶほど、自分の無知を痛感するようになる。このように企業は、優秀さの永続する境地に達したという意味で「優秀」であることはできない。いつでも企業は学習ディシプリンを実践している状態に、すなわり、よくもなり悪くもなる状態にあるのだ。「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p19 ピーター・M・センゲ



高邁なビジョンだけでは会社の運命を逆転することはできない。システム思考を持たなければ、ビジョンの種は荒涼たる土壌に落ちる。システムなき思考がはびこれば、ビジョンを育てる第一条件が満たされない。すなわち、自分たちのビジョンを将来実現できるという心からの信念がそれである。「われわれのビジョンは達成できる」と口にはするかもしれない。しかし、今の現実をだれか他人がつくったものとしてみる暗黙のイメージが、その言葉を裏切るのだ。

「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p20 ピーター・M・センゲ



企業自体の繁栄だけでなく、社員の福利と成長にも心を砕くような、分権化し、階層的でない組織「最強組織の法則・・・新時代のチームワークとは何か」 p23 ピーター・M・センゲ