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セントルイス連銀総裁:リセッション,FOMC声明,サブプライムで発
4月2日(ブルームバーグ):セントルイス連銀のプール総裁は2日、ニューヨークでの講演後に記者団の質問に答え、米国のリセッション(景気後退)リスクと最新の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明、サブプライム住宅ローン問題について、以下のようにコメントした。
◎インフレが沈静化するとの米金融当局の予想について:
「この予想に同感だ。ただ、私は景気予測のプロではないことを強調しておく」
「この予想は理にかなっているように思われる。民間エコノミストの大方の見方とも一致しているのではないか」
「3%前後の成長が続き、完全雇用が維持され、インフレ沈静化が見られない、つまりインフレ率が低下しない場合は、ある時点でわれわれの誰かがその状況に不安を抱き利上げを提案するだろう」
「市場も同じ結論に達すると思う」
◎3月21日のFOMC声明について:
「十分に知識のある人々が声明の意図について異なる結論を引き出したということはそれ自体、声明が完璧ではなかったことを示している」
「完璧に明確な声明であったならば、知識のある人々は同じ言葉から同じ結論を導き出すだろう」
「そのような声明を工夫するのは非常に難しい」
「グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は行間を読ませようとした。バーナンキFRB議長は、市場が何もないところから行間に隠された意味を読み取ることをやめ、文言そのものを読んでくれることを目指していると思う」
◎今年の米リセッション入りの可能性について:
「リセッション予想にはさまざまなモデルがある」
「これらのモデルの予想を振り返って見ると、実際にはリセッションが起こらなかった時期にも10-15%のリセッション確率が示唆されていた」
グリーンスパン前議長はリセッション確率を3分の1としているが、「私は、前議長の予想とモデルが示す通常の10-15%の間、つまり若干可能性が高い水準だと思う」
◎FOMC声明での「インフレバイアス」について:
「景気の方向、指標がどちらに振れるかの見通しは現状において、ほぼ均衡している。しかし、当局はインフレについての目標を達成することの方を重視している。インフレ率が、好ましいと思われる1-2%の範囲を上回っているからだ。私はそのように解釈している」
◎サブプライム住宅ローン市場の混乱について:
「影響は比較的、限定されると考えている」
「サブプライム問題は銀行システムとは切り離されていると思う。サブプライム住宅金融会社は銀行とはつながりのない別の存在だ。既に破たん、または破たんに瀕(ひん)しているところは多いが、銀行による与信全体に影響を与える可能性は低い」
日銀は緩やかな金利調整を継続-短観で好調なスタート切った設備投資
4月2日(ブルームバーグ):日銀が2日発表した3月調査の日銀企業短期経済観測調査(短観)。企業の景況感を示す業況判断DIは、調査期間中の株価下落や米国経済の先行き不安もあってさえなかったが、2007年度の設備投資計画は「予想より好調なスタート」(モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕エコノミスト)を切った。家計部門の改善の兆しも示された。短観を受けて、日銀は緩やかに金利水準の調整を行う姿勢を継続するとの見方が強い。
2007年度の設備投資計画(土地投資含む)は、全規模・全産業が前年度比 0.3%減、大企業・全産業が同2.9%増と、いずれも事前予想(ブルームバーグ・ニュース調査で同2.0%減、同1.7%増)を上回った。大企業・製造業は同 2.5%増とマイナスだった2002年度以来の低い水準だったが、大企業・非製造業は同3.1%増とバブル期の1990年度(3.9%増)以来の高い伸びとなった。
三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは大企業・製造業の設備投資について「これまでのキャッシュフローの高い伸び等と対比すると少し弱い感じがしないでもない」としながらも、「全体を通しても見ると、慎重な利益計画の割にはアグレッシブな投資計画」と指摘する。佐藤氏も「次回6月短観では、製造業、非製造業ともに大幅な上方修正が期待される」と言う。
業況判断DIの悪化は想定済み
日興シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「国内総生産(GDP)上の設備投資の概念に近い『ソフトウエアを含み、土地投資額を除くベース』でみると、全規模・全産業の2007年度設備投資計画は同2.5%増となり、昨年3月調査の2006年度計画(0.8%増)を上回った。企業の設備投資意欲は依然、旺盛と言えるだろう」としている。
短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス23と前回12 月実績(プラス25)から悪化したが、「鉱工業生産が06年10-12月の反動減もあって1-3月は小幅減少が見込まれており、製造業の業況判断悪化は想定の範囲内」(日本政策投資銀行の鈴木英介調査役)。大企業・非製造業は小売業がプラス13と2ポイント悪化したが、先行きはプラス20と大幅改善が見込まれており、「家計部門は1-3月も総じて堅調に推移した」(同)とみられる。
