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2/9 ブルームバーグ コラム

【経済コラム】ヘッジファンドが牛を飼えば・・・-M・ギルバート
2月9日(ブルームバーグ):政治体制を特徴付ける有名なジョークの一つにこんなものがある。あなたが牛を2頭飼っていたとしよう。共産主義体制では、共同体に2頭を没収され、ミルク代まで請求される。一方の民主主義体制では、あなたは投票で牛に2対1で敗れ、食肉加工品や乳製品が全面禁止され、破たんして飢え死にする。

金融市場にも同じ考え方が適用できるだろう。牛でみたマネーの世界はこんな様子だ。

レバレッジド・バイアウト:

あなたは2頭の牛を飼っている。ある日、牧場から帰宅すると、米投資会社のコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)共同創業者のヘンリー・クラビス氏が自分の妻とおしゃべりしているのを目にする。その2日後、あなたは妻も農場もテーブルも失い、相撲取りのような大男2人があなたの牛を乗り回している。

為替市場:

あなたには2頭の牛がいるが、中国には1兆頭の牛がいる。ミルクの価格を決めるのはいったい誰なのか。

債券市場:

あなたは2頭の牛を飼っている。1頭はブラジル生まれでもう1頭はオーストラリア生まれ。2頭から絞り取る牛乳は1日に25クオート(1クオート=約1.14リットル)で、ミルクがあまり出ないドイツと米国の牛2頭と交換した3年前の約半分に減ったため、ナミビアの牛2頭との交換を考えている。脚は3本しかないが、1日に取れる牛乳は26クオートだ。

デリバティブ:

あなたには2頭の牛がいるが、これを5つに分けてから一つにまとめて乳汁担保証券(CLO)にし、トリプルA格付けの金利を払う。さらにCLOを 10に切り分けて投資家に売りながら、ミルクから乳脂を自分用にすくい取る。牛の3つの部分が病気になり、格付けは急落するが、あなたは引き続き乳脂をすくい取れる。

ヘッジファンド:

あなたは2頭の牛を飼っている。開襟シャツを着た男がベントレーで乗り付けてきて、あなたの代わりに牛の面倒をみるから、1年分のステーキと牛乳の半分をくれと言う。牛は2年間、牧場から出られない。半年後、あなたの牛は半分の1頭に減り、牛乳もまずくなった。「あしたロース肉が欲しいのなら、今日ランプ肉を失っても構わないだろう」と、このヘッジファンドの男は、サーロインとシャンパンで口をいっぱいにしながらつぶやく。

マイクロソフト:

年老いてくたびれた牛が1頭いる。最近、心臓移植手術をしたが、遅過ぎて助からないかもしれない。

グーグル:

あなたは牛を1頭も持っていないが、ほかの人に牛にすべて広告を貼り付ければ、牛乳がどっと入ってくる。それを元手に牛に再投資する。

アップル:

誰もあなたの牛を欲しがらないので、最高にかわいい牛乳瓶をデザインしてみた。すると、皆があなたの牛を欲しがるようになった。

ゴールドマン・サックス・グループ:

2万6467頭の牛がいる。毎日24時間、週7日休みなしで搾乳機に縛り付けられている。望む以上の干し草をもらえる牛もいるが、ほかの牛はいつか自分もそれだけの干し草をもらおうと意欲を燃やしている。一番多く干し草をもらった牛は、最終的に政府の要職に就く。

クレジット・デフォルトスワップ:

あなたは2頭の牛に死亡保険をかけて、契約書を書類の山にしまい込む。ある暗い夜、ヘンリー・クラビス氏があなたの牛をこっそりと持ち去った。あなたが書類を見つけ出すころには、契約は期限切れだ。

商品:

株式や債券を多く保有していても牛を持っていないとしたら、正気の沙汰(さた)ではない。牛はホットな市場だ。上場されている牛の先物契約を買えば、損することはあり得ない。この半年で40%上昇した。

金:

あなたには2頭の牛がいる。あなたは1933年に米政府が牛本位制度を離脱したのは、世界の中央銀行が家畜の価値破壊を狙った世界的陰謀の一部だと、ブログにつづる日々を送る。(マーク・ギルバート)

(マーク・・ギルバート氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)