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5/9 コラム

【経済コラム】次の新興市場危機は5年先、その引き金は-A・ムカジー
5月8日(ブルームバーグ):ハーバード大学のジェフリー・フランケル教授は、次の新興市場崩壊のタイミングに関して興味深い説を持つ。

フランケル教授によると、途上国への資本流入には15年のパターンがあり、「7年間の膨張期の後、7年間の縮小期が続く」。この2つの時期の間の1年は資本流入が突然ストップするという。

なぜ15年なのだろう。

国際通貨基金(IMF)が4月27日にワシントンで開いたグローバル化問題のフォーラムで同教授は、「15年が経過すると、トレーディングデスクには前回の暴落を個人的に体験していない人も出てくる」と指摘した。

同教授によると、最近ではこうしたサイクルが2回見られた。1つは、1973 -74年の原油価格急騰を受けて75年前後に始まったもので、7年にわたるオイルマネーの新興市場証券への猛烈な還流を受け、メキシコは82年にはじけた。その後、7年の低迷期を経て90年代初頭に意欲を再燃させた投資家が舞い戻ってきた。そのブームは再び7年続き、97年のアジア危機とともに終わった。

この論理によれば、新興市場経済の次の嵐は2011年か12年に来る。米国の信用力の低い個人向けのサブプライム住宅ローンの危機が、高リスク新興市場証券からの投資マネー流出につながるとみる向きには、失望かもしれないが。

アジア危機の再来か?

まだ、大惨事が発生するような時ではない。「早過ぎる。記憶はまだ新しい」と言うフランケル教授は、「アルゼンチンやトルコの危機はそんなに昔のことではない」と話す。

では、次の新興市場の崩壊はアジアから始まるのだろうか?アジアの軍資金は無尽蔵のようで外貨準備高は25兆ドルに上る。しかも大方のアジア諸国の経常収支は今や黒字だ。東アジアはもはや、経済成長のために海外から資金を借り入れることはせず、アジアから資本は世界に向かっている。こんな状況を考慮すると、通貨危機は全くありそうにない。

だが、ほかのリスクは残る。ルービニ・グローバル・エコノミクスのヌリエル・ルービニ会長は、「アジアでの新しいタイプの金融危機」を予想しており、過剰流動性と資産バブルがその引き金になると指摘する。

通貨のずれ

このリスクはアジアの通貨政策に起因する。中国は人民元の変動幅拡大に依然として消極的であるため、ほかのアジア諸国は西側諸国市場で安価な中国製品に市場シェアを奪われるような自国通貨の大幅上昇を容認できない。通貨上昇の加速に耐えようとしたタイは、輸出の落ち込みを回避するため、結局は資本規制に頼らざるを得なかった。

アジア通貨の安さは、ただではない。膨張するアジアの外貨準備は、マネタリーベースの拡大によってもたらされている。世界銀行の先月の報告書によると、中国の2006年のベースマネー(民間部門の保有する現金と民間金融機関の中央銀行預け金の合計)の伸びは21%と、04年と05年の平均の2倍。韓国の06年のベースマネー増加率は約20%で、その前の2年間の平均の6倍だった。

アジアがオイルマネーと日本のキャリートレードとともに、世界の過剰流動性とリスクの読み違いを助長させていることは紛れもない事実だ。

前途多難

当面は、行き過ぎが続くだろう。JPモルガン・チェースの指数によると、ドル建て新興市場債利回りの米国債に対する上乗せ幅(スプレッド)はアジア危機後の約10分の1に縮小した。

新興市場債を売りたい人は、公的債務を縮小しインフレを抑制した新興国の実績に言及するだろうし、ブラジルなどの国がドル建て債を買い戻して供給を減らしているため、高い評価は保証されていると言うだろう。

06年8月までの1年間に新興市場国34カ国のうち8カ国のソブリン格付けを引き上げた米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、「新興市場」というレッテルの定義を見直す必要性を指摘し、一部ではそれを消去する必要性にも言及している。

こうした行き過ぎた楽観論には、「バブル」という派手なネオンサインが似合う。株式にも同じことが言える。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)新興市場株指数は今週、初めて1000ポイント台に乗せた。2年半で2倍になった同指数がさらに2倍になっても驚きではない。

バブルは健在だ。フランケル教授の予言が正しいなら、今後5年間は膨張し続けるかもしれない。(アンディ・ムカジー)

(ムカジー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)