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8/3 信用市場

【経済コラム】信用市場の売春宿摘発、逮捕者は無差別-M・ギルバート
8月3日(ブルームバーグ):金融市場の流動性を取り締まる警察官が、信用市場という売春宿の摘発を始めた。このなかで、売春の罪とは無関係のピアノ弾きまでが逮捕されている。世界の市場を席巻する病は、無差別に犠牲者を選び始めた。

例えば、チュニジア政府は7月初めに、円建て債を発行するため大和証券SMBCと日興シティグループを起用した。資金調達は今週完了したが、この間に調達コストは0.25ポイント近く上昇していた。つまり、デトロイトの住宅保有者が住宅ローンを払えないために、チュニジアの納税者が損を被ったのだ。

米サブプライム問題によるIKBドイツ産業銀行の損失はロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)級のシステムを揺るがす事件ではないものの、ドイツでは政府主導の救済策が取りまとめられた。アジアでは台湾の保険会社、台湾人寿が、米証券会社ベアー・スターンズのヘッジファンドへの投資のおかげで赤字に転落した。

オーストラリアでは少なくとも3つのファンド会社が苦境に陥った。ベーシス・キャピタル・ファンド・マネジメントとアブソリュート・キャピタル・グループは7月に顧客口座を凍結した。投資銀行のマッコーリー銀行は今週、2ファンドが顧客資産の4分の1を失う可能性があることを明らかにした。フランスでは株式ブローカー兼資産運用会社オッドが今週、米国の資産担保証券(ABS)市場の「前例のない」危機を理由に、合計で約10億ユーロ(約1630 億円)規模の3ファンドを閉鎖すると発表した。

ハーバード大学から中国政府までが、最近のリスク評価見直しで負った傷口をなめている。ハーバード大学はヘッジファンドのソーウッド・キャピタル・マネジメントへの投資のおかげで約3億5000万ドルを失った。中国政府は投資会社ブラックストーン・グループの6月の新規株式公開(IPO)時に同社株 30億ドル相当を購入したが、ブラックストーンの株価は以来、ほぼ5分の1を失った。

「負け組」トップ

今週の「負け組」のトップは、米住宅金融大手アメリカン・ホーム・モーゲージ・インベストメントだろう。つい半年前には時価総額18億ドルを誇った同社は今週、5600万ドル規模まで落ち込んだ。同社は「プライム」に分類されるには信用力が不十分だが、「サブプライム」に仲間入りするほどではない借り手に対する「オルタナティブ・A(ALT-A)」と呼ばれる住宅ローンに特化していた。

同社は4月に、ALT-A住宅ローン債権を買い取り証券化する金融機関からの需要は「安定化」しつつあると述べていた。だが銀行は今週、同社への融資枠を引き揚げた。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今週、ALT-A住宅ローンを裏付けとした証券について見直す方針を示した。ALT-Aローンは同社が考えていたよりも、サブプライムローンに近いことが分かったからだ。格付け会社が近年格付けしたデリバティブ(金融派生商品)の見直しを拡大させるほど、傷は広がっていく。

ゴキブリの数

ブルームバーグ・データによると、2006年初め以来、撤退や破たん、身売りに追い込まれた米住宅金融会社は少なくとも70社に上る。ニューズレター「ガートマン・レター」の編集長でエコノミストのデニス・ガートマン氏はリポートで、「ゴキブリが1匹しかいないということはまずない」という表現を好んで使う。何匹のゴキブリが現れたら、投資家は信用市場が壊れたことやデリバティブの価値暴落は避けられないこと、景気は危機に瀕(ひん)していることを認めるのだろうか。

信用市場の売春宿はここ数年、大いに繁盛し、エキゾチックな商品が並ぶ部屋へと多くの投資家を迎え入れてきた。今回の手入れで常連が次々と捕まるなかで、一見(いちげん)の客はデリバティブ市場の商品から尻込みするだろう。そしてピアノ弾きまでが逮捕されれば、音楽は止まる。(マーク・ギルバート)

(マーク・ギルバート氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)