一時的と思えない中国株の調整 | 20年間で5000万作る資産運用方法を考える・・・>゜)))彡◆

一時的と思えない中国株の調整

一時的と思えない中国株の調整



2月27日の中国・上海株式市場の総合指数(上海総合指数)は、前の日の終値から9%の下落と、過去10年間で最大の下げを記録しました。市場がスタートとした当初、上海総合指数は3000を上回る過去最高値を記録しましたが、その後は値下がり続けました。値下がりした銘柄数は、上海総合指数の全銘柄の96%(845)となり、まさに「全面安」の展開といえます。

最近の中国株式市場は、非常に加熱しており、短期間での相場の乱高下が起こりやすい状況でした。
こうした中、来週開幕する中国全国人民代表大会(全人代)で、法人税改革や地方の所得増加に向けた措置など市場に有利な政策が打ち出されるとの期待が盛り上がり、ここ数字の中国株は上昇を続ける展開でした。たとえば上海総合指数は、連日のように過去最高値を更新しており、大幅下落を記録した日の前日にあたる26日の終値も、3040.60と終値ベースでの過去最高を記録していました。

中国株が大きく下落したきっかけは、中国株式の値上がり益への課税(いわゆるキャピタルゲイン課税)が実施されるという噂でした(中国は1994年に国内株式市場の育成を目的にキャピタルゲイン課税を停止しています)。中国政府は、投機的な投資が過熱気味である最近の状況を非常に懸念しているといわれています。実際、最近の中国政府は、預金準備率の引き上げや利上げなど、投機的な投資を抑制する措置を相次いで実施しているだけに、キャピタルゲイン課税実施という噂の真実味は、それなりのものだったと推察されます。中国株を取引する投機筋は、こうした噂を耳にし、急ピッチで上昇していた中国株の利益確定の意味も含めて、保有していた株を一気に売却し、中国株の大幅下落を引き起こしたと考えられています。

ただ、市場関係者の多くは、今回の中国株の下落は、あくまで調整の範囲を超えないもの、と認識しているようです。中国経済のファンダメンタル(基礎的条件)は依然として強く、今後も中国経済は順調に発展するだろうと考えられるからです。たしかに、世界の向上としての中国の地位が急速に低下する可能性は少ないでしょうし、沿海部を中心に今後は一大消費地として中国市場が発展することも期待できます。

しかし気をつけなければいけないことは、中国経済が今後も発展する、ということと、中国株(特に上海総合指数)が下げ止まる、ということが、必ずしも同じ意味にならないということです。

中国経済が今後も発展すると考えた場合、その伸び率は、GDPベースでみてせいぜい10%程度でしょう。仮に10%程度の伸び率が続くとして、経済水準が2倍になるには7年以上の歳月を必要とします。

一方、上海総合指数は、現時点(2月28日)で約2900です。これは1年前(2006年2月末)の水準(約1300)2倍以上の水準になります。つまり上海総合指数の上昇スピードは、本来の経済発展のスピードの7倍といえます。

大きく下落した翌日の上海総合指数は、市場が落ち着きを見せたこともあり、下げ止まりの兆しをみせています。しかし、たとえ下げ止まったとしても、上海総合指数の水準は、1年前に比べれば非常に高い水準であることに変わりはありません。噂をきっかけにした下落は止まったとしても、中国経済のファンダメンタルをきっかけに中国株が再び大きく調整する可能性は、依然として残されていることを強く認識すべきと思われます。

村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
上海総合指数の今年2月末の水準は、昨年2月末の何倍くらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
2倍以上
(今年:約2900、昨年:約1300)