3/2 ブルームバーグ 記事
IMF副専務理事:株安後も世界経済は依然堅調、政策提言方法見直し
3月2日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)のリプスキー副専務理事は2日、カリフォルニア州の米スタンフォード大学で講演し、世界各国からのIMF融資需要の後退に伴い、経済上の助言を与えていく方法を検討していると述べた。
リプキー副専務理事は、IMFとして推奨する政策を各国政府に納得させる上で、「危機を利用すべきではない」と語った。
アルゼンチンやフィリピンなどがIMFからの融資の返済を進めてきているなかで同基金の影響力は低下、各国政府はIMFからの要請に耳を傾ける必要性が薄れつつある。IMFからの融資獲得条件には、政府資産売却など不人気な政策の受け入れが含まれることが多い。
また、この日の早い時間にインタビューに応じたリプキー副専務理事は、今週は中国発の世界株安が起きたものの、世界経済は依然として「極めて堅調だ」と語った。「主要経済および世界全体について、成長は引き続き極めて堅調と見受ける」とし、「見通しにはリスクが存在し、過去数日、数週間はそのことを思いだすことになった。見通しに基本的な変化は生じていない」と指摘した。
ポールソン米財務長官:「世界経済は力強い」、株安は実態を反映せず
3月2日(ブルームバーグ):ポールソン米財務長官は、「世界経済は力強い」との見解を表明。今週の株式相場の急落は「経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を必ずしも反映していない」との認識を示した。
同長官はナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)とのインタビューで、「現在、世界経済をながめても、私の経験の中のどの時期にも劣らないほど力強い」と述べた。さらに、「米国では、持続不可能な経済成長率から、非常に持続可能な景気拡大への首尾よい移行と私が判断する過程にある」と語った。
同長官は世界の株式相場の急落には直接的なコメントをしなかった。ただ、相場はこれまでも変動することがよくあり、経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を日ごとに反映しているとは限らないとの見方を示した。
同長官は、「市場が存在する限りは、変動が生じるのは当然だ」とし、「相場が常に経済のファンダメンタルズを反映するとは限らない」と述べた。
同長官は訪中を控えており、中国について、「同国の資本市場は、全般的な経済を十分に反映していない」と指摘。さらに、「中国の資本市場の発展を、通貨面で中国が達すべき目標にたどり着く一手段とみている」と付け加えた。
米バーナンキ議長:グローバル化はインフレに上向き圧力となる公算も
3月3日(ブルームバーグ):バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は2日、カリフォルニア州のスタンフォード大学で講演し、グローバル化は米国のインフレに対し上向き圧力となる公算があるとの認識を示した。
バーナンキ議長は、中国などでのエネルギーや国際商品への需要の高まりがここ数年関連市況の上昇をもたらしてきたと指摘。こうした動きは、グローバル化に伴う製造業製品の価格抑制の流れを相殺する可能性があると語った。
バーナンキ議長は「グローバル化に伴う製造業製品の輸入価格と石油や国際商品価格の相殺効果を勘案すると、グローバル化はインフレを大幅に低下させると結論付ける根拠にはほとんどならないと思われる」とし、「逆も真かもしれない」と語った。
同議長は金融政策決定において、金融当局者は世界の経済動向の分析を拡充する必要があると指摘。同時に、グローバル化が当局の金融政策遂行能力を減じているということはないとの認識を示した。
バーナンキ議長は「グローバル化は、米金融当局が国内の金融動向のかじ取りを行っていく能力に大きく影響してきてはいない」と語った。
金融当局と議会
米金融当局者は自由な貿易と資本の流れは、生活水準の向上と富の拡大をもたらすとして、強く支持する姿勢をとっている。上下院で過半数議席を握る民主党員は金融当局者に比べこの点についてより懐疑的で、当局に対しインフレを低位に安定させながら、雇用と所得の拡大に積極的に取り組むことを期待している。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年8月以降、政策金利を5.25%に据え置きとしている。バーナンキ議長が用意した講演原稿には、現在の景気動向や金融市場、金利の見通しについては盛り込まれていなかった。
