2/19 司法ジャーナル 【逮捕】 + α
2007年02月19日号破産手続中の「アドテックス」元執行役員、元副社長、下村好男容疑者の前歴
●前田社長にも逮捕状
警視庁組織犯罪対策3課は16日、昨年4月13日以来、民事再生手続き中だったコンピューター関連機器製造会社「アドテックス」(東京都港区)の資産を債権者の利益に反して処分したとして、民事再生法違反(詐欺再生)容疑で元同社執行役員、元副社長の下村好男容疑者(45)=東京都中央区佃=ら2人を逮捕した。
ほかに逮捕されたのは税理士菊地大輔容疑者(31)=横浜市港北区大豆戸町。さらに同容疑で同社社長前田大作容疑者(51)の逮捕状を取り、行方を追っている。
下村容疑者ら2人は容疑を否認しているという。同課は下村容疑者宅など関係先を家宅捜索した。
●元山口組弘道会系組長
関係者によると、下村容疑者は、01年頃まで山口組弘道会系組長で、「引退」後、会社の「乗っ取り屋」としての活動が目立っていたという。前田社長が経営悪化のアドテックスに乗り込んできた際、前田社長の肝いりで、06年3月に副社長に就任。社内では容姿や言葉遣いから暴力団関係者として恐れられていたという。
下村容疑者らは昨年5月、自分たちが利益を得る目的で、アド社と下村容疑者の経営する会社の間で実際には必要のない取引を計画。役員会の議題としたが、11人の役員のうち2人が反対、7人が態度を保留し、結論は持ち越された。
しかし下村容疑者らは役員会翌日、システム購入費として下村容疑者が経営する電気機器部品製造会社「NSS」(中央区)に約2100万円を振り込んだ。その後も役員会に一切報告しないまま2回にわたり、計約4200万円を支払っていたという。
●「梁山泊」を強制捜査
警察関係者によると、暴力団関係者が通常の経済活動を装う手口で証券市場に進出したり、上場企業に近づき利益を狙おうとする動きがしばしばみられたという。
今月14日にはヘラクレス上場企業の株価を不正操作した証券取引法違反(相場操縦)容疑で、大阪府警が娯楽情報提供会社「梁山泊」(大阪市)を強制捜査。株取引には山口組系暴力団の関与が指摘されている。
●鷲見一雄のコメント
「証券関係者によると、ヘラクレス、マザーズなど新市場の誕生で上場基準が大幅緩和されたことからコンプライアンス(法令順守)体制が不十分な企業などへの暴力団の介入が懸念されるという。警察庁、警視庁は昨年末、東京証券取引所と協力し、証券市場から暴力団などを排除する連絡協議会を設立するなど、市場ルールの健全化に本腰を入れている。
警察庁の漆間巌長官は「暴力団はさまざまな形で証券市場に入り込み、資金獲得を図っている。反社会的勢力とかかわる企業を上場させないことが必要」と強調している。下村容疑者に関する情報は1月初めから寄せられていた」
パチンコ情報提供会社の梁山泊捜索 株価操作容疑 大阪
2007年02月14日15時10分
パチンコ攻略法などの情報提供会社「梁山泊」(大阪市西区)の元幹部らが、大証ヘラクレス上場の情報通信サービス会社の株の仮装売買を繰り返して株価を操作していた疑いが強まり、大阪府警と証券取引等監視委員会は14日午後、証券取引法違反(相場操縦)の容疑で梁山泊本社など関係先数10カ所の家宅捜索を始めた。
家宅捜索を受けているのは、梁山泊本社のほか、同社の関連会社(大阪市西区)や、株売買の名義人だった北海道内や都内の個人宅。山口組系暴力団幹部も含まれている。株価が操作された疑いが持たれているのは情報通信サービス会社「ビーマップ」(東京都文京区)の株。
大阪府警などの調べでは、梁山泊の元幹部は、一般投資家にビーマップ株の取引が活発なように誤解させて取引に誘い込むために、05年初めごろ、同社関連会社の社員らと共謀して、複数の法人名義や数十人の個人名義で同社株の売買を繰り返し、株価を操作した疑い。ビーマップ株は04年末ごろまでは、1日数百株台の出来高だったが、05年3月上旬には1日4千株を超えるほど取引が活発化し、株価も約10万円から30万円台に跳ね上がった。
府警などは元幹部らが出来高を多く見せかけて株価をつり上げ、持ち株を高値で売り抜けようとしたとみて、押収資料の分析を進め、容疑を裏付ける。
梁山泊はパチンコやパチスロの攻略法の情報を提供する会員制サービスや攻略本の出版などを手がけ、帝国データバンクによると、06年5月期の売上高は約63億1600万円。