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きょうから日銀会合-次の利上げは参院選後が最多、来年以降の見方も
3月19日(ブルームバーグ):日銀の金融政策決定会合が19日午後、2日間の予定で始まる。「日銀ウオッチャー」14人を対象に行った予測調査では全員が現状維持を予想した。「2月に利上げをした直後ということもあり、日銀は当面、2月の利上げの影響を見守るスタンス」(アールビーエス証券の山崎衛チーフエコノミスト)とみられる。次の利上げ時期については、参院選後の8、9月という見方が半数で最も多く、10‐12月が4人、来年以降が3人だった。

三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「日銀は景気後退とデフレに逆戻りしない限り、足元の景気・物価指標が多少弱くても金利正常化=『緩和的な金融環境』の解消に向けて、まい進する考えだ。金融政策の運営スタンスはフォワード・ルッキング(先見的)の総合判断だ。足元の景気・物価指標よりも、生産・所得・支出の好循環と需給ギャップの需要超過基調という2つのメカニズムが持続しているかどうかの方を重視している」と指摘する。

石井氏はその上で「これらをもって『景気・物価の先行きは大丈夫』との確信を得られれば、迷わず金利正常化の歩を着実に進めていくだろう。第3次利上げは、基本的には①景気の踊り場脱却②コアCPI(消費者物価)上昇率の持ち直し③参院選後―という3条件が満たされる07年10月」と予想する。

参院選前の利上げも

メリルリンチ証券の熊谷亮丸チーフ債券ストラテジストは「今後も日銀はフォワード・ルッキングな観点から、年2回程度のペースで利上げを継続する公算だ。利上げの表向きの理由が景気動向であるとすれば、本音では①実質金利水準適正化の必要性②円キャリートレードの積み上がり③大都市圏における一部不動産価格の高騰等を意識しつつ、着実に金利を引き上げる」とみる。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「2月の追加利上げ後に市場が落ち着いているのは、7月参院選後まで次の利上げはないだろうという安心感が漂っているからだ。それは日銀との対話の結果ではなく、参院選という政治イベントの存在を日銀が考慮するだろうという見方からの、時限性のある一種の『時間軸』にすぎない。したがって、参院選の結果予想が増え始める6月下旬あたりからは、市場は不安定化する公算がある」と指摘する。

クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「景気・物価指標は安定成長の範囲内にある限り関係ない。半年に1回の利上げペースは堅持される。世界的な株安の背景には日銀の利上げがあるが、日銀は健全な調整とみており、足かせにはならない。公示地価で地価上昇地点に広がりがみられ、1-3月国内総生産(GDP)が堅調なら、参院選前の利上げもあり得る」と語る。

世間とは異なる日銀のロジック

1月の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比上昇率はゼロ%だった。モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕エコノミストは「目先国内では物価のマイナス圏入りが見込まれ、金融政策に対する風当たりが改めて高まる可能性がある。2月分(3月30日公表)は前年比マイナスに転落し、3月分(4月27日公表)ではマイナス幅が一段と拡大する可能性がある」と語る。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「多くの人は『コアCPI前年比がゼロ前後にある中、軟調な経済指標が散見され、利上げを急ぐ必要はない』と考える。しかし、日銀政策委員会の主流派のロジックはこうした世間の考え方と大きく異なる。中立金利水準への引き上げプロセスでは『デフレや景気後退入りのリスクを示唆するものでない限り、多少弱い経済指標が出ても利上げをしないという材料にはならない』ということなのだろう」という。

河野氏はその上で「米国経済のハードランディング・シナリオが実現しても、日本の国内需要の底堅さが確認できれば、年後半に日銀が利上げに踏み切る可能性は小さくない。景気が潜在成長経路に復帰し、インフレ率の緩やかな上昇が確認できるようになれば、日銀の利上げペースは08年以降、半年に0.25%から3カ月に0.25%にペースアップする」とみる。

コアCPI低迷で利上げ後ずれの公算も

野村証券の松沢中チーフストラテジストは「西村清彦審議委員が13日の日本経済新聞で『(金融政策運営上)期待物価上昇率だけでなく、資産や設備の実質予想収益率も考慮』と述べたことは、エポックメーキング(画期的)だ。資産バブルに焦点を当てた政策運営がより意識され始めていることを示唆する」と指摘する。日銀の金融政策運営の2つの柱のうちの「第2の柱」は、起こる可能性は小さくても、起こった場合に影響が大きいリスクを考慮するというものだ。

JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は「コアCPI前年比がマイナスの中で利上げするためには、フォワード・ルッキングな金融政策を分かりやすく市場に説明する必要があるほか、『第2の柱』を理解している市場関係者は少ない状況下、日銀が第2の柱で言及している『資源配分の歪み』とは具体的にどのようなことを指しているのか、日銀の説明責任が従来以上に問われる」と語る。

一方、佐藤氏は「2月の利上げがGDPの公表直後となったことから、利上げ時期のコンセンサスは参院選後、かつ4-6月GDP公表後の8月ないし9月に集中しているようだが、われわれの見方では金利は年間を通じ0.5%に張り付く可能性がある。利上げ再開のタイミングは、原油価格による下押し要因がなくなり、物価が上がりやすくなる08年4-6月以降」とみている。

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◎追加利上げ(0.75%への引き上げ)予想時期は次の通り(敬称略)【07年7-9月】メリルリンチ証券の熊谷亮丸チーフ債券ストラテジスト、野村証券の松沢中チーフストラテジスト(8月)、JPモルガン証券の菅野雅明調査部長(8-9月)、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト(8-9月)、バークレイズ・キャピタル証の小林益久チーフ債券ストラテジスト(9月)、信州大学の真壁昭夫教授(9月)、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト(9月前後)【07年10-12月】三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジスト(10 月)、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト、ゴールドマン・サックス証券の山川哲史チーフエコノミスト、アールビーエス証券の山崎衛チーフエコノミスト【08年1-3月】みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト【08年4-6月】モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕エコノミスト、日興シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジスト

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07 07 07 07 08 08 08 08
3末 6末 9末 12末 3末 6末 9末 12末
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調査機関 14 14 14 14 13 13 13 13
中央値 0.50 0.50 0.75 0.75 1.00 1.00 1.00 1.25
最高 0.50 0.50 0.75 1.00 1.25 1.25 1.50 1.75
最低 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.75 0.75 0.75
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三菱UFJ 石井 0.50 0.50 0.50 0.75 0.75 1.00 1.00 1.25
みずほ証 上野 0.50 0.50 0.50 0.50 0.75 0.75 0.75 0.75
東短リサーチ 加藤 0.50 0.50 0.75 0.75 0.75 1.00 1.00 1.00
JPモルガン証 菅野 0.50 0.50 0.75 0.75 1.00 1.00 1.00 1.25
メリルリンチ証 熊谷 0.50 0.50 0.75 0.75 1.00 1.00 1.25 1.25
BNPパリバ証 河野 0.50 0.50 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50 1.50
バークレイズC証 小林 0.50 0.50 0.75 1.00 1.25 1.25 1.25 1.25
モルガンS証 佐藤 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.75 0.75 1.00
日興シティG証 佐野 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.75 0.75 0.75
三菱UFJ・R&C嶋中 - - - - - - - -
大和証SMBC 白石 - - - - - - - -
クレディS証 白川 0.50 0.50 0.75 0.75 - - - -
大和総研 田谷 - - - - - - - -
信州大 真壁 0.50 0.50 0.75 0.75 0.75 1.00 1.00 1.00
野村証 松沢 0.50 0.50 0.75 0.75 1.00 1.00 1.25 1.25
ゴールドマンS証 山川 0.50 0.50 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50 1.75
RBS証 山崎 0.50 0.50 0.50 0.75 1.00 1.25 1.25 1.50
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アンケート回収期限は15日午前8時。

東京外為:円が下落、日本株堅調でリスク回避懸念が緩和-117円前半
  3月19日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が下落。対ドルでは1ドル=117円台前半と、早朝の高値116円25銭から水準を切り下げた。米株安や中国の利上げを背景に世界的な景気減速懸念がリスク投資収縮につながるとの見方が浸透。円キャリートレード(低金利の円で調達した資金を高金利通貨などに投資する取引)の圧縮警戒感から円買いが先行したものの、日本の株価反発を受けて国内投資家のリスク許容度は低下していないとの見方から、外貨買い・円売り需要が期待された。

  HSBC為替資金本部外国為替営業部の花生浩介部長は、「中国の利上げを受けて、アジア株が全般的に崩れるとの見通しから、円キャリー取引の巻き戻しをめぐる思惑が広がったが、日経平均株価に続いて、中国の上海総合指数も上昇したことで思惑が外れた」と指摘。短期的に積み上がった円買い持ち高の解消が促されたとして、円が早朝に大幅上昇したあとに急反落した経緯を説明している。

