シカゴ大学の心理学教授M. チクセントミハイは1960年代にフロー理論という幸せに関する理論を確立しました。

図にあるのは横軸に時間を縦軸に”チャレンジ”をとってあるものです。
ここで”チャレンジ”とは、より上に行くほど難しいことに挑戦すると言う意味で使われています。

そして図は、2本の線によって”緊張””ちょうど良い・充実感のある””だるい・つまらない”の3つの領域に分けられています。

例えばテニスを始めたばかりの人は、時間としてはまだ左の方で、チャレンジもほとんどしていないので中央の領域の”充実”というところにいます。
ところがチャレンジレベルがそのままで、時間がたってくる(すなわち右へ移動する)とだんだん”だるい・つまらない”という領域に入ってきます。
(矢印①)

そこで人間はどうするかと言うとチャレンジレベルをあげるのです。
すなわち、ゲームをしたりしてより難易度の高いことをしようとする。

これによって再度充実感を感じられる領域まで引き上げられます。
(矢印②)
ただこのチャレンジレベルが高すぎると、”緊張”の強いられる領域までいってしまい、ここで不安感が出現するようになります。(矢印②の先端)

この状態から脱するためには、
1 このまま時間が過ぎるのを待つ。(時間がたって右に移動することで充実領域に移動できる(矢印③))
2 チャレンジレベルを下げて、充実領域に戻る。

の2種類の法方があります。
先の例で言えば、うまい人とやりすぎてくるしいが、がんばってそのまま続けてうまくなる(1の方法)、かもっと低いレベルのひとと試合をするかの2種類があります。

ここでこの理論のいい所は
なんとなく今の状態が不満足という人がいたとき、何が問題なのかを教えてくれます。

自分が”つまらない領域”にいる人→挑戦することを見つけない限り充実しない。

自分が”緊張領域”にいる人→そのままがんばるか、チャレンジレベルをさげることで充実できる。

自分が”充実領域”にいる人→しばらくする”とつまらない領域”に入るのでその時の準備が必要。

このように”冴えない”人生にどのようにしたら充実をもたらすことができるのかの指針を与えてくれるのです。

文献
1「Flow theory」Mihaly Csikszentmihalyi
2 「楽しみの社会学」M. チクセントミハイ (著), Mihaly Csikszentmihalyi (原著), 今村 浩明 (翻訳)
3 「フロー理論の展開」 Sekaishiso seminar 今村 浩明, 浅川 希洋志