2/27 ブルームバーグ 記事
米国株:急落、世界株安-主要株価指数3種は年初来マイナス(2)
2月27日(ブルームバーグ):米国株式相場は急落。約6000億ドルの時価総額が失われ、年初来の上昇分を帳消しにした。中国株の大幅安をきっかけに世界的に売りが広がった。この日は2002年に強気相場が始まって以来最大の下げを記録した。
ダウ工業株30種平均は一時、546ドル安を記録。これは2001年9月11日の対米同時多発テロ後、取引が再開された初日以来最大の値下がり。27日の午後3時頃には1分間で151ドル下げた。S&P500種株価指数に採用されている銘柄のうち値上がりしたのは2銘柄だけだった。
バークレイズ・グローバル・インベスターズのラス・ケステリッヒ氏は、「これは極めて乱暴な売り浴びせだ」と語る。
この日の世界的な株安は、中国政府が株式市場の違法行為を取り締まる措置を発表したのがきっかけだった。中国株は10年ぶりの大幅安、ダウ欧州株価指数は3%安。新興市場の株価も下落した。ロシア株も最高値から反落、ブラジル株の指標、ボベスパ指数は6.6%下げた。
一方、世界的な株安のほか、1月の米製造業耐久財受注額が予想以上に落ち込んだことから、債券への需要が高まり米国債相場は上昇した。
ダウ平均は前日比416.02ドル(3.3%)安の12216.24ドル。S&P500種は同50.33ポイント(3.5%)下げて1399.04。ナスダック総合指数は同96.66 ポイント(3.9%)低下して2407.86。
取引終了1時間前には、ダウ平均が1分間に178ドル下げたことがトレーディング端末で表示された。ダウ平均指数を算出するダウ・ジョーンズは後に、この下げ幅はデータサーバーの技術的問題によるものだと説明した。
一時は、ダウ平均とS&P500種いずれも2002年9月以来最大の下げを記録。取引終了時点では、ダウ平均とS&P500種は2003年3月以来最大の下げを記録し、ナスダックは日中の下げとしては2002年12月以来最大だった。
中国の取り締まり
中国政府は26日、国務院が、違法な株式売却など株式市場の違法行為を取り締まるための特別作業部会を承認したと発表した。上海証券取引所と深セン証券取引所の人民元建てA株に連動している上海・深セン300指数は前日比9.2%安で取引を終了した。
米国の株式相場はこれまで、過去最大規模のレバレッジド・バイアウト(LBO、買収先の資産を担保にして資金を調達する買収)が2件発表されたのを手掛かりに上昇基調だった。
イースタン・インベストメント・アドバイザーズ(ボストン)のジョン・カッター最高投資責任者(CIO)は、「米国の投資は少し過熱しており、若干、沈静化する必要があった」と語る。
相場のボラティリティーを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX)は64%上昇した。投資家は株式保有リスクの高まりを認識している。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は1対49。出来高概算は 24億株。3カ月平均を58%上回った。
S&P500種に採用されている銘柄のうち、原材料株で構成する指数は 4.2%安と産業別10指数のなかで値下がり率トップだった。
米住宅ローン延滞率、06年10-12月は4年ぶり高水準-連邦準備制度
2月27日(ブルームバーグ):米連邦準備制度が27日ウェブサイトで公表したデータによると、2006年10-12月(第4四半期)の住宅ローン延滞率は4年で最高の水準だった。
それによると、返済が30日以上遅れている住宅ローンの割合は第4四半期に2.11%と前四半期の1.72%から上昇し、02年第4四半期以来で最高だった。データは季節調整前。
延滞率は、雇用と所得が伸びるなかで上昇しており、経済環境よりも融資基準の甘さが債権劣化の背景にあることを示唆している。金融当局者は今年、住宅ローンの貸し倒れは低所得層を対象としたサブプライム住宅ローンに集中していることを繰り返し強調している。