  半面、市場は「グローバルな株の動きに伴う円キャリー取引の動向と米景気の両にらみの状況で、引き続き米サブプライム住宅ローンをめぐる懸念を背景に住宅市場関連の指標が警戒されている」(花生氏)といい、ドル買い・円売りの勢いも限定された。

      日経平均が1万7000円台回復-円売りに安心感

  中国人民銀行は前週末の17日に基準貸出金利と預金金利の引き上げを発表。週明けの東京時間早朝の取引では円買いが先行し、ドル・円相場は一時1ドル=116円25銭(ブルームバーグ・コンポジット参照、以下同じ)まで円が上昇。ユーロ・円相場も一時1ユーロ=154円78銭と、2営業日ぶりの水準までユーロ安・円高が進んだ。

  三菱東京UFJ銀行市場業務部の橋本将司調査役は、中国の利上げについて、1、2月の指標内容が強かったことが背景で、景気の急減速を避けながら、緩やかな景気減速を促すことが主な目的だと考えられると説明。実体面で円相場に大きな影響があるとは考えにくいとしながらも、「足元のマーケットの地合いを勘案すると、グローバルな景気の減速が円キャリートレード巻き戻しの手がかりになるとの思惑が生じやすい」との見方を示している。

  しかし、午前9時に日経平均株価が続落して取引を開始したものの、徐々にマイナス幅を解消する展開となり、午後の取引では上昇幅が拡大。前週末比 265円40銭(1.6%)高の1万7009円55銭と、4営業日ぶりに1万7000円台を回復して取引を終えている。

  日本株の反発を受けて、外為市場では円が下落。対ドルでは午前の取引で一時117円45銭まで水準を切り下げ、早朝に付けた高値からの下落幅は1円を超えた。ユーロ・円相場も一時156円32銭まで円が反落している。

  ただ、今週は米国で20日に2月の住宅着工件数、23日に同月の中古住宅販売件数の発表を控えており、弱めの内容となれば、住宅市場の減速懸念を背景にドル売りが進む可能性も警戒される。このため、午後の取引では一段のドル買い・円売りには慎重な姿勢が残り、117円台前半でもみ合う展開が続いた。

            きょうから日銀決定会合

  一方、日本銀行はきょうから2日間の日程で金融政策決定会合を開く。決定内容は20日に明らかとなるが、有力「日銀ウオッチャー」14人を対象に行った予測調査では全員が現状維持を予想している。

  7月に参議院選挙を控えて、次の利上げ時期については、選挙後の8、9月という見方が大勢となるなか、福井俊彦総裁が会合後の記者会見で、景気や物価情勢にどのような見解を示すかが注目される。

  ただ、中央三井信託銀行総合資金部の北倉克憲主席調査役は、「日銀は2月に利上げをしたばかりで、今回の会合で利上げを予想する向きは少ない」としたうえで、ゆっくりとしたペースでの金利調整を進めていく姿勢も示されていることから、市場は日銀よりも米国の金融政策動向に目が向いているとしている。

           米金融政策動向を見極め

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は21日に政策金利を発表する。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は5.25%に据え置かれる見通し。

  市場が利下げ時期を探るなか、足元の景況感や物価情勢を踏まえて、声明の内容に変化がみられるかが焦点となりそうだ。三菱東京UFJ銀の橋本氏は、「FOMCの声明で景気減速に対する認識の変化が示された場合は、ドル売りにつながる展開が警戒される」としている。

  前回1月31日会合のFOMC声明では、「最近の経済指標には、経済成長の幾分かの強まりが示されており、住宅市場では安定化への暫定的な兆しが見られる」として、昨年12月会合の声明から上方修正されていた。


東京時間午後3時49分現在 前週末比 前週末のニューヨーク午後5時時点
ドル・円 117.18 +.45 116.73
ユーロ・ドル 1.3297 -.0021 1.3318
ユーロ・円 155.75 +.33 155.42

オプション取引、1セント刻みの価格でアルゴリズム取引が主流に
3月19日(ブルームバーグ):ケビン・フィッシャー氏は17年にわたり、フィラデルフィア証券取引所の立会場でトレーダーをしていたが、最近になってコネティカット州グリニッチにあるインタラクティブ・ブローカーズ・グループの本社に異動になった。

