06年12月の対米証券投資が急減
再送:〔クロスマーケット〕06年12月の対米証券投資が急減、継続なら米債・ドルにも悪影響
07/02/27 07:50
*この記事は、26日夜に送信しました。
<東京市場・26日>
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日経平均 |国債先物3月限 | 国債284回債 |ドル/円(17:52) |
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18215.35円 | 134.70円 | 1.655% | 120.68/70円 |
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+26.93円 | +0.11円 | -0.015% | 120.98/00円 |
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注:日経平均、国債先物、現物の価格は大引けもしくは午後3時の値。
下段は前週末終値比。為替は前週末NY終値。
[東京 26日 ロイター] 海外から米国への証券投資が、2006年12月に単月
としては約4年ぶりの低水準に落ち込んだ。財政赤字と経常赤字のいわゆる双子の赤字を
抱える米国にとって、証券投資の流入減少が基調として継続すれば、米長期金利の上昇や
ドル下落につながりかねない。世界の市場関係者は、米国へのマネーフローに何が起きつ
つあるのか、先行きの懸念の深めながら注視している。
<世界的金利上昇、ドルとのかい離拡大も原因>
米財務省が15日に発表した海外投資家による2006年12月の対内対外証券投資(
TICレポート)によると、同月の対米証券投資(株式および中長期債)を通じた米国へ
の資本流入は、156億ドルと11月の849億ドルから大幅に減少した。これは、20
02年1月以来の低水準。同月の貿易赤字611.8億ドルを下回っている。対米証券投
資は11月の705億ドルの買い越しから110億ドルの売り越しに転じ、2005年6
月以来の売り越し額に達した。
世界的な金利上昇の流れの中で、ドル金利と他の高金利通貨との差が開いてきたことな
どが影響した可能性があるとみられている。
この統計は月ごとのブレが大きく、資金流入が細り続けるかどうか現時点で想定するの
は難しい。また、2カ月遅れで発表されるため、数年ぶりの低水準となった12月の結果
が、相場観を転換させるほどの市場インパクトではなかった。
みずほコーポレート銀行・国際為替部のシニア・マーケット・エコノミストの福井真樹
氏は「米国への資金流入の減少傾向が継続した場合、例えばグローバルなタイトニングな
どその裏に何があるのか、なぜ資金の流れが変わろうとしているのか見極めが必要だ」と
慎重にみている。
<資金の流れに大きな変化起こる可能性に警戒の声>
現段階では引っかかりを覚える程度にとどまっているこの資金流入の鈍化が、仮に今後
トレンドとなっていくようであれば、世界の資金の流れが大きく変わることになる。
モルガン・スタンレー証券・債券統括本部・債券戦略部・ヴァイスプレジデントの藤田
昇悟氏によると、米国が抱える財政・経常の双子の赤字をファイナンスするには、毎月約
700─900億ドルの資金流入が必要だという。
さらに海外からの資金流入は低金利の1つの要因となっているとみるが、12月の資金
の流入が数年ぶりの低水準にとどまったことで、同氏は「足元のデータは、米国への資金
還流トレンドの変調を示唆しているのかもしれない」と指摘。仮にこの資金流入の減速が
トレンド化すれば「米債市場はおろか、米資産全般に対するネガティブな影響が避けられ
ない」(藤田氏)とみている。
一方、アジア諸国は貿易黒字がかさみ、国際収支上でバランスを取るため外貨準備が増
え、高水準の外貨準備を抱えるアジア諸国はドル資産を買わざるを得ない側面がある。米
国に資金が流入する反面、米国発でアジアへの投資が行われているという循環だが、米国
への流入資金が減ればアジアに向かう資金が減るという不透明感につながる可能性もある
。
<テーマ化すればドルの圧迫要因、ユーロ高/ドル安を後押し>
特に大きな動きが予想されるのは、そのときどきの相場のテーマで動く為替市場。「マ
ネーが米国に入っていかない状態が2─3カ月ほど続けば、これまでファイナンスできて
いたものができなくなった、ことが(市場で)テーマ化する恐れがある」(藤田氏)。金
利差というテーマから、構造問題を含めた長期的なテーマにシフトすれば、ドルが急落す
るきっかけにもなりかねない。
ドルに変わる投資先として、金利の高さも影響して、ユーロが買われる展開になりやす
い。米国が海外からの資金流入によって赤字をファイナンスする必要があるのに対し、ユ
ーロは域内でファイナンス可能であることも強みだ。
12月のTICレポートによると、12月のユーロ圏から米国への投資は、債券、株式
ともに約半年ぶりの売り越しとなるなど、資金流入の減少が特に目立った。資金の動きが
「ユーロ圏を初めとする欧州だけに突出した背景は、今1つ不透明」(みずほコーポレー
ト銀行の福井氏)ではあるものの、同氏は「1月もそうした傾向が残っていた可能性があ
り、見極めが必要」だとして、今後の資金の動向を注意深く見守る姿勢を示している。
ユーロ諸国はアジアに比べて外貨準備の水準が低く、ドル資産に投資せざるを得ないよ
うな状況にはない。米国への投資に対する魅力が薄れ、ドルへの不安感が高まった場合、
ユーロ/ドルが一段と上昇の勢いを強めるとみられている。