マクロエコノミック・アドバイザーズの副社長で元連邦準備制度のエコノミスト、ブライアン・サック氏は「重要なのは、この問題が家計部門の一部分に限定されるのか、より広範なマクロ経済の問題となるのかだ」と述べた。「一部の家計は苦境にある」と同氏は指摘した。
全米抵当貸付銀行協会(MBA)によると、サブプライム住宅ローンの延滞率は06年7-9月(第3四半期)に12.56%と、前四半期の11.7%から上昇した。過去5カ月に破たんしたり、業務縮小や身売りに追い込まれた住宅金融会社は少なくとも20社に上る。サブプライム住宅ローンを裏付けとした住宅ローン担保証券(MBS)を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のCDSスプレッド(債務保証料)は27日まで、8営業日連続で上昇した。
信用履歴の芳しくない借り手を対象としたサブプライム住宅ローンの金利は通常、より安全な住宅ローンに比べ2-3ポイント高い。MBAによると、 06年はサブプライムローンが新規ローンの約20%を占めた。
ナショナル・コンシューマー・ロー・センターの弁護士、アリス・コーエン氏は「銀行もノンバンクも、借り手の返済能力を無視し、多くの貸し付けを行ってきた」と指摘した。
季節調整済みの延滞率は06年末時点で1.91%となり、03年1-3月(第1四半期)以来で最高だった。
バークレイズ・キャピタルの米国担当シニアエコノミスト、ジュリア・コロナド氏は「住宅ブームは1年半ほど前にピークを付けた。延滞率の緩やかな上昇は驚きではない」と語った。
ゴールドマン株、02年7月以来で最大の下げ-住宅ローンや中国懸念で
2月27日(ブルームバーグ):米証券大手、ゴールドマン・サックス・グループの株価が27日、2002年7月以来で最大の下落を演じた。米国の住宅ローン市場の環境悪化と中国株の急落が利益を押し下げるとの懸念を背景に、証券株の下げを主導した。
ニューヨーク時間午後2時32分(日本時間28日午前4時32分)現在、ゴールドマン株は13.20ドル(6.2%)安の200.80ドル。モルガン・スタンレーとリーマン・ブラザーズ・ホールディングスはそれぞれ4.5%下げた。
クレジット・デフォルトスワップ(CDS)市場の動向は、リスクの高いサブプライム住宅ローン担保証券(MBS)の保有リスクが高まったとの見方を示している。金利上昇と住宅価格の下落で、一部の借り手は返済に行き詰まり始めた。上海・深セン300指数は27日、9.2%安と10年ぶりの急落を演じた。中国政府は株式市場への規制強化姿勢を示した。
ポルタレス・パートナーズ(ニューヨーク)のアナリスト、チャールズ・ピーボディ氏は「住宅ローン市場の環境変動から証券会社が無傷ではいられないとの認識が高まっている」と述べた。また、「中国で起こったことと、その資本市場への影響が懸念される」と指摘した。
モルガン・スタンレー株は3.50ドル安の75.02ドル。リーマン株は3.48 ドル安の74.35ドルとなっている。ベアー・スターンズは6.05ドル(3.8%)安の152.18ドル。
欧州株:3年半ぶりの大幅安、中国株急落で鉱山株などに売りが波及
2月27日(ブルームバーグ):欧州株式相場は大幅安。3年半ぶりの大幅な下げとなった。中国株の急落を受けて投資家心理が冷え込み、世界の株式相場が同時に下げたことが売りを誘った。
鉱山最大手の豪BHPビリトンや英豪系リオ・ティント・グループ、英スタンダード・チャータード銀行を中心に売りが膨らんだ。中国政府が投資規制を強化するとの見方が強まるなか、売上高に中国の占める割合が高い企業の株に売りを誘った。
ベアリング・アセット・マネジメントで約370億ドルの資産運用に携わるディレクター、ジェームズ・バックレー氏(ロンドン在勤)はこの日の大幅安について「中国株の急落が主因だ。鉱山株はいつもアジア発の利益確定売りなど大きな値動きに最も影響を受けやすい」と述べた。
ダウ欧州株価指数は前日比3%下げて370.56と、2003年5月以来の大幅な下落率となった。業種別ダウ欧州株価指数は4業種を除きすべて下げた。ダウ欧州50種株価指数は2.6%安、ユーロ圏の50銘柄で構成するダウ・ユーロ50種は2.7%下げた。