バークレイズ・キャピタル証券の会田卓司チーフエコノミストは「雇用所得環境の改善を背景とする消費と、強い企業活動による内需の拡大に支えられ、 2007年も景気拡大は継続していく」と指摘する。会田氏はその上で金融政策については「設備投資の拡大を安定化させるためには、金利正常化を進めていかなければならないと日銀は引き続き判断するだろう」と語る。
金融政策への影響は限定的
福井俊彦日銀総裁は前月26日の参院予算委員会で、「経済がたとえ緩やかであっても着実に回復ないし拡大の過程をたどっていく場合、あまりにも低い金利がいつまでも続くという感覚が市場に定着し過ぎると、さまざまな弊害を生む心配がある」と指摘。その上で「今後の経済・物価情勢の変化に応じて緩やかに金利水準の調整を図っていくことが必要だ」と述べた。
今回の短観は、そうした日銀の姿勢を変える材料とはならなかったようだ。日興シティグループの村嶋氏は「今回の短観は、企業の業況判断の足踏みと慎重な売上・収益計画を示した一方、設備投資については着実な上向き基調が維持される可能性が高いことを示した。全体としては、市場予想の範囲内の結果であり、金融政策に対する直接的な影響はないだろう」と語る。
アールビーエス証券の山崎衛チーフエコノミストは「日銀は先行きの景気について楽観的な見方を維持し、利上げスタンスも維持するだろう。米国景気が減速局面から立ち直ったことを確認し、日本の景気の持続力に自信を持てるようになる10-12月に次の利上げが実施される」と予想する。一方、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「日銀は製造業の業況判断の悪化が一時的なものに終わると判断できさえすれば、早期利上げを模索する」とみる。
参院選前に利上げ期待も
前月22日発表された公示価格は1991年以来16年ぶりに全国平均が上昇した。今回の短観でも、大企業の不動産業の業況判断DIはプラス53と1ポイント改善。中堅企業はプラス27と4ポイント改善した。白川氏は「不動産業の業況改善は、早期追加利上げを模索する日銀にとって追い風だろう」と指摘する。
福井俊彦総裁は前月27日の参院財政金融委員会で、地価について「行き過ぎを懸念する状況にはまだ至っていない」としながらも、次のように語った。「資産価格の動向は企業や家計のマインド、あるいはバランスシートの変化などを通じて、その支出行動に影響を及ぼし得るものだ。最終的には実体経済にやはり影響を及ぼしてくる。日銀としては資産価格の動向を注意深く見ていきたい」。
モルガン・スタンレー証券の佐藤氏は「今回の短観で今後の利上げのペースが速まる印象はない」としながらも、「好調な1-3月期GDPの発表を終え、参院選が視野に入る5、6月ごろ、市場の利上げ期待はいったん盛り上がるだろう」としている。
米韓、FTA交渉で合意 自動車・農産物で歩み寄り
FujiSankei Business i. 2007/4/3 TrackBack( 0 )
【ソウル=久保田るり子】米国産牛肉や自動車関税をめぐり難航していた米韓両国政府による自由貿易協定(FTA)交渉が2日、妥結した。米国にとっては、カナダ・メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)に次ぐ大型通商協定となり、経済界からの期待は大きい。
バティア米通商代表部(USTR)次席代表、金鉉宗・韓国外交通商省通商交渉本部長をトップにした両国代表団による今回の交渉はソウルで1日深夜から行われていたが、鉱工業、政府調達、電子商取引、サービスなど幅広い分野の市場開放で合意した。
両国代表によると焦点となった自動車分野では米国が自動車部品と小型乗用車の関税を協定発効後ただちに撤廃。農産物分野では韓国側が牛肉の関税を段階的に撤廃する一方、コメを協定から除外することで一致した。
米国が要求していた牛肉の輸入基準緩和については国際機関が米国産牛肉を安全と認定した場合に韓国側が検疫手続きの見直しを検討することを約束。北朝鮮の開城工業団地で生産された製品を韓国産と認めることでも原則的に合意した。
両国の昨年の貿易額は約740億ドルだったが、FTA締結により貿易額が20~30%増えると期待されている。ただ、農民団体などによる反対デモが連日行われている韓国だけでなく、米国にも反対圧力が根強く、FTA発効に必要な議会の批准には曲折がありそうだ。
韓国側には、貿易、雇用、投資の拡大のほか、北朝鮮問題などで米国と外交安保関係を強化しようとする政治的思惑もある。米韓FTA実現に強い意欲を示してきた盧大統領は2日、交渉合意について「われわれの経済が飛躍する踏み台になることを期待する」との談話を発表した。
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■米韓FTA合意の要旨
一、米国は自動車部品と排気量3000cc以下のの乗用車の関税を協定発効後、即時撤廃。3000cc超の大型乗用車は3年以内に撤廃。トラックは10年以内に撤廃。
一、韓国は牛肉の関税を15年で段階的に撤廃。オレンジは季節関税を導入。コメは開放対象から除外。
一、米国は繊維分野で輸入額基準で約6割分の関税を即時撤廃。中国などからの迂回(うかい)輸出を防止するため協力強化。
一、「朝鮮半島域外加工地域委員会」を設置。北朝鮮の開城工業団地で生産された製品の扱いなどについて将来的に協議する。(ソウル 時事)