2/28 ブルームバーグ 記事
訂正:日本株(終了)全面安、中国発の世界株安引きずる-売買は最高
(13段落目のジャスダック市場の高安銘柄を一部訂正し、再送します)
2月28日(ブルームバーグ):東京株式相場は大幅続落し、日経平均株価は一時700円以上の下げとなった。終値ベースの下落率は、2006年6月13日以来の大きさ。東証1部の値下がり銘柄数は1676、売買代金は4兆8282億円と、ともに過去最高を記録。中国政府による株式市場の違法行為取り締まり措置の発表がきっかけとなり、27日から始まった世界同時株安の流れを引きずった。東証業種別33指数は、全業種が下げる全面安だった。
中国株の急落については、前日の東京市場の午後の取引でその兆候を把握していたが、リスクマネーの収縮を背景にした円キャリートレード(円借り取引)の巻き戻し懸念から、外国為替市場では円が対ドル、対ユーロで急伸。為替動向を通じた危機感の増大が、日本株の下げを一層加速させた。
日経平均株価の終値は、前日比515円80銭(2.9%)安の1万7604円12銭。TOPIXは同58.59ポイント(3.2%)安の1752.74。東証1部の売買高は概算で36億8639万株。
ソシエテジェネラルアセットマネジメントの高野雅永ストラテジストによると、「中国で『信用創造』に規制が入るとなると、リスク許容度は一気に冷える。バリュエーションの高いインドや中国市場には、大手のマクロ型ヘッジファンドの売りが入ることになる。今年は為替や債権、株式といずれの市場でも大きなぶれが予想されていなかったため、今回の影響が大きくなった」という。
中国発で投機資金が巻き戻し
リスクマネー収縮か――。バブル崩壊後のボックス相場を抜け出す原動力となった世界のマネーフローに変調が起こった。中国政府は26日、国務院が違法な株式売却など株式市場の違法行為を取り締まるための特別作業部会を承認したと発表した。これを受け、前日の中国上海指数は8.8%安と過去最大の下げ幅を記録。リスクマネーの収縮懸念が世界中に広がり、米国では01年9月11日の対米同時多発テロ後、取引が再開された日以来の急落となるなど、世界同時株安につながった。
世界マネーの変調は、為替相場にも色濃く表れた。前日のニューヨーク外国為替市場では円が買い戻され、対ドルで05年7月21日以来、約1年7カ月ぶりの大幅上昇となったほか、対ユーロに対しても大幅高となった。海外時間の円相場の高値は1ドル=117円50銭、1ユーロ=155円74銭(ブルームバーグ・コンポジット)。市場では、「為替相場で円高進行が加速すれば、円キャリーの巻き戻しから、世界的な過剰流動性に影響が出る可能性がある」(水戸証券の阿部進投資情報部長)との声が多かった。
米シティグループ・グローバル・マーケッツの新興市場担当グローバル責任者であるドナルド・ハンナ氏は、中国株の急落の背景について「来週の全国人民代表大会(全人代)で株価押し下げを図る法案が提出されると懸念した投資家が最高値を付けていた株式を売ったとみている。ただ、こうした政策が進展するとは考えにくい」との見方を示した。
日経平均先物の出来高が急増、東証は一時中断措置
世界同時株安の影響を受け、日本株市場では日経平均先物3月物の出来高が急増。午前の段階で、1日を通して活況といわれる10万枚を超え、20万199枚となった。一方、東京証券取引所は取引開始直後に、TOPIX先物取引、オプション取引を一時中断と発表。午前9時7分から15分間中断し、午前9時22分に再開した。裁定取引の制限措置を実施するとも発表した。発表資料によると、制限措置の実施水準はTOPIXが1711.33ポイント未満の場合に制限される。裁定買い残が2月第2週(13-16日)時点で、5兆6057億円と過去最高水準に積み上がっており、裁定解消売りが警戒された。
日興コはストップ安比例配分、上場廃止の報道
全体相場が急落する中でも個別で注目を集めたのが日興コーディアルグループ。株価はストップ安(値幅制限いっぱいの下落)比例配分。東証が日興コーデ株を上場廃止にする方向で最終調整に入ったと、28日付の日経新聞朝刊が報じたことを受けた。一方、東京証券取引所は28日、監理ポストに割り当てられている日興コーデ株の取り扱いについて、「現時点では結論に結びつくような方向性を一切有していない」との見解を表明した。