中国株式市場では上海総合指数が10年ぶりの大幅な下げとなった。中国政府が、株価指数の上昇に寄与してきた違法な投資を取り締まるとの懸念が広がった。この日の急落により、過去1年で2倍に膨らんでいた中国市場の時価総額は1078億ドル減少した。
フォーティス・プライベート・バンキング(ルクセンブルク)の株式ストラテジスト、ギロム・ドュシェン氏は「新興市場に依然として強気だが、数週間前に中国については慎重になるよう顧客に助言した。そして今日、それが当たった」と述べた。
BHPは6.2%安。同社にとって中国は欧州に次ぐ2番目に大きな市場。リオ・ティントは4.8%下落した。世界4位の銅生産会社、スイスのエクストラータは6.7%下げた。
業種別ダウ欧州株価指数で「鉱山株」は今週に入ってから最高値を更新していた。工業用金属の需要が中国とインドから強まり、鉱山関連企業の業績が増加するとの見方が背景。
業績にアジアが占める割合が最も大きいスタンダード・チャータード銀は3.9%安となった。
欧州5位の石油会社、スペインのレプソルYPFは2.6%下落。生産減少と石油精製の利益率低下が響き、2006年10-12月(第4四半期)決算が14%の減益になったことを嫌気した。
欧州2位のトラックメーカー、スウェーデンのボルボは4%安。総合機械メーカー、米インガソール・ランドの道路建設部門を現金13億ドル(約1560億円)で買収することで合意したと発表した。
英独仏の株式指標
この日の英国FT100指数は前日比148.60ポイント(2.3%)安の6286.10。FTオール・シェア指数は同83.84ポイント(2.5%)下げて3252.32。
ドイツのDAX指数は同207.94ポイント(3.0%)安の6819.65。HDAX指数は同119.23ポイント(3.3%)下げて3525.86。
フランスのCAC40指数は同174.15ポイント(3.0%)下げて 5588.39で終了した。
新興市場株:06年6月以来で最大の下げ-中国株急落で資金が逃避
2月27日(ブルームバーグ):新興市場(エマージング・マーケット)株が27日、2006年6月以来で最大の下げを演じた。中国株の急落を受けて、リスク資産への投資意欲が後退した。
中国株は、株価を押し上げていた不正な投資への取り締まりを同国政府が強化するとの懸念を背景に、10年で最大の下落を演じた。ロシア株は過去最高から下落。トルコ株は06年6月以来で最大の下落を演じた。中南米株は今年の上昇分を失い、ブラジルのボベスパ指数は4.3%安、メキシコのボルサ指数は 06年7月以来の大幅下落となっている。
約3億ドルを運用する香港の投資家マーク・ファーバー氏は、新興市場株は「買わない」として、「金融市場で何かが変わった。安値で買うよりも上昇時に売るべき局面だ」と語った。
新興市場株は中国の成長が銅や原油などの価格を押し上げるとの安心感を背景に、過去最高を更新してきた。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の新興市場指数は26日までの1年に20%上昇していた。株価収益率(PER)は15.92倍となっていた。
同指数はニューヨーク時間27日午後零時46分(日本時間28日午前2時46 分)現在、2.7%安の915。
中国の人民元建てA株で構成する上海・深セン300指数は27日、250.18ポイント(9.2%)安の2457.49。中国株は過去1年で2倍に値上がりしていたが、この日の下落で1078億ドルが失われたことになる。指数構成300銘柄中249銘柄が値幅制限いっぱいの10%まで下げた。
中国市場への投資規制が同国企業の業績に影響するとの懸念も、世界の株価を押し下げた。ブラジルでは鉄鉱石最大手のバレ・ド・リオドセ(CVRD)が4.9%安となった。アルゼンチンのメルバル指数は5%安。メキシコ株の指数は2.4%安となっている。
2月27日の海外金融・株式・為替市場
○米国株:急落。約6000億ドルの時価総額が失われ、年初来の上昇分を帳消しにした。中国株の大幅安をきっかけに世界的に売りが広がった。この日は2002年に強気相場が始まって以来最大の下げを記録した。
