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8/8 金融政策は据え置き

【米経済コラム】市場の混乱に言及も金融政策は据え置き-J・ベリー
8月8日(ブルームバーグ):ウォール街では現在と1998年8月の類似点を指摘する声が出ているようだが、米連邦公開市場委員会(FOMC)は7日の定例会合で、最近の金融市場の混乱に屈することを拒否する姿勢を示した。

今回の会合についてアナリストの間には、利下げに向けた地ならしが行われるとの予想もあったが、FOMCは政策金利を5.25%のまま据え置くとともに、「インフレが期待通りに鈍化しないリスクが引き続き政策面で最重要の懸念事項」との認識をあらためて強調した。

それでも定例会合後に発表された声明では、金融当局者が現状を注視している様子が鮮明になった。声明は「金融市場で激しい変動がみられている」と指摘したほか「一部の家計や企業にとって借り入れ条件が厳しくなっているほか、住宅セクターでの調整が続いている」との認識を示した。

声明はさらに、こうした状況により「経済成長の下振れリスクは幾分高まった」としながらも、今年下期から来年にかけて「緩やかなペースで拡大する可能性が高いようだ」との見通しを繰り返した。

98年との類似点

アナリストの間には、現在の市場の混乱と、ロシア政府のデフォルト(債務不履行)が世界中の債券市場を「行き詰まらせた」98年8月の混乱との類似点を指摘する声がある。

FOMCは98年8月に開いた定例会合で、政策スタンスを「引き締め気味」から「中立」に変更したが、今回の会合では「中立」への変更はなかった。

市場の混乱が経済全体に与える影響を確実に予想することはできないが、今回変更がなかった理由の1つは、これまでに集まった数多くの証拠が、影響は限定的なものにとどまるとの見通しを裏付けているためだろう。

これに対して98年8月は、FOMCの定例会合の直前にロシアのデフォルトが起きたため、影響の度合いを示す証拠が十分に集まっていなかった。

当時、FOMCの定例会合で決められた政策スタンスは、次回の会合まで公開されていなかったが、ロシアのデフォルトが世界の市場や経済に与える影響に金融当局者が懸念を持ち、不透明感を抱いていた様子は、ワイオミング州で同月開かれた年次経済会議で示されていた。

労働生産性の伸び停滞

98年、FOMCは政策金利を計75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げた。利上げに転じたのは翌99年の夏だった。グリーンスパン連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)のこの政策は、2000年にはじけた株式バブルを助長したとして、批判を受けた。

今回の定例会合の直前に労働省が発表した労働生産性統計は、当局者のインフレ懸念を助長する内容だった。

それによると、1-6月期の非農業部門労働生産性指数は前期比年率約 1.25%上昇にとどまった。労働生産性の伸びの停滞は、単位当たり労働コストの上昇を促すため、企業の利益を圧迫する。このため販売価格の値上がりにつながる可能性も高い。

商務省が先月発表した4-6月期の国内総生産(GDP)の改定値を基に、過去の労働生産性の伸びも下方修正された。金融当局者の間には、このところの個人消費支出(PCE)コア価格指数が月間ベースで非常に小幅な伸びを続けている事実は、インフレが低下していくことを示す証明だと受け止めることに警戒感が強まったに違いない。

アナリストの一部は、7月の雇用統計の発表を受け、米国の雇用需給は若干緩んだとの見方を強めている。非農業部門雇用者数は前月比9万2000人の増加にとどまり、失業率も前月比0.1ポイント上昇の4.6%となった。

もしそれが事実なら、FOMCは景気見通しが悪化した場合に利下げを検討することに、これまでより前向きになるだろう。

しかし現実は異なる。FOMCは市場よりも忍耐強い。インフレ率が許容水準を上回る状況を容認する方が、インフレ率を段階的に低下させるよりも、経済への長期的な負担は大きくなると当局者は信じている。

必要性があれば当局が利下げを実施するのは確実だろう。けれども、当局はまだその必要性を感じていない。(ジョン・ベリー)