White Xmas Story | Plots of KAT-TUN

White Xmas Story

もお~、ひぐち君を脱してからの亀梨くんは本当にきれいで可愛いです。
PVももちろん良かったんですけど、私は今週のカツカツで「White X'mas」を歌っていた亀梨くんが衝撃的にどツボでした。
あの美しさ、可愛らしさは絶対性別の壁を越えてると思うの。
ホントにどこかで一度芸能界関係の男性(ごくフツーの嗜好の方たちね)にアンケートを取ってみてほしい。
「あなたがうっかりトキメいてしまいそうになった男性タレントは?」って。
きっと亀梨くんは上位に入るような気がします。

そんな亀梨くんを見たら、どうしてもお話を書きたくなりました。
以前書いたものとカブっている部分もありますが、そのあたりは私が亀梨くんに抱いている変わらぬイメージということでどうぞヨロシク☆


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イヴの夜、男が一人歩いていた。
楽しみにしていた彼女とのデートは今日になっていきなりキャンセルされ、おまけに理由も教えてもらえないまま「さよなら」までされてしまった。
仲間たちのパーティーに参加してはみたもののやはり気分が乗らず、早々に抜けて家へ帰るところだ。

「ひでぇよな、クリスマスイヴだってのに・・・」

男は空を仰いで鼻をすすった。
都会には珍しいほどのきれいな星空だ。
はあっと大きく白い息を吐いてから視線を戻すと、2、3歩先の道路の上ににちんまりと小さな猫が座っていた。
真っ白な毛と青味がかった茶色の眼をしたその猫は、よく見るとぷるぷると震えているようだった。

「おまえ、こんな時間にこんなところでナニしてんの?寒いでしょ」

猫は男を見て聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で鳴いた。
男は何だかそのまま放っておけない気持ちになり、猫を抱き上げて服の胸元に入れてやった。
猫はまた掠れた声で小さく鳴くと不思議な色の目で男を見つめる。
男は特に猫が好きなほうではなかったが、その猫がとても可愛く思えてピンクの鼻の頭にチュッとキスをした。

するとその瞬間、耳鳴りともノイズともつかない音と共に眩しい閃光が辺りを包む。
数秒の後、男が恐る恐る目を開けてみると目の前に一人の女性が立っていた。

「ありがとうございます。私は悪い魔物のせいで猫に姿を変えられていた妖精です。あなたの優しい気持ちで元の姿に戻ることができました。お礼にあなたの望みを一つ叶えてあげましょう」

「はあ?」

いきなりのベタな展開に男は困ったワンコのように眉を八の字にして「彼女」を見つめた。

「さあ、願いは何ですか?」

「や、ちょ、そ・・・。急に言われても・・・」

「そうですか、何もありませんか。じゃ、そゆことで」

「だー!ちょ待って!」

男はさっさと帰ろうとする「彼女」の腕を慌てて掴んだ。

「なにそれ?フツーさ、もうちょっと辛抱強く聞いてくれるもんなんじゃね?」

「あるんですか?願い事?」

「彼女」はほんの少し眉根を寄せて男を見上げる。
男はそのきれいな曲線を描く眉と、その下で自分を軽くにらんでいる気の強そうな瞳にちょっと胸がドキッとした。
男はどちらかというとMだった。

「あー・・・えーっと、じゃあさ、イヴの夜にこのまま家に帰って一人でカップラーメン食うのも悲しすぎるんで、食事付き合ってください」

自分でも「しょぼい願いだな」と思ったが「いいですよ」とニッコリ微笑む「彼女」を見てまたしても心臓が大きく鼓動を打った。



二人は近くのレストランで食事をした。
男はテキーラを飲み、「彼女」はワインが美味しいと何杯も飲んだ。
外に出た時には冷たい夜風が頬に気持ち良いくらいだった。

「楽しかった」と「彼女」が言い、男もこのまま別れてしまうのはとても寂しいような気がした。
ほんのりと酔った「彼女」の頬は優しく染まり、男は「彼女」をとてもキレイだと思った。

「もうひとつだけお願いしちゃダメ?」

「内容の難易度によります」

「お別れのキスがしたい・・んだけど」

「いいですよ」

「えっ!いいの?!」

「彼女」があまりにもあっさりと了解してくれたので男はちょっとたじろいだが、そんな男の動揺にはお構いなしに「彼女」はすぐに目を閉じて男の前に顔を差し出した。

男が引き寄せられるように「彼女」に近付き、唇が触れた瞬間、またしてもキーンという音と閃光に包まれた。



目を開けると今度は一人の男がそこに立っていた。

「よっ」

「彼」は片手を軽く上げて男に親しげに挨拶をした。

「っだ・・・だれ?」

「魔物のヤツ、オレに二重に呪いをかけやがってさ、人間の男からの最初のキスで猫からオンナになって、二回目のキスでやっとオンナから本来の男の姿に戻れんの」

「はあ?なにそれ?!」

男はまたしても八の字眉でうろたえた。
そういわれてよく見てみれば、目の前にいる「彼」は紛れも無くさっきまでの「彼女」である。
髪が短くなり、身体がいくらか逞しくなり、声が低く表情がシニカルになってはいるが、パーツそのものは変わっていない。

男ははっと気付いて自分の口元を手で覆った。

「おれ・・・あんたとちすしたの?!おとこと?!」

「いいじゃん、別に。男とか女とかなんて気にすんなよ」

「や、そこはやっぱりこだわろうよ!大事なとこだろ?」

「なんで?」

「や、なんでっっって改めて聞かれても・・・」

「彼」はほんの少し小首を傾げて男の答えを待っている。
さっきまでの若干小ズルそうな表情とは一変して、邪気のない無垢な子供のような顔で男を見つめる。

(頑張れ、オレ!)

男はドキドキとうるさい心臓と格闘しながら一生懸命平常心を保とうと努力した。

「だってさ、だってさ、男と女じゃなきゃ子孫を残せないし」

「それは生物学的な体の構造の問題だろ?それよりも感情の方を優先すべきなんじゃないの?」

(あ、わかんない、わかんないよ。オレの今までの常識と価値観が崩れていくよ)

「キスしたいでしょ?オレと」

「はあ?!ばっかじゃねーの?!したくねぇよ!」

「ホントに?」

気がつくと男の目の前に「彼」の唇があった。
柔らかですべすべしていそうなベビーピンクの唇。

(・・・いっか、もう・・・)

テキーラの酔いもまだ残っていた。
男は自分の感情に流されることにした。
男が「彼」の頬に手を添え顔を寄せた途端、本日三度目の閃光が。



「またかよ。勘弁してくれよ」

そうつぶやきながら目を開けると、もうそこには誰もいなかった。

(夢???)

呆気にとられている男の頭上からくすくすと愉快そうな笑い声が聞こえてきた。

「ふふっ。あ~、面白かった」

男が空を見上げるとふわふわと白いものが舞い落ちてきた。
雪かと思い手の上に受け止めてみると、それは真っ白できれいな羽根だった。



イヴの夜、退屈な天使の暇つぶし。

Merry Xmas!