ダウ工業株30種平均は一時、546ドル安を記録。これは2001年9月11日の対米同時多発テロ後、取引が再開された初日以来最大の値下がり。27日の午後3時頃には1分間で151ドル下げた。S&P500種株価指数に採用されている銘柄のうち値上がりしたのは2銘柄だけだった。
バークレイズ・グローバル・インベスターズのラス・ケステリッヒ氏は、「これは極めて乱暴な売り浴びせだ」と語る。
この日の世界的な株安は、中国政府が株式市場の違法行為を取り締まる措置を発表したのがきっかけだった。中国株は10年ぶりの大幅安、ダウ欧州株価指数は3%安。新興市場の株価も下落した。ロシア株も最高値から反落、ブラジル株の指標、ボベスパ指数は6.6%下げた。
一方、世界的な株安のほか、1月の米製造業耐久財受注額が予想以上に落ち込んだことから、債券への需要が高まり米国債相場は上昇した。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値によると、ダウ平均は前日比 416.02ドル(3.3%)安の12216.24ドル。S&P500種は同50.33ポイント(3.5%)下げて1399.04。ナスダック総合指数は同96.66ポイント(3.9%)低下して2407.86。
ダウ平均とS&P500種は2003年3月以来最大の下げを記録し、ナスダックは日中の下げとしては2002年12月以来最大だった。
○米国債:米国債相場は続伸。世界的に株式や債券に売りが出るなか、安全な投資先としての米国債需要が高まり、2005年6月以来最大の上げとなった。
10年債利回りは12月以来の水準に低下。中国株式相場の急落で、リスクの高い資産が敬遠されるとの懸念が広がった。信用度の低い借り手を対象としたサブプライム住宅ローンを担保とした債券のデフォルト(債務不履行)からも、米国債の上昇が加速した。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズの債券ストラテジスト、ジョージ・ゴンカーブズ氏は、「質への逃避や高リスク市場での懸念が米国債相場を押し上げている」と指摘した。
キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後3時25分現在、10年債利回りは前日比11ベーシスポイント(bp、1bp =0.01ポイント)以上水準を下げて4.51%。これは05年6月22日以来最大の低下。10年債価格は(表面利率4.625%、2017年2月償還)は 29/32上げて100・29/32。
○NY外為:円相場が大幅高。対ドルでは約1年7カ月ぶりの大幅な上昇率となった。米国株の大幅安に加え、新興市場の資産を敬遠する動きが広がったことから円の買い戻しが膨らんだ。
円は英ポンドやユーロに対しても上昇した。国際通貨基金(IMF)のラト専務理事が26日夜、低金利の円で資金調達して高金利通貨の証券で運用する「円キャリー取引」の増加が為替相場の不均衡を招きかねないとの見解を示し、円の買い戻しを誘った。もう1つの代表的な調達金利通貨であるスイスフランもほぼ3カ月ぶりの大幅高となった。
パトナム・インベストメンツで290億ドル相当の通貨資産の運用に携わるパレシュ・ウパダヤ氏は「円キャリー取引には向かい風が吹き荒れている。円売りの持ち高を減らす動きから円には上値余地がある」と述べた。円の売り持ちとは円の先安観を基にして形成した持ち高を意味する。
ニューヨーク時間午後4時15分現在、円はドルに対して1ドル= 117円94銭と前日の120円66銭から2.3%上昇。2.4%高となった 2005年7月21日以来の大幅な上昇率となった。一時は117円49銭と06年12月15日以来の円高・ドル安水準を付けた。円はユーロに対しても前日の1ユーロ=159円13銭から156円18銭に上昇した。前週末23日には一時、159円65銭と過去最安値を付けていた。
中国株の急落を受け、投資家がリスクの高い新興市場資産を敬遠したため、円はトルコ・リラや南アフリカ・ランド、アイスランド・クローナに対しても大幅高となった。
金利差
日本の政策金利は0.5%と先進国中で最も低い。一方、米英は 5.25%、スイスは2%、ユーロ圏は3.5%となっている。
