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7/3 チャイナ経済

【経済コラム】中国経済、ハードランディングのリスク-A・ムカジー
7月2日(ブルームバーグ):思い出していただきたい。2007年は中国経済がソフトランディングする年のはずではなかっただろうか。ところが07年も半ばを過ぎ、金融引き締め策も実施されたものの、むしろハードランディングの恐れが高まりつつあるようだ。

中国人民銀行のエコノミストは現在、07年のGDP(国内総生産)伸び率を10.8%と予想している。10.8%は12年ぶりの高水準であり、2月に発表された目標値8%より3ポイント近く高い。またこれはあくまでも公の数字であり、実際にはもっと伸びが加速する恐れがある。

このことは、政策当局者が強硬な経済政策に踏み切る可能性を示唆してはないだろうか。中国株式相場が最新の景気見通しに神経質に反応しているのは、このような懸念を表しているように思われる。

中国株式市場の指標であるCSI300指数は先月29日、2.5%下落し、約1年ぶりの月間ベースでの下げとなった。

割高な中国株を手放そうとしない投資家は神経過敏になっており、ささいなことにも反応しやすい。景気変動を調整する米連邦準備制度がまだなかった19 世紀の米景気のように、中国政府の景気抑制策とは関係なく相場の急落が起こり得る。

金融政策が後手に

中国の金融政策が後手に終始していることから、ソフトランディングは恐らく難しくなった。今年、中国は2回の利上げを実施。また預金準備率も引き上げた。

ただこれらの政策は、経常黒字がもたらす流動性の急拡大の抑制につながっていない。また経常黒字の一因である、過小評価された人民元の問題も手付かずのままだ。人民元の適切な上昇が容認されない限り、金融政策の効果は表れないだろう。

すでに巨大なバブルの状態にある中国株式市場は伸び続けるだろう。株価収益率(PER)からみて、上海市場の人民元建て株は2年前から3倍も割高になっている。

インフレの抑制

中国の温家宝首相は先月、中国の金融政策には「緩やかな引き締め」が必要との認識を示した。同首相は恐らく、現在のインフレ率の水準に基づいてこのように判断したのだろう。

中国証券報によれば、07年の消費者物価は3.2%上昇と見込まれる。5月のインフレ率は年率3.4%とほぼ同水準だった。ところが、銀行の1年物預金金利は3.06%であることから、インフレ率が4%でも、預金を引き出し株式投資に充てる消費者の動きが促進されるだろう。

銀行預金

人民元建て普通預金が最近減少していることは、こうした動きが出ていることを示している。だが中国政府はそれでも、預金金利を大幅に引き上げることに消極的だ。政府はこの問題に対し、金融政策ではなく減税を通じて対処することを決めた。中国国営新華社通信は先週、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が、利子収入に対する20%の源泉徴収課税を撤廃もしくは引き下げる案を承認したと報じた。

ただこれでは大きな効果が見込めない。UBSのエコノミスト(香港在勤)、ジョナサン・アンダーソン氏は先週の顧客向けリポートで、「預金金利の0.5- 0.6ポイントの上昇では、市場の資産配分への影響はないだろう」と指摘した。

マネーサプライ(M2)

最後にマネーサプライを見てみよう。中国人民銀が流入するドルを買い支え、マネーは増加しているものの、5月のM2(現金と銀行預金)の伸び率は約 17%と、1994年の年間伸び率の約半分となった。この数字だけではマネーの急増による脅威は分かりにくい。

ただ名目GDP比で見ると中国のM2は1.77倍と、1994年の0.97倍を上回り、急増は明らかだ。

中国の当局者らは、マネーの伸びの要因が供給増ではなく需要増であることを祈るばかりだろう。なぜなら、さもなければハードランディングの準備を始めるべき時が迫っているかもしれないからだ。(アンディ・ムカジー)