2/19 司法ジャーナル 【寄稿】
2007年02月19日号【寄稿】
佐々木利勝さんとはどんな地面師だろう M・S
●真珠宮ピル判決を聞いて
真珠宮ビル判決を聞いてやはり最初から説明しないという気になりました。
菱和社の西岡元社長が東京地方裁判所で無罪判決をもらったようですがネット上では無罪予想(東京アウトローズ 1月17日)も出されていてどうやら巷の噂どおりとなったようです。
警視庁の認識と検察官の理解に齟齬があった気がしてましたが、裁判官も現在のヤクザ事情ヤクザ経済に対する理解がまったくないのではと思ってました。
◆後藤忠正被告を知る者で警視庁の右に出るものはない。
警視庁が後藤忠正被告を監視してきた歴史は長いです。
この後藤忠正と言う山口組の幹部組長の仕事を遠目に観察してても(近くに行くわけにはいかないので)警視庁が特に注目する理由がある気がします。
元公安調査庁の職員である野田敬生氏の著作に東京三菱銀行消えた「156億円」預金というのがあり私も購入して読みましたが、その中で警視庁の職員だった松田警部補が後藤等が六本木赤坂で飲み歩いてる時にその道案内係までしていたという記述がありましたが、この松田警部補がその後聖蹟桜ヶ丘の地上げ騒ぎの中で最終的に競売で地上げ戦争に勝った南勇二氏を脅すか騙して(私は贈収賄なんてことではないと思います)
結果的に収賄で逮捕されていますが、優秀な警視庁の4課の刑事まで使ってたわけで後藤組長の事業家としての側面のよく出てるエピソードと思いますし不良警官は珍しくはありませんがこういうのが出てくるということに時代を感じます。
一般社会もヤクザ社会も特に竹下政権をピークとして大きく様変わりしたわけです。
ちなみに松田警部補の弁護人も後藤忠正被告の弁護をしている牧弁護士だったと思います。
後藤組長は部下の仕事の細かいことまで注意を払う人と聞いています。大事業家の御祖父をお持ちなので多角経営でもあります。
色々な意味で警視庁がマークするにふさわしい人物と言えましょう。
地面師事件は白昼堂堂と他人の不動産をかっぱらう人たちでどういう特殊な奴がやってるのかと一般人は思うでしょうし筆者もそう思ってました。
真珠宮ビルのことが最初に事件になったのは原宿署でそのときに稲川会の組長等が逮捕されています。
このなかに佐々木利勝氏という不動産屋がいるわけですが筆者はこの人を知っています。
それは浦和地裁の時代にやはり東山商亊などが占有してた物件の裁判で相手方だったのですこしリサーチしたことがあったわけです。
佐々木氏は健竜会組員ですが西麻布の占有物件を手がけていたときは稲川会系の不動産屋なんかと一緒に仕事をしていました。
筆者が言いたいのは看板は身の安全のため、何かあったときにでかい方がいいのであって別に佐々木氏が暴力的ではありません。
不動産屋としては失敗続きで、ですから地面師になったのですがこの地面師としての手口としては乱暴で万引きと大差ないものです。
要するに西麻布の競売物件に占有をかけていて仕事をしていたときに、隣の家が古屋で無人になって長いと気づき、事のついでだからぶち壊して保証書を偽造して所有権を移転しただけの話でした。
「ナニワ金融道」と言う漫画に在るように登記所に言って登記簿をかっぱらって登記簿に嘘の所有者をタイプするなんて作業なんぞ一切やらずにあっけらかんと人の家を壊し所有権を移転しただけです。
この人物が同様に真珠宮ビルでは㈱真珠宮の役員変更を取締役会議事録等を偽造してあっけらかんとやってしまったわけです。
議事録偽造して役員変更すると言うのは聖蹟桜ヶ丘のときも兵頭氏がやっていましたがこの役員変更は競売取下げとのためという非常手段で
それなりに考えてたのでしょうが、佐々木氏らの手口はとにかく後のことは考えない問題になっても2年の刑と覚悟しているのでそれに対応するほうとしてはあっけに取られると言うのが本音です。
それでも何とかなるほうが多いのはやはり健竜会のバッチです。
さて、検察も西岡被告を控訴する可能性が高いのでこの事件は長期戦になるでしょうから事件の発端の佐々木氏の仕事振りは来週に回します。
木利屋ビルの民事事件も高裁にと言うことになりますので両者比較しながらゆっくりその経過をご報告することとなると思います。
書籍:
東京三菱銀行消えた「156億円」預金
出版社: 雷韻出版
ISBN-13: 978-4947737489
ASIN: 4947737484