ドルは対ユーロでほぼ2カ月ぶりの水準に下落した。1月の米耐久財受注額が前月比7.8%減少。12月の2.8%減から減少率が加速したため、米連邦公開市場委員会(FOMC)が今年中に利下げに踏み切るとの見方が高まり、ドル売りを誘った。
ドルはユーロに対し、1ユーロ=1.3242ドルと前日の1.3188ドルから下落。一時は1.3259ドルと1月3日以来の安値となった。
「ひどい耐久財」
米銀バンク・オブ・ニューヨーク(BONY)のシニア為替ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏は「耐久財受注はかなりひどい内容だった。市場参加者はわたしと同じようにドルを売る時期だと考えているようだ。現在、金利差をテーマにした材料はドル安方向に働いている」と述べた。
日米の2年物国債利回りの差は3.77%ポイントと、2006年12月7日以来の狭さとなった。
新興市場の株価が下落したことはリスク資産を敬遠する動きにつながり、円買い材料となった。
中国株式市場では上海総合指数が10年ぶりの大幅な下げとなった。中国政府が、株価指数の上昇に寄与してきた違法な投資を取り締まるとの懸念が広がった。過去最高値圏にあったロシアと南アの株式相場も下落。トルコ株は06年6月以来の大幅な下げとなった。
イランがウラン濃縮活動の停止を求めた安保理制裁決議に従っていないことも円高につながった。
地政学リスク
ウパダヤ氏は「米国がイランに対して行動を起こす恐れがあり、地政学リスクは高まっている」と指摘。それが安全資産としての円の地位を高めているとの見方を示した。
スコシア・キャピタルの外為トレーディング担当ディレクター、スティーブン・バトラー氏は「市場参加者は非常に神経質になっているようだ。キャリー取引を解消している」と語った。
○英国債:英10年国債相場は上昇し、利回りは7週間ぶり低水準となった。イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)メンバー、デービッド・ブランチフラワー氏が同中銀はインフレ鈍化に伴いポンドが下落すると予想していると述べ、これが債券の買い材料となった。
ブランチフラワー氏は26日遅くにスコットランドで講演し、エネルギー価格の下落を受けて、消費者物価インフレが向こう2,3カ月以内に目標水準まで鈍化するとの見通しを示した。
英10年国債の利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し4.80%と、1月9日以来の低水準付近となった。同国債(2016年9月償還、表面利率4%)の価格は0.19ポイント上昇し93.89。
同国のインフレ率低下が予想されるなか、メリルリンチの集計によると、今月の英10年国債相場は2年国債を上回って推移、リターンも1.2%と、2005年8月以降で最大となっている。
○欧州債:欧州10年国債相場は上昇し、利回りはほぼ2カ月ぶりの低水準となった。この日発表された1月のドイツ輸入物価の伸びが鈍化したほか、イランがウラン濃縮停止をめぐる国際的要請に対し抵抗する姿勢を示していることなどが債券の買い材料となった。
ドイツ連邦統計庁が発表した1月の輸入物価は前年同月比0.7%上昇した。伸び率は2004年4月以来で最低だった。ブルームバーグ・ニュースの調査では、回答者21人の予想中央値は前年同月比1.1%上昇だった。
ING銀行の投資適格級債券戦略責任者、パドレイク・ガービー氏(アムステルダム在勤)は、「いろいろな要因でドイツ国債相場は上昇したが、この水準からさらに買われるとは思わない」と語った。「ドイツでインフレデータが軟調、イランの抵抗も懸念だった。これら要因はドイツ国債にとっては好材料だ。また少なくとも短期的にテクニカル面でもサポートを受けている」と語った。
ドイツ10年国債の利回りはロンドン時間午後4時34分までに、前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し3.96%と、1月4日以来の低水準となった。同国債(2017年1月償還、表面利率3.75%)の価格は0.20ポイント上昇し98.28だった。