9/10 韓国ウォン

韓国ウォンは今後下落の公算も－企業や個人の海外投資・消費の拡大で
９月10日（ブルームバーグ）：韓国の観光客や企業、投資家が海外で消費や投資に回した資金は過去最高額となり、過去３年にわたりアジア通貨で最高だったウォンの上昇率が脅かされている。

韓国銀行（中銀）によれば、2004年以来ウォンがドルに対し27％上昇したことで、今年１－７月期の韓国の海外での投資・消費額は88億ドル（約9940 億円）に上った。７月には韓国企業の海外買収で過去最大規模となる、49億ドル相当での米総合機械メーカー、インガソール・ランドの建設機器部門買収を建設機器メーカーの斗山インフラコアが発表した。韓国資産運用協会によれば、年初来の外貨建てファンドへの投資は２倍以上に増加している。

韓国当局によれば、ウォン高で対米輸出の伸びは鈍化し、政府は1997年にウォンが90％下落したことを受けて導入した外為規制を緩和している。米銀大手ＪＰモルガン・チェースやオランダの銀行最大手ＡＢＮアムロ・ホールディングは、ウォンが向こう１年で約6.5％下げると予想している。

１兆9000億ドルの資産を運用する米ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのストラテジスト、ドワイフォー・エバンズ氏（香港在勤）は、海外への投資を促進する「政府は何を望むかに注意を払う必要がある」と述べ、ウォンが当局のもくろみ以上に値下がりする可能性があると警告した。

ウォンは既に上昇の勢いを失っており、対ドルで過去１カ月に1.7％下落し、１ドル＝938.10ウォンとなった。04年以来の上昇率では、17のアジア通貨で２位のタイ・バーツの16％を上回っている。対円では過去３年で34％上昇し、１円＝8.1413ウォンに達した。

ブルームバーグ･ニュースがエコノミスト24人を対象に実施した調査の中央値によれば、ウォンの対ドル相場は08年半ばまでに3.3％上昇し１ドル＝ 908ウォンを付けるとみられる。ただ、ＪＰモルガン・チェースとＡＢＮアムロは少なくとも同1000ウォンへ下落すると予想している。