「長い目」で考える日本の物価と金利 | 20年間で5000万作る資産運用方法を考える・・・>゜)))彡◆

「長い目」で考える日本の物価と金利

「長い目」で考える日本の物価と金利

2月27日の日本経済新聞・商品面は、数多くの「値上げ」記事で埋め尽くされています。

紙面右上の記事は、米や合成樹脂などを包む袋の材料となるクラフト紙の値上げが浸透していることを報じています。製紙各社が二年半ぶりに打ち出した値上げを需要家である製袋会社の大半が満額で受け入れたことから、3月1日の出荷分より15%程度、クラフト紙の価格が値上がりします。木材チップや薬品といった原材料価格の上昇だけでなく、クラフト紙の首位工場である王子製紙呉工場が断水の影響で減産したこともクラフト紙の価格を押し上げる要因となっています。

紙面左上には、原料である粗糖の国際価格が下落しているにもかかわらず、家庭用の砂糖の市中価格が下げ渋っているという記事があります。砂糖の消費量が減少傾向を続ける中、製糖各社が工場整理を進めたため、値崩れを起こすような増産が見られなくなったためとみられています。

紙面左下には、マグロ卸値の上昇の記事が掲載されています。水産庁の統計によると、1-3月期の東京都中央卸売市場のマグロ卸価格は、前の年に比べ1割以上上がる見込みとなっています。海外の需要拡大などを背景に輸入モノを中心に供給が3-5%程度減ることが背景にあるようです。

こうした「値上げ」記事に共通するのは、供給が減ったことが値上げの背景にあるという点です。日本景気は、底堅い推移を続けており、需要は徐々にですが増えつつある状況です。こうした中、供給が減れば、需給関係は引き締まるため価格は上がりやすくなるのは自然のことといえます。

2月26日、内閣府は、日本の需給ギャップの最新の試算値を公表しました。需給ギャップとは、日本経済全体でみた需要と供給の差のことです。需給ギャップがプラスになれば需要が供給よりも多い(需要超過)、マイナスになれば供給が需要よりも多い(供給超過)を意味します。

試算によると、昨年10-12月期の需給ギャップはプラス0.6%と、約10年ぶりのプラスとなっています。つまり、クラフト紙、砂糖、マグロに限らず、日本全体でみても、今の日本は需給が引き締まり価格が上がりやすくなっている状況といえます。

日本銀行の福井総裁は、2月の利上げ決定後の参議院で、消費者物価指数は目先ほぼゼロで、場合によっては、若干マイナスに陥る可能性があると述べました。原油価格の下落で石油製品価格が以前ほど上昇していないことなどが理由として考えられます。

ただ、たとえ石油製品価格が伸び悩んでいるとしても、日本全体でみた需給は引き締まっている状況です。短期的には、消費者物価の伸びが、ゼロのまま推移することはありえるかもしれませんが、長い目で考えれば、消費者物価は上昇基調に入ると考えたほうが自然でしょう。また、日本銀行が決定する政策金利は、物価にあわせて判断されるので、長い目で考えれば、日本の政策金利も引き上げられると考えたほうが無難に思えます。

村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
2006年10-12月期の日本の需給ギャップはプラス!!
さて何年ぶりのこと?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
約10年ぶり