同氏は今、コンピューターの前に座り、アルゴリズムに基づいた取引システムの設計に携わっている。アルゴリズム取引とは、株価や出来高に応じてコンピューターシステムが売買の最適のタイミングや数量を決めて注文を行う取引。世界最大のオプションブローカーであるインタラクティブは、年約10億ドル(約1170億円)の手数料が発生する市場で、規制変更によって守勢に立たされている。

プットオプションとコールオプションの呼値について、従来の5セントまたは10セント刻みから1セント刻みへの変更は、ゴールドマン・サックス・グループやクレディ・スイス・グループ、UBSなどに有利だ。これらの金融機関は6年前に、株の呼値を1セント刻みで示すシステムに変更し、現在ではほとんどの銘柄を電子的に取引する。株式非公開のインタラクティブは、フィッシャー氏のようなベテランによるアルゴリズム開発に、オプション取引でのシェア維持の望みをかけている。

元オプション・株式トレーダーで現在はコンサルティング会社エイト・グループのアナリスト、ブラッド・ベーリー氏は「大手ブローカーは全社、この開発を手掛けるか、準備の進んだ段階にある」として、「1セント刻みの価格やソフト開発などの影響で、オプションの取引高は急増するだろう」と話した。

ゴールドマンはオプション取引用ソフトウエアを株取引用に合わせて修正している。同社は株取引システムREDIを武器に、ニューヨーク証券取引所の取引高でスイスのUBSを抜いた。

フィッシャー氏によると、インタラクティブはこれに対抗し5人前後のトレーダーをグリニッチの本社に集め、機関投資家からの注文に対応している。また、アルゴリズムのカスタマイズやすべての銘柄のオプションについて1セントずつの値動きに対応するなどで顧客を引き付けようとしている。

オプション市場の急速な拡大

ウォール街の証券会社はこぞって、オプショントレーディングでのシェア拡大を目指している。オプション市場は株式市場の倍のペースで拡大しているからだ。金融コンサルティング会社のグリニッチ・アソシエーツが49ファンドを対象に実施した調査によると、機関投資家が支払ったオプション取引手数料は2006年、前年から51%増えた。機関投資家は少なくとも、5億ドルを支払った。

米市場のオプション取引の決済を手掛けるオプションズ・クリアリング(シカゴ)によると、米国の6つのオプション取引所を合わせた06年の取引件数は 20億件と、前年比35%増だった。これに対し、ニューヨーク証券取引所とナスダック(店頭市場)の株取引は17%増。

2月以来、米国の株式オプションの約17%は、米証券取引委員会(SEC)の試験プログラム「ペニー・パイロット」の下で、1セント刻みの価格で取引されている。半年の試験期間には、総合電機の米ゼネラル・エレクトリック(GE)やソフトウエアの米マイクロソフト株のオプションが1セント刻みで取引できるようになった。

ゴールドマンの電子デリバティブ(金融派生商品)セールス担当バイスプレジデント、JP・ゼナキス氏によると、年末までにはより多くの銘柄が1セント刻みで取引される見通しだ。SECは7月に、プログラムの拡大を計画している。

米最大のオプション取引所、シカゴオプション取引所のエドワード・ティリー副会長は14日のインタビューで、ソフトウエアを使った自動売買による「注文拡大に備えている」と話した。

インタラクティブのフィッシャー氏によれば、同氏の最初の仕事は、立会取引で大口注文を出していたヘッジファンドや機関投資家向けに、大口取引デスクを設計することだ。同氏はできる限り多くの取引を自動化することを目指している。


日本株(終了)17000円を回復、円安とアジア株安定-電機や利回り株
3月19日(ブルームバーグ):週明けの東京株式相場は急反発し、日経平均株価は4営業日ぶりに1万7000円台を回復。朝方は、米国の景気懸念や中国当局が利上げを実施し、為替相場が円高傾向となったことで小安く始まったが、円高一服や中国株の急伸から次第に安心感が広がった。キヤノンやソニーなど輸出関連株中心に買われ、野村証券が新ビジネスモデル進ちょくを評価したアドバンテストのほか、トヨタ自動車なども高い。

  三菱重工業や木村化工機など原子力関連株も活況の中で上昇。3月期末接近でNTTドコモや電力株を始め、先週末に増配を正式発表した東芝、午後に増配を発表した三菱マテリアルなど配当利回りを評価する動きも顕著だった。

