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6/30 コラム

【米経済コラム】金利据え置きの鍵は「スイートスポット」-J・ベリー
6月29日(ブルームバーグ):米連邦準備制度のこのところのモットーは現状維持だ。連邦公開市場委員会(FOMC)はちょうど1年前にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25%へ引き上げたが、今月28日の会合では8回連続で金利据え置きを決めた。

その理由は、三菱東京UFJ銀行の上級金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏が今回のFOMC後に指摘した通りだ。同氏は「金融当局は5.25%の政策金利が経済のしん(スイートスポット)をとらえていると認識しており、金融政策は緩和的過ぎず、かつ引き締め過ぎでもない」と述べた。

このスイートスポットをとらえる状況と、5.25%のFF金利水準が向こう何カ月間も続く可能性は高い。失業者を増やすことなく、多くのFOMCメンバーにとって容認できる水準までコアインフレ率が低下しているからだ。

FOMCは28日の定例会合後の声明で、「住宅セクターで調整が続いているにもかかわらず、今年前半の経済は緩やかに成長したもよう。この先の経済は数四半期にわたり、緩やかなペースで拡大する可能性が高いようだ」とし、「この数カ月のコアインフレの数値は小幅に改善してきた」と指摘した。米国の1-6月(上期)の経済成長率は平均で約2%となったもようで、失業率は4.5%の水準にとどまりそうだ。

米金融当局が重視する個人消費支出(PCE)コア価格指数は4月までの1年間の上昇率が2%にとどまり、FOMCは今回の声明で前回(5月9日)の声明にあった「最近のコアインフレの数値は幾分か上昇してきている」との表現を踏襲しなかった。

昨年就任したバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の下、金融当局は昨年6月までの2年間に実施した4.25ポイントもの利上げはコアインフレの抑制に十分との計算されたリスクを取った。過剰な引き締めで不要な雇用減少を引き起こしたくなかったからだ。当局の取ったこのリスクはうまく運び、現在は物価安定と最大限の持続可能な雇用という2つの目標を達成中だ。

ラプキー氏は「ルーキーの議長にとって悪くない成績だ。現在の金融政策はまさにはまっている」と語る。

疑念は続く

それでも勝利の喜びに浸っている当局者は皆無だ。コアインフレ率が低下したとはいえ、再び上昇しないよう警戒しているためだ。今回の声明でFOMCは「継続的なインフレ圧力の抑制はまだ明確な形で現れていない。また高水準にある資源利用がインフレ圧力を維持する可能性がある」とした上で、「委員会はこうした状況にかんがみ、インフレが期待通りに鈍化しないリスクが引き続き政策面で最重要の関心事項であると判断した。将来の政策調整は、これから明らかになる情報に基づくインフレと経済の見通しの変化に左右される」としている。

つまり、FOMCには依然としてインフレ「バイアス」があるということだ。ただ、メンバーの過半数が利下げよりも利上げの公算が高いと思っているようなことは声明文からはうかがえない。実際、緩やかな経済成長が継続し、コアインフレが加速する兆しが出てこなければ、現在の政策金利水準はいつまでも据え置かれる可能性がある。

当局の注目点

それでも当局者は、金融政策が比較的長い期間をおいてから経済に影響を与えることを認識しているため、1年以上経過した後のインフレ予想に注力している。だからこそ、声明では将来の政策調整が今後の「見通しの変化に左右される」としたのだ。インフレ率が月によって上下に振れても、予想に影響を与えそうにない限り、当局にとってはそう重要ではない。

当局はエネルギー価格や、最近では食料品の上昇がこれまでコアインフレ率にそう影響しなかった事実に驚くとともに安心していた。原油価格は再びバレル当たり70ドル付近となり、トウモロコシや小麦相場も非常に高いため、その波及効果が注目されることになるだろう。

こうした背景から、FOMCメンバーが今後はコアインフレよりも経済指標として公表される物価指数に注目を移していくという見方が一部に浮上しているが、これは正しくない。バーナンキ議長以下、多くのメンバーはこれまでに、経済の行方をより深く理解するため、インフレ指標を含めたすべてに目配りすると述べているほか、コア指数が根本的なインフレ圧力の動向をより良く示してくれると繰り返している。

当局の注目点が変わると考える根拠はない。(ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)