王妃の帰還
図書館で借りてきた本です。
王妃の帰還
柚木麻子
気がつけば。
小学校も中学校も高校も短大も。
教室の中でいつも女子はいくつかのグループに分かれていた。
自然発生的に出来上がったグループなのに。
いつの時代も。
いくつになっても。
グループ間の揉め事であったり、グループ内の揉め事から他のグループに移動したり、中には渡り歩く強者がいたり。
そんな女子達を時には他人事のようにグループの外から。時には泣いたり笑ったり怒ったりしながら過ごしてきた、かつての女子が世の女性の大半ではなかろうか?
範子は厳格なカトリック系の私立の女子校に通う中学2年生。
クラスにいる、まるで女王のような美しさを持ち、女王のように振る舞う王妃こと滝沢に憧れを抱きながらも、いわゆる地味グループと呼ばれる仲良し4人組と過ごしていた。
そんなある日、滝沢が女王の座を降ろされる日がくる…。
冒頭に記した通り。
かつて女子だった大半の人達が通ってきたであろうグループという道。
中学生間のグループの渡り歩きなんて、さほど珍しいことでもないのに。柚木さんの手にかかるとこんなにも深みのあるストーリーになるのか!と、懐かしさと同時に当時の純粋さが羨ましくもなる。
1日の大半を過ごす学校という場所は、世界であり、全部であると同時に通過点に過ぎない。
その通過点で起こるアレコレこそが今の自分を作っていることを思い出させてくれる一冊。