  SATOアセットマネジメントの佐藤博社長によれば、「世界同時株安のきっかけとなった中国株がほぼ直前の水準を回復し、米ダウ工業株30種平均や英FT100指数などに比べても日本株は最も回復が出遅れていた。前倒しで売りが出ていた期末需給要因から、きょうは投信や年金など国内勢の押し目買いが意外な上昇を演出した」という。

  2月末の急落前日である2月26日から3月16日終値までの下落率は、米ダウ工業株30種平均が4.1%、英FT100指数が4.7%、日経平均は8%。中国・上海総合指数は26日終値3040に対し、きょうの高値は107ポイント(3.7%)高の3037。

  日経平均株価の終値は265円40銭(1.6%)高の1万7009円55銭、TOPIXは17.02ポイント(1.0%)高の1694.08。東証1部の値上がり銘柄数は 1015、値下がり銘柄数は582。  ただ、株価指数は上昇したものの、売買は低迷。東証1部の売買高は概算で19億218万株と、1月19日以来2カ月ぶりの低水準となり、売買代金は同2兆7337億円と4営業日ぶりの3兆円割れ。

 東証業種別33指数の騰落状況では、値上がり業種が29、値下がり業種が4。電気機器、輸送用機器、化学、情報・通信、医薬品、卸売り、機械、食料品、不動産などが高い。半面、銀行、小売り、その他金融、証券・商品先物取引などが安い。

         米国株安や中国利上げの影響を吸収

  中国人民銀行は18日から基準貸出金利と預金金利の引き上げを実施した。週明けの東京市場は先週末の米景気後退懸念と中国利上げによる円高進行という悪材料に反応し、朝方は様子見ムード強く小幅安で始まった。ところが為替が円安方向に切り返しを強めるとともに、日経平均先物への買い戻しが主導して指数はプラスに転換。16日終値に比べて2.2%安で始まった中国・上海総合指数がその後に下げ渋って一転急騰に転じると、午後にはさらに日経平均の上値追いの動きが鮮明となった。

  住友信託銀行の島津大輔副調査役によると、「中国利上げを受けて鉄鋼や建設機械など中国関連株が下落して始まったが、その後に為替が落ち着いた上に中国株も下げ渋ったことで影響は限定的との見方が次第に強まった」という。

  外部環境の不透明さを抱えながらも上昇に転じる底堅さを見せたのは国内要因。丸三証券の牛尾貴投資情報部長は、「米住宅市場など外部要因の不透明感は拭いきれないものの、日経平均株価が高値から10%調整するなど東京市場の値幅調整は進んだ感がある。期末接近で配当成長率への期待感や企業業績の増額期待が株価の下支えとなっている」と指摘した。

         NTTドコなど高配当利回り株が堅調

  3月期末接近により、配当が相対的に高い業種や銘柄が高い。NTTドコモが3日続伸したほか、JFEホールディングスが反発。武田薬品工業やアステラス製薬、第一三共など高利回りの医薬品株もそろって上昇した。関西電力など電力株も堅調。19日付の日本経済新聞朝刊によると、上場企業の配当金と自社株買いを合計した金額は、2006年度に13兆3000億円程度と前年度比 23%増え過去最高となる見通し。配当と自社株買いを合計した「総配分性向」は52%と実質的に過去最高になるとしている。

  丸三証の牛尾氏は「企業収益の拡大とともに今後も引き上げ傾向が続けば、日本企業の配当成長率は業績成長率を上回るとの期待感が強まっている。現在の配当性向が低いものの、外国人持ち株比率が高いことで今後の還元圧力の高まりが予想される信越化学工業や三菱商事、コマツなどに注目している」。

  大和総研が集計した15日終値時点での3月末の配当利回り株ランキング上位でも、DOWAホールディングスが急伸したのを始め、三井金属、ワコールホールディングス、日産自動車、大正製薬、任天堂などがそろって高い。

       原子力関連が活況、ソキアや博報堂など高い

  三菱重工業や東芝を始めとする原子力発電関連が活況となった。米テキサス電力から大型原子力発電所2基を受注した三菱重工業が先週高値を更新したことがきっかけとなって、米ウエスチングハウスを買収した東芝、同出資を行った石川島播磨重工業など他の関連銘柄への波及が一段と鮮明化した。  同関連銘柄では木村化工機が急騰して東証1部値上がり率トップとなったほか、西華産業が同6位と急騰。日本製鋼所、東芝プラントシステムなども売買を伴って上昇した。また、07年3月期の単独純損失拡大と減配を発表した日立製作所は安く始まったが、結局小幅高まで戻した。

