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2007/03/19(月)20:25
それなりの注意を必要とする米国のサブプライムローン問題
最近、金融市場では「サブプライム」という言葉に注目が集まっています。

サブプライムとは、通常の融資が受けられる消費者層(プライム層)ではなく、低所得者など信用力が低い消費者層(サブプライム層)のことを指します。連邦準備制度理事会(FRB)の調査によると、米国における年収2万5千ドル以下の低所得者層は、約3900万世帯と全世帯の4割弱を占めているので、サブプライムは、それなりに大きな市場といえます。

サブプライムに対するローンは、サブプライムローンと呼ばれます。一般に、サブプライムローンには、自動車ローンやクレジットカードローンも含まれますが、金融市場で話題とする場合、サブプライムローンは、主に米国のサブプライム層に対する住宅ローンを意味します(このコラムでも、ここからはサブプライムローンは、米国のサブプライム層に対する住宅ローンのこととします)。

金融市場がサブプライムに注目し始めたきっかけは、サブプライムローン大手のニューセンチュリー・フィナンシャルが、今月(3月)13日に取引銀行から融資の打ち切りを通告され、ニューヨーク証券取引所で上場廃止となったことです。また、翌14日には、昨年10-12月期の住宅ローン延滞率が発表され、サブプライムローンの延滞率が2002年7-9月期以来となる13.3%まで上昇したことも、サブプライムに対する市場の注目度を高めました。

サブプライムの延滞率が上昇した(ローンの焦げ付きが増えた)背景には、FRBによる利上げがあると指摘されています。サブプライムは、当初の金利は年5、6%と低いものの、数年後に10%超の高金利となるのが一般的です。米国ではこれまで、住宅価格が上昇していたため、サブプライムローンで住宅を購入しても、いずれ住宅の担保価値が高まり、サブプライムより金利の低い一般の住宅ローンに借り換えすることが可能でした。しかし、FRBによる利上げが続いたことで、住宅価格の上昇が鈍化し、サブプライムから一般の住宅ローンに借り換えできない層が増え始めました。その結果、サブプライムの利用者の返済が滞り、サブプライムの延滞率が上昇したといわれています。

金融市場では、サブプライムが注目を集めた3月14日以降、米国市場の株価は金融関連を中心に下落したほか、債券市場では長期金利を中心に低下し、ドルも小幅ですが下落しています。市場のこうした反応を目にした方の中には、サブプライムローンの延滞率がさらに上昇し、米国金融システム全体が影響を受け、個人消費を中心に景気が悪化するとの見方も出ているようです。ただ個人的には、サブプライムローンをきっかけに、米国経済が大きく悪化するような事態は起きないだろうと考えています。

先ほどご紹介した住宅ローン延滞率をみても、住宅ローン全体の延滞率は5%程度にとどまっています。サブプライムローンの信用度は悪化しているのでしょうが、米国の住宅ローン全体が不良債権化しているわけではありません。

サブプライムローンの市場規模は、それなりに大きく、融資残高は約1兆3千億ドルもあります。しかし、住宅ローン全体に占めるサブプライムローンの割合は14%程度と、さほど高くありません。また、住宅(担保)価格に対する住宅ローンの割合は8割程度ですので、仮にサブプライムローンの焦げ付きが増えたとしても、銀行など一般の金融機関の経営に大きな影響を及ぼす可能性はあまり高くないと思われます。

とはいえ、サブプライムローンの問題が、金融市場に全く影響を及ぼさないわけではありません。限定的とはいえ、それなりの影響を金融市場に与えるように思えます。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、サブプライムローンの債務不履行によって、売却される住宅が増え、新規の住宅投資が減ることで、経済成長が抑制される可能性が高いとの見方を示しています。サブプライムの影響が出始めた昨年下半期には、GDP成長率は住宅投資の減少で1%程度押し下げられてます。サブプライムの影響が今年も続くのであれば、今年の成長率も住宅投資の減少を通じて抑制されることになります。

この場合、FRBは政策金利であるFFレートの引き下げを検討することになるでしょう。そして、このシナリオが現実化した場合、FFレートの引き上げとともに上昇を続けたドル相場は、調整を余儀なくされることになるように思えます。

村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
サブプライムローンとは?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
低所得者層など信用力が低い消費者層(サブプライム層)に対する融資のこと。
(主にサブプライム層に対する住宅ローンを指す)