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2/28 ブルームバーグ コラム

【経済コラム】株価急落の避難先はどこにある-マイケル・セシット
2月28日(ブルームバーグ):あなたは耳を貸さなかった。兆候はあったのに無視した。4年にわたる世界の株価上昇で肥え太り、満足し切ったあなたは、警告の声を懐疑派、敗北主義者、デマゴーグと切って捨てた。

中国の上海・深セン300指数の9.2%急落を受け、世界の株式は27日、一斉に売られた。投資家の取れる道は2つのうちの1つだ。自己憐憫(れんびん)に沈み、一段の損失のリスクを放置して漫然と事態を見守り続けるか、正気を取り戻して、これまでの利益を守り将来の損失を抑えるために行動するかだ。

相場がどこまで下落するか、誰にも確信はない。ただ、相当に信頼性の高い人々が、27日の下落は短命なものではないと予想している。

マーク・ファーバー社の創業者でマネジングディレクターとして約3億ドル(約355億円)の運用に携わるマーク・ファーバー氏は27日のインタビューで、「私は1人の投資家として、ここは幾分か用心深く、下落したところで積極的に買うよりも、売ることを考える」と述べた。「そして、3カ月ほどしたら、その時点で状況を見極めればならないだろう」と同氏は付け加えた。同氏は1987 年の株式相場急落を正しく言い当てたことで知られている。

BCAリサーチ(モントリオール)のストラテジストらも、特に中国株については同様の考えだ。同社は27日付の投資家あて電子メールで、「上昇が再開する前に、20-30%下落しても驚かない。顧客には様子を見るよう勧める」とアドバイスした。

ベルキン氏のモデル

定量モデルを使って金融市場の動きを予測するベルキン社のマイケル・ベルキン社長は、1月に弱気に転じた。同氏によると、相場は200日移動平均に戻り、最終的には200週移動平均に回帰する傾向がある。

これを当てはめると、S&P500種株価指数は6-10%下落、ダウ欧州株価指数は7.1-28%下落、TOPIXは10-29%下落するということになる。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)新興市場指数は13-38%下落となる。

ベルキン氏は1月28日のリポートで、「リスク軽視のバブルがはじけることで、相場は急落した後に急反発し、その後再びさらに下落するという乱高下に見舞われる可能性がある」と記述していた。さらに、「背伸びし過ぎた世界の金融市場は恐らく、破裂の寸前に来ており、その影響はレバレッジをきかせたデリバティブ(金融派生商品)のポジションに追い証が発生するなかで、自己増幅していくだろう」との予想を示している。

このような警告に耳を貸すべき理由は何かというと、ベルキン氏、あるいは同氏のブラックボックス(コンピューターモデル)は、1999年末のナスダック(店頭市場)総合指数の上昇と2000年3月のインターネット株バブルの破裂、さらに2002年末に始まったハイテク株上昇を正しく予見したからだ。同氏は 2006年5、6月の世界同時株安も言い当て、7月末に回復に転じるとの予想も的中した。

自衛策

このような忠告を受け取った以上、何らかの自衛策を講じるべきだろう。ベルキン氏の最悪のシナリオ予想を受け入れるならば、あるいはファーバー氏が正しいと思うならば、ここは株式から一時撤退して資金をマネー・マーケット・ファンドや短期の政府証券に避難させるのも1つの選択肢だ。もっとガッツがあるなら、さまざまな地域や国の市場、業界グループなどに連動する上場投資信託(ETF)を空売りすることもできる。

ファーバー氏は1月8日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、金を推奨した。不安な時代の伝統的な投資先だ。同氏は、相場下落を受けて米金融当局が積極的に金融緩和を進めインフレに火を付ける可能性を指摘した。

しかし、多くの投資家にとって、株式をすべて売却して金に投資したり、大量の現金を手元に置いたりすることは不可能だろう。さらに、運用者は通常、値上がりしそうな市場から撤退するのを好まない。リターンで同業者に後れを取るのが嫌だからだ。

ディフェンシブ株と質への逃避

妥協策としては、伝統的なディフェンシブ銘柄を増やし、景気敏感株を減らす手がある。つまり、医薬品株や公益株、食品や飲料、たばこなどの消費関連銘柄を増やすことだ。下げ相場ではこれらの銘柄が、ハイテクや素材、自動車や娯楽、外食などの裁量的消費対象の銘柄よりも好パフォーマンスとなるものだ。好パフォーマンスと言っても相対的な話で、下落しないということではないのをお忘れなく。

メリルリンチのストラテジストらは、債券市場でも質への逃避を勧める。同社の2月13日付のリポートによると、ジャンク(高リスク・高利回り)債のスプレッド(米国債との利回り格差)があと50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大すれば、向こう1年の米国債投資のリターンはジャンク債リターンを上回る。50bpの拡大が難しいと考える向きには、2000年にはスプレッドが440bp拡大したことを思い出してほしい。

メリルのアナリストらは、年限5-15年の米国債と質の高い投資適格級社債、英国とユーロ圏の同様の債券を推奨している。日本とカナダについては、より年限の短い債券を推奨した。

グリーンスパン前議長

株式相場の大幅下落への懸念は、杞憂(きゆう)に終わるかもしれない。しかし、2005年8月26日にグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)は、「過去の歴史を見ると、リスクプレミアムの低い状態が長期にわたった後の影響は、優しいものではない」と述べた。グリーンスパン前議長の発言は、多くの場合正しい。(マイケル・R・セシット)

(マイケル・R・セシット氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。コラムの内容は同氏自身の見解です)