  個別銘柄の動きでは、17日付の日本経済新聞朝刊が07年3月期の連結経常利益が前期比21%増と従来計画を上回ると伝えたテルモが急反発。07年3月期の連結営業利益は前期比16%増の215億円程度と過去最高を更新すると 17日付の日本経済新聞が報じたキッコーマンも堅調。経営統合で合意したトプコンとソキア株はもとに大幅高となった。日興シティグループ証券が目標株価 9200円とした博報堂DYホールディングスは急伸。

        売買低調、米経済懸念は払しょくされず

  もっとも、市場全般は上昇したとはいえ、売買エネルギーは低調。先週末 16日の米国では、2月消費者物価指数の上昇による利下げ観測の後退と3月ロイター・ミシガン大学消費者マインド指数の低下による景気懸念が台頭。今週は米国で20日からFOMCが開催されるほか、20日の2月住宅着工戸数、23 日の中古住宅販売件数など住宅関連指標の発表が予定されている。

  住友信託銀の島津氏は、「米国ではサブプライムローンに対する懸念が残っており、米景気減速懸念など根本的な問題は解決されていない」という。また、きょうの配当利回り株やディフェンシブ株への人気ぶりも、その裏返しが一因との見方もあった。

          銀行株が軟調、富山化は急落

  半面、三菱UFJフィナンシャル・グループなど銀行株が軟調。昨年11 月安値を16日に割り込んだ東証銀行株指数はきょうも続落。市場では「貸し出し競争が厳しい中、調達金利が上昇している。ビジネスモデルが見えにくいことなどが響いているようだ。ただしPERなどバリュエーションからは割安感が出てきた」(住友信託銀の島津氏)との声があった。

  このほか、07年3月期の連結純損益が当初見込みの3億円の黒字から76 億円の赤字に転落する富山化学工業が急落。07年3月期単独最終損益を550億円の黒字から2000億円前後の赤字見通しに下方修正する方針を固めたと19日付の朝日新聞が報じた富士通も反落した。完成工事総利益率の悪化で今期赤字に転落する淺沼組も安い。

         新興市場は続落、マザーズ1000割れ

  国内新興市場は続落。ジャスダック指数は0.36ポイント(0.4%)安の 83.68、東証マザーズ指数は13.27ポイント(1.3%)安の997.10と2週間ぶりの1000ポイント割れ、大証ヘラクレス指数は15.53ポイント(0.9%)安の 1638.37。

  ジャスダック市場では、楽天、オプト、インデックス・ホールディングス、テレウェイヴが売られた。07年3月期の単独業績が予想以上の減収減益へと下方修正されたフィールズは値幅制限いっぱいのストップ安。半面、ジュピターテレコム、岡三証券が新規アウトパフォームとしたインテリジェンスが買われた。2年ぶりに監理ポストへの割り当てが解除されるシーマは値幅制限いっぱいのストップ高。

  東証マザーズ市場では、ACCESSやサイバーエージェント、アプリックス、ブイ・テクノロジーが安い。07年8月期の大幅赤字と無配転落を発表したリンク・セオリー・ホールディングスは値幅制限いっぱいとなるストップ安まで売られ、上場来安値。半面、KDDIとの資本提携が引き続き好感されたアクロディアは値幅制限いっぱいの上昇。メッツ、ゲームオン、イー・キャッシュなどが急騰した。

  大証ヘラクレス市場では、ゼンテック・テクノロジー・ジャパン、ネクストジェン、ガーラ、エン・ジャパンが下げた。06年12月期の有価証券報告書が法定期限の4月2日までに提出できる見込みがないと発表したことで、会計監査に対する懸念が高まったサイバーファームは値幅制限いっぱいのストップ安。一方、ダヴィンチ・アドバイザーズ、ターボリナックス、エフアンドエムが上げた。東京スター銀行との銀行代理店業提携を発表したエフアンドエムは値幅制限いっぱいのストップ高。  きょう上場のやまねメディカルの初値は公募価格比24%高の26万円となり、同じくアイフリークは公開価格比79%高の50万円の初値を付けた。