パニック売りにはならず
もっとも、市場関係者の心理は総悲観にまでは至らなかった。日経平均は取引開始直後に急落しただけで、その後は安値圏でのもみ合いとなり、パニック的な売りは見られなかった。東京時間に入ってからドル・円相場が1ドル=118円前半、ユーロ・円相場は1ユーロ=156円前半とやや円安水準の落ち着いた動きとなったほか、震源地となった中国市場で上海総合指数が小幅高で堅調に推移してことなどが安心感につながった。
いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、今後の見通しについて「動揺は短期的にとどまるだろう。国内景気は拡大基調にあり、今期業績は2けた増益、来期業績も期待できる。先高期待は残ると見ており、動揺が短期で収まれば、3月末に日経平均1万8500円は想定できる」と見ていた。
ジャスダックなど新興市場も大幅安
国内の新興3市場も大幅安。ジャスダック指数は前日比2.7%安の89.11、東証マザーズ指数は同2.8%安の1113.95、大証ヘラクレス指数は同3.2%安の 1818.83となり、世界同時株安の影響を受けた。
ジャスダック市場では、楽天やSBIイー・トレード証券、スパークス・グループなど時価総額上位株が下げ、昨日には昨年9月来の1600円に乗せていた新報国製鉄は急反落で下落率1位。一方、SBSホールディングス、日清医療食品が高い。債務超過解消に取り組み3期連続赤字だった最終利益は今期に黒字転換する見込みと発表した佐渡汽船がストップ高、株式分割と増配を発表した明治電機も5日ぶりに反発。値下がり銘柄数798に対し、値上りは73。
東証マザーズ市場では、韓国モバイルメーカーの倒産で前期の連結純利益が黒字から赤字予想に修正されたシコー技研が大幅続落。ACCESS、ディーエヌ・エーなども安い。半面、そーせいグループ、日本風力開発などが買われた。値下がり銘柄数は145で、値上りは29にとどまった。
大証ヘラクレス市場では、中間連結業績予想が赤字転落に修正したフォトニクスがストップ安となった。大阪証券取引所、ダヴィンチ・アドバイザーズなども売られた。半面、ぐるなび、ターボリナックスなどが高い。値下がりが138に対して値上りはわずかに9。
IPO4社
また、この日はIPO(新規株式公開)が相次いだ。ジャスダック市場にAQインタラクティブがIPO。初値は公開価格15万6000円より41%高の22万円となった。ストップ高で終了し、終値は38万円となった。大証ヘラクレス市場にはFCMがIPOした。公開価格2450円を22%上回る3000円の初値が付いた。ストップ高(値幅制限いっぱいの上昇)で終え、終値は3500円となった。
また、札証アンビシャス市場にはテラネッツがIPO。売り気配で始まり、初値は12万円を25%下回る9万円となった。終値は8万円。東証2部には永大産業がIPOした。売り気配で始まり、公開価格520円から3.8%下げ初値は 500円となった。終値は550円。
日経平均は2カ月間で10%調整も、米国株と国内業績-メリル証菊地氏
2月28日(ブルームバーグ):メリルリンチ日本証券の菊地正俊株式ストラテジストは、28日付の日本株投資戦略メモで、「日経平均株価は今後約2カ月間で10%程度調整する可能性がある」との見方を示した。高値圏で推移する米国株式相場の調整傾向が続くと見られる上、4月に入ると国内企業の慎重な業績予想発表が相次ぐためという。
28日の東京株式相場は大幅続落し、日経平均株価は一時700円以上の下げとなった。終値ベースの下落率は、2006年6月13日以来の大きさ。東証1部の値下がり銘柄数は1676と過去最高を記録した。中国政府による株式市場の違法行為取り締まり措置の発表がきっかけとなり、27日から始まった世界同時株安の流れを引きずった格好だ。