米国株式相場は今週、景気減速の兆しが見られたことが一因で大幅下落となった。バーナンキ議長は下院予算委員会で2月28日、景気は年央あたりに幾分か力強さを増すとの見通しを示している。
グリーンスパン前FRB議長は今週2回にわたり、米経済が2007年にリセッション(景気後退)入りする可能性を指摘した。これに対し、米セントルイス連銀のプール総裁は今月2日、景気が後退するとはみていないと語った。
バーナンキ議長は、グリーンスパン前議長のリセッション発言について講演原稿のなかで言及していない。米金融当局が先月議会に提出した経済見通しでは、今年の成長率は2.5-3%、来年は2.75-3%とされている。
インサイダー取引でUBS幹部ら起訴-ヘッジファンドへの監視強化か
3月2日(ブルームバーグ):1980年代以降にウォール街で発生した最大規模のインサイダー取引事件で、中心的な役割を果たしたとしてモルガン・スタンレーやUBS、ベアー・スターンズなどの従業員が起訴された問題は、米議員や監督当局者の間で広がるウォール街金融機関とヘッジファンドの関係について疑いをさらに強めることになろう。
元SEC相談役のデビッド・ベッカー氏は、「こうした事件は、ヘッジファンドの業務内容やその情報源についてさらなる調査を求めている当局者にとって、その姿勢を一層強めることになる」と語った。
アーレン・スペクター上院議員(ペンシルバニア州、共和党)らの米議員は、インサイダー取引が広がりを見せるなかで、市場監督当局に対し何らかの措置を講じるよう求めている。少なくとも2件の調査リポートでは、企業買収の発表前には大抵、株式やデリバティブ(金融派生商品)の相場が上昇していることが示された。
ニューヨークとワシントンの検察当局は1日、株式投資判断の変更や機密の企業買収情報をトレーダーやブローカーに事前に漏らしたとして、UBSの幹部やモルガン・スタンレーの元法令順守部門の弁護士ら13人を起訴した。米証券取引委員会(SEC)が提出した訴追請求状によると、起訴された13人のうち少なくとも4人はベアー・スターンズの従業員だった。
今回起訴された13人のうち4人は有罪を認めている。8人は1日にマンハッタンの連邦地裁で無罪を主張し、保釈金を支払って釈放された。保釈金の最大額は50万ドル。企業は起訴されていない。被告人はいずれもコメントを控えた。
原油相場は第1四半期に平均60ドルで推移、08年に上昇へ-リーマン
3月2日(ブルームバーグ):米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスのエネルギー担当チーフエコノミスト、エドワード・モース氏は1日、ドバイから電話インタビューに応じ、第1四半期に原油相場が平均1バレル=60ドルで推移するとの見方を示した。さらに、2008年にかけて米中の需要増に伴い上昇すると予想した。
同氏によると、07年の世界原油需要は中国を中心に高まり、少なくとも日量170万バレル増加する見通し。
モース氏は米国では景気が減速しているものの、原油需要は弱まっていないと指摘。自動車燃料の消費量は「国内総生産(GDP)とまったく合わない水準で伸びている」と語った。
同氏の算出によれば、米国の原油消費量は現在、前年を日量100万バレル上回っている。
NY銅(2日):週間ベース5.2%下落-世界的株安と貴金属下落が響く
3月2日(ブルームバーグ):今週のニューヨーク銅先物相場は5.2%下落となった。ほぼ2月いっぱいは上昇相場が続いたものの、世界的な株安と貴金属相場の低迷を受けて売りが見られた。
全世界的な株安で、世界の時価総額1兆5000億ドル(約175兆円)余りが吹き飛んだ。銀相場は今週12%下落し、金相場は6.2%下げた。中国の2月の製造業購買担当者指数(PMI)は6カ月ぶり低水準となり、金属需要鈍化の可能性を示唆した。
スコット・ブラス(ロードアイランド州)の金属マネジメント部門ディレクター、ジョン・グロス氏は「銅相場には、世界の株式相場の下落と金・銀相場の下げの影響が感じられる」とし、「さらに、中国からの需要鈍化の可能性も懸念材料だ」と指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の銅先物5月限は 4.75セント(1.7%)安の1ポンド=2.707ドル。同価格は過去3週間で18%上昇していた。
ロンドン金属取引所(LME)の銅先物相場(3カ月物)は、90ドル(1.5%)安の1トン=6020ドル。同価格は年初来4.9%下落している。
LMEの亜鉛相場は前日比155ドル(4.5%)安の1トン当たり3320ドルと、1カ月ぶりの大幅な下げ率となった。