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3/2 ブルームバーグ コラム

【経済コラム】身ぐるみはがされる恐怖が市場を襲う-M・ギルバート
3月2日(ブルームバーグ):今週ロンドンのクイーンエリザベス2世会議場で開かれた欧州最大の年次債券関連シンポジウム。金融市場関係者1000人以上が集ったが、そこには不安が広がる気配があった。

初日の2月27日、会議は予定通りに進行していった。社債相場は高いものの、企業の貸借対照表は非常に健全だと誰もが証言した。市場にボラティリティ(変動性)はほとんど皆無で利益を上げるのは困難だったものの、誰も懸念していなかった。債券の専門家たちは満足していた。

会議場外ではロンドンの曇り空から冷たい雨が打ちつけていた。そして地球を半周すれば、アジアの株式相場が急落し、世界の金融市場に余波が伝わりそうだった。

例年、この会議の冒頭スピーチはブラウン英財務相が行ってきたが、今年はハーミーズ・ペンションズ・マネジメントのロジャー・グレー最高投資責任者(CIO)がここ10年の債券市場の発展に関する議論で口火を切った。同氏はラムズフェルド前米国防長官がイラクに関して使った「知られざる未知」という言葉に触れたが、これはまさしくその後の状況を予知していた。

会議で、バークレイズ・グローバル・インベスターズ(ロンドン)の債券ストラテジスト、マリア・ライアン氏は投資家には保有資産の範囲を広げるための規制緩和が必要とされていると指摘。「投資家はポートフォリオの中で抱えることができるリスクの規模に不満だ。市場にボラティリティが戻ってくることこそ、われわれの望み」と述べた。

望みが実現すれば

望みには気を付けよう。事態は中国で発生した。中国当局が景気を減速させようと努力していたこと、そして上海・深セン300指数が昨年倍増した背景に投機資金が疑われていたことは周知の事実。米経済がリセッション(景気後退)入りする可能性も、グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が今週発言するまで知らなかったという者はいないだろう。それでもみんなが一斉に「売り」に走った。

影響は広がり、アジア株、新興市場通貨、欧州社債の相場が崩れ始めると、会議参加者のムードは悪化した。それでも講演者は対抗するかのように楽観的な態度を取っていたが、会議が進行するなか、ゲストの胸中に秘められた不安は明るみに出た。ロサンゼルスを拠点とする投資会社キャピタル・リサーチ&マネジメントのポートフォリオマネジャー、マーク・ブレット氏は、相場が崩れるよりも、相場下落に当局が過剰反応するリスクの方が心配だと語った。

初日の会議が進むにつれ、参加者はそこかしこに集まり、耳に携帯電話を押し当てては不安そうに小声で話す姿が目立つようになった。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のSPXボラティリティ・インデックス(VIX)は過去最大の上昇、米株は4年ぶり最大の下落を演じる目前だった。

会議2日目の2月28日。市場への影響度合いが明らかになり、会議場の雰囲気は厳しくなった。スイスのプライベートバンク、ユニオン・バンケール・プリベ(UBP)のミカエル・ペロッティCIOは、企業の信用リスクの取引では「上昇よりも下降するリスクの方がかなり大きい」と述べた。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、欧州企業で構成するiTraxxクロスオーバー指数が同市場誕生以来で最悪の2日間を記録する最中だった。

シティグループによれば、ヘッジファンド業界にとって2月28日は、少なくとも2003年以来でリターンが最悪の日となった。

高まるリスク

ヘッジファンドやデリバティブ(金融派生商品)が市場のリスクを高めていると考えたことはないだろうか?もう一度考えてみてほしい!ボストンのステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの世界投資ストラテジスト、ジョージ・ホゲット氏は「ヘッジファンドは価格が均衡水準から離れ過ぎるのを食い止めてくれる」と話し、ヨーロピアン・クレジット・マネジメントの調査責任者、ジョー・ビアナト氏はデリバティブについて、自動修正機能を市場に提供すると指摘する。

会議場のメインホールの外では、参加者はブルームバーグのテレビ画面に映し出されたバーナンキFRB議長の言葉に聞き入った。金融市場は「十分に機能しているようだ」と議長は述べたが、ほかに何と言えただろうか?

投資家ウォーレン・バフェット氏の苦言に、大波が去って初めて誰が裸になったのかが分かるというのがあるが、いつか流れが変わることが分かっているだけに、誰も水から最初に上がろうとはしないだろう。今週起きた市場の嵐を受けて、少しでも多くの投資家が身ぐるみはがされていないと確認するよう祈るばかりだ。(マーク・ギルバート)