メリル証の菊地氏は、今回の世界同時株安の背景について「上げ過ぎの反動」と見ている。過去の日米の株価指数の下落率上位5位を見ると、アジア通貨危機やIT(情報通信)バブル崩壊、金融危機など予見し得なかった将来のイベントを織り込んだことが背景にあったという。過去上位5位の下落率はいずれも5%を超えている。もっとも、今回の世界同時株安は日米ともに3%程度の下落率にとどまっており、過去の下落率10位にも入らず、「世界の流動性危機や景気後退など大きなファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の変調を織り込んでいない」(菊地氏)としている。
もっとも、米市場ではS&P500指数が連続上昇後にしばらく上昇を休止する傾向があるほか、国内では4月になると慎重な企業業績の発表が相次ぐという悪材料が現れるため、目先の日本株相場は調整すると菊地氏は予想した。
日経平均は過去3年間とも春に調整している。菊地氏によると、下落率は 04年4-5月期が14%、05年3-5月期は10%、06年4-6月は19%。ピークから底入れまでの基幹は1カ月弱から2カ月強だったという。 「経験側を当てはめると、日経平均は2月26日の取引時間中の高値1万 8300円から約10%下落で1万6500円が下値めどになる。調整期間は2カ月程度でゴールデンウィークごろまでになるだろう」(菊地氏)。
第4四半期米実質GDP:2.2%増に下方修正、在庫抑制などが影響
2月28日(ブルームバーグ):米商務省が28日に発表した2006 年10-12月(第4四半期)の国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)改定値は実質ベースで前期比年率2.2%増加と、先に発表された速報値の3.5%増から下方修正された。企業の在庫積み増し抑制が影響した。第4四半期のGDP伸び率はブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値では2.3%増だった。
27日の米国株大幅安は正当化できない、「買い」の好機-UBS
2月28日(ブルームバーグ):UBSのストラテジストは、米国の景気と企業利益見通しを考慮すれば、米株式相場が27日に大きく下落したことは正当化できず、買いの好機だとの見方を示している。
中国政府が違法な株取引の取り締まりを強化する方針を打ち出したことなどから、27日の中国株は大幅下落。これを受けて、世界的に株式が売り込まれた。さらに、米商務省が1月の製造業耐久財受注が前月比7.8%減になったと発表したことから、株式相場は一段安。ダウ工業株30種平均は前日比3.3%安と、ほぼ4年ぶりの大幅下落となった。
UBSのストラテジスト、デービッド・ビアンコ、トーマス・デルフリンガー両氏は28日付のリポートで、「こうした理由はいずれも米株式相場下落の大きさと広がりを正当化していない。あらゆる決定的なファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は変わっていない」と述べた。
水野日銀委員:利上げ今後も進める必要、総裁会見で混乱と批判(6)
2月28日(ブルームバーグ):日本銀行の水野温氏審議委員は28日午後、仙台市内で会見し、「金利引き上げを今後も進めていくことが必要である」と述べた。また、金融政策をめぐって市場が大きく揺れたことについて、昨年12月の金融政策決定会合後の福井俊彦日銀総裁の会見で「混乱が生じてしまった」と批判。「フォワード・ルッキング(先見的な)な考え方が日銀の中でぐらついているのではないか、という懸念が出てきたのではないか」と指摘した。
金融政策をめぐる市場の予想はこの数カ月、大きく揺れ動いた。水野委員はその原因について、福井俊彦総裁が12月の金融政策決定会合後に行った会見で「消費者物価、個人消費について、いくばくか不安があると述べたことで、混乱が生じてしまった」と述べた。
水野委員はさらに、「(総裁会見の)キーワードは、フォワード・ルッキングな政策を続けていくということであり、経済の好循環は変化していないということだったが、あえて言わなくても良いことを言ってしまった可能性もある」と言明。それによって「金融政策の決定に対するフォワード・ルッキングな考え方というのが、日銀の中でぐらついているのではないか、という懸念がやや出てきたのではないか。そこが出発点だと思う」と語った。
水野委員はまた、「1月に実際に政策変更を見送った結果、金融政策の予測可能性が低下したことが一番問題であった」と指摘した。
ファンダメンタルズは健全
世界的な株価の下落については「一日の動きでもあるし、今後の動向については注意深く見ていくしかない」としながらも、「一過性でなく、株価の下落がより深刻化していくようなファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)な環境であるかどうかという点からすると、これはそうではないだろうなと今の時点では思っている」と語った。
07、08年度のコアCPIは0.3%、0.5%程度か
水野委員は講演で、07、08年度にかけての経済について「1%台半ばである潜在成長率を若干超える2%程度の成長率になることを想定している」と述べた。消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比上昇率については「仮に1.5%前後が潜在成長率と考えると、基本的に需給ギャップは需要超過方向に行くので、物価については方向としては緩やかに上昇していくことになる」と指摘。
そのうえで、「昨年10月時点の物価情勢の展望(展望リポート)では、コアCPI前年比上昇率は06年度がプラス0.3%、07年度がプラス0.5%という見通しを出したが、それがちょうど後ずれするような形になっていくのだろうというのが、今の時点のラフなイメージだ」と語った。
主な一問一答は次の通り。
――講演で「『市場との対話』では、個人的には『シンプルかつ一貫性のあるメッセージ』を出していきたい」と述べたが、1月と2月の金融政策決定会合をめぐっては、市場の予想と結果が大きくかい離した。なぜそうなったとお考えか。
「私自身はシンプルかつ一貫性のあるメッセージという意味では、12月の金融政策決定会合後の(福井)総裁の記者会見で、おそらくフォワード・ルッキングな金融政策を続ける、それから生産、所得、支出の好循環が続いている、ただ消費者物価、個人消費について、いくばくか不安があるという発言を受けて、混乱が生じてしまったのかなと」
「キーワードは、フォワード・ルッキングな政策を続けていくということであり、経済の好循環は変化していないということだったが、あえて言わなくても良いことを言ってしまった可能性もあるなと。それによって、市場参加者の中に、金融政策の決定に対するフォワード・ルッキングな考え方というのが日銀の中でぐらついているのではないか、という懸念がやや出てきたのではないか。そこが出発点だと思う」
「その中で、12月、1月と政策変更が見送られ、2月に利上げが決まったが、私自身の投票行動については1月会合で利上げを共同提案した。私の考え方は、1月会合で現状維持に対する反対意見として述べた」
「すなわち、①先行きの景気は緩やかな拡大を続ける可能性が高く、長い目でみれば、物価も徐々に上昇していくことが見込まれる②こうした展望が確認できた以上、金融政策の正常化を進めることが自然であり、正常化を進めないと、金融政策予想の不確実性を高めてしまう③そうした状況が金融市場に定着することによって、市場との対話が困難になる―ということに尽きる」
「1月に実際に政策変更を見送った結果、金融政策の予測可能性が低下したことが一番問題であったのかな、という私自身の反省がある。そういう意味で、今回の講演では、シンプルかつ一貫性のあるメッセージ、すなわち、フォワード・ルッキングな金融政策運営と、私が考える金利の正常化の2つをキーワードに政策運営を行う姿勢が重要だとあらためて指摘した」
――福井総裁の会見自体が適切ではなかったということか。
「福井総裁の発言が問題というよりも、福井総裁があのような発言をしたということは、そういう議論があったから発言されたと理解している。ただ、外から見ると多分、非常に分かりにくいだろう。分かりにくかった、という具体的な指摘を何人かの市場関係者から受けている」
――世界的な株価の下落についてどうみるか。
「本日一日の株価の下落についてはコメントをしないことが基本だ。私の理解するところでは、昨日の中国の株の下落が新興諸国、欧州、米国に波及して、まさにグローバリゼーションの表れだと思う。その中で日本株も下がっているという見方が指摘されている」
「為替についても、米国の耐久財受注で弱い数字が出たことを理由として、多少不透明感が出てきたと言われていると理解している。ただ、一日の動きでもあるし、今後の動向については注意深く見ていくしかない」
「この株価の下落が一過性でなければ心配しなければならないという話だと思うが、一過性でなく、株価の下落がより深刻化していくようなファンダメンタルズな環境であるかどうかという点からすると、これはそうではないだろうなと今の時点では思っている」
――消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比上昇率が目先、マイナスに落ち込む可能性があることで、市場では当面、次の追加利上げは難しいのではないかとの見方があるが、こうした見方をどう考えるか。
「たしかに、原油価格の動向によってコアCPIがゼロ近傍で推移する可能性があることは、2月の金融経済月報で指摘したとおりだ。ただ、基調としては上昇していくということで、長い目で見れば、先行きの見方は変えていない。市場参加者の中で、コアCPIの見通しを前提に金融政策を予想する方がいるのは承知している」
「ただ、今回、そういう(コアCPIがゼロ近傍で推移する可能性があるという)見通しがあることをあえて月報で触れながら政策金利の引き上げを決定しているわけなので、基本的には、物価の基調的な動きについては見方を変える必要はない。あるいは、物価の基調的な動きを決める環境について言えば、海外経済、特に米国経済をめぐる不透明感がかなり後退している下で、日本経済が生産、所得、支出の好循環が維持され、緩やかな景気拡大を続ける見通しにある」
「こうした中で、設備、労働といった資源の稼働率が高まっていることを前提にしながら、政策変更をしているということになる。また、あえて付け加えると、需給ギャップに対する物価の感応度は不確実性があるということだ。需給ギャップが拡大しても、直ちに物価が上がり始めるわけではない」
「こうしたことを踏まえると、物価上昇率がある程度高まるまで、需給ギャップのプラス方向をしっかりと維持していく必要がある一方、先行きの反動を大きくしないために、需給ギャップのプラス幅をあまり大きくするわけにもいかないと考えている。こうしたバランスを考えながら、金利引き上げを今後も進めていくことが必要であると考えている」
「市場の見方を全く否定するわけではないが、市場の見方に対して、それなりの回答を金融経済月報で触れてあるのではないかと個人的には思っている」
――講演で07、08年度にかけての経済について「1%台半ばである潜在成長率を若干超える2%程度の成長率になることを想定している」と述べられた。コアCPI前年比上昇率についてはどういう数値を想定しているのか。
「成長率についてざっくりと言うと、潜在成長率プラス・アルファを想定している。なぜプラス・アルファかというと、世界経済が5%程度の成長を続ける蓋然(がいぜん)性が高いと考えるとプラス・アルファが0.5%程度で、(成長率全体としては)2%程度がひとつのめどではないか」
「仮に1.5%前後が潜在成長率と考えると、基本的に需給ギャップは需要超過方向に行くので、物価については方向としては緩やかに上昇していくことになると思う。昨年10月時点の物価情勢の展望(展望リポート)では、コアCPI前年比上昇率は06年度がプラス0.3%、07年度がプラス0.5%という見通しを出したが、それがちょうど後ずれするような形になっていくのだろうというのが、今の時点のラフなイメージだ」
「企業部門から家計部門への波及が少し遅れている部分だけ、物価についても波及が少し遅れている部分があるという考え方だ」