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日銀:2月利上げに向け「わずかな差」は埋まるか-確信高めた須田委員
1月26日(ブルームバーグ):1月の金融政策決定会合で現状維持に反対票を投じた3人のうち1人と目されている須田美矢子審議委員が25日、佐賀市内で講演と会見を行った。標準シナリオの実現性に対する確信度合いについて「私自身、1月の決定会合に向けてその確信度合いを高めてきた」という同委員。しかし、慎重派がいつ確信度合いを高めるかについては自信がないようだ。

1月の決定会合では賛成6、反対3の賛成多数で現状維持が決まった。須田委員は講演で「日本経済の先行きは『見通し』に概ね沿って推移する可能性が高いとの認識で意見の一致がみられた一方、金融政策については意見が分かれたことになる。その意見の分かれ目になったのは、各委員の『見通し』に対する確信度合いということになるが、こうした一見するとややわかりづらい結果が、金融政策運営に対する市場の見方を複雑化している面は否めない」と語った。

須田委員によると、政策委員の間で票が分かれたのは、標準シナリオについて「これで良いと確認するためのデータがもう少し欲しいという人と、もうこれでOKという人の差」(会見)という。福井俊彦総裁は「わずかな差」(18 日会見)と表現したが、「標準シナリオが実現する可能性がどの程度かというと、政策委員の中で『かなり』ばらついている」と須田委員はいう。

100%の確信はない

その差が早晩埋まるという確信は、須田委員にもないようだ。「(私も) 12月と比較して確信を持っているということであり、シナリオ通りで大丈夫だというほどの確信はない。フォワード・ルッキング(先見的)であるからには、ある程度リスクを取って政策をやっていかないと、利上げが遅れすぎるリスクを抱えることになるという思いがある。(中略)ある程度リスクを取っていくということは、その裏側では、そこまでは確信がないということではある」。

須田委員はそのうえで「ここで、この程度のがい然性で政策を変更したほうが良いと考えるかどうかは,各人それぞれだと思う。それぞれの委員が次の会合までに出た指標や、いろいろな分析を通じて、その確信度合いを少しは高められたとしても、それが政策の変更に結びつくのかどうかについては、私は全く分からない」と語った。政策委員同士の交流は意外と少ないのが実情のようだ。

利上げの最大の障害となっているのは消費者物価指数の低い伸びだ。須田委員は「原油価格が一段下押しすれば、一時的に伸び率がマイナスを付ける可能性もある」としながらも、「原油価格の下落を背景とする物価指数の調整は、中長期的にみれば必ずしもネガティブにとらえる必要はない。むしろ個人消費を下支え、マクロの需給環境を引き締める方向に作用するもしれない」と述べた。

実力コアCPIに注目する岩田一政副総裁

会見で、そうした見方は政策委員のコンセンサスかと問われ、須田委員は「物価の先行きについては皆さん同じ考え方を持っているので、『原油価格の調整にめどが立てば、再び上昇基調に戻る』という思いは同じではないかと思う」と答えた。須田委員はさらに「消費者物価1つ取り上げて、これが弱いからどうこうという判断ではない」としたうえで、「実体経済に対応していると考えられる物価のトレンドが(中略)やっぱり動き出した」という見方を示した。

何をもって「実体経済に対応していると考えられる物価のトレンド」とするかは委員によって微妙に違うようだが、最も利上げに慎重と目される岩田一政副総裁が注目しているのは、講演でも何度か取り上げた石油関連製品など特殊要因を除く「実力のコアCPI(消費者物価指数)」。11月はマイナス0.1%だった。26日発表の12月分でこの数字がどうなるかが1つの注目点となる。

年初から下げ足を速めた原油価格の影響が消費者物価指数に響いてくるのは2、3月分から。現状程度の水準で推移すれば、原油価格による前年比での押し上げはほぼなくなり、生鮮食品を除くコアCPIと実力のコアCPIは収れんしてくる。岩田副総裁が「コアCPIがプラス幅を徐々に拡大する」という標準シナリオに確信を持つうえでも、実力のコアCPIの動向は重要になる。

福井総裁が一目置く福間委員のスタンス

一方、現状維持に賛成したとみられる福間年勝審議委員。福井総裁が一目置く存在でもある同委員が利上げに手を上げなかったのは、やはりコアCPIの低迷が最大の理由だ。ただ、実体経済については利上げの条件がほぼ整っている、というのが同委員の判断であり、コアCPIの低迷を理由にいつまでも現状維持を良しとしているわけではない。原油価格の下落が実体経済に与えるプラスの影響について、市場や世論と理解を共有できれば行動すべし、という立場だ。

須田委員は講演で「低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するリスクが「気がかりだ」と言明。会見では、そのリスクには為替も含まれると述べた。「日本の異常な低金利が円キャリートレードを誘発し、海外経済にバブルを輸出し、為替が円の独歩安となって貿易不均衡を助長することになる」(東海東京証券の斎藤満チーフエコノミスト)。国際派の市場通として、福間委員の為替円安に対する危機感は、須田委員に勝るとも劣らない。

折りしも、1月に電撃的な利上げに踏み切った英イングランド銀行は、5対4の僅差だったことが明らかになった。執行部内で慎重姿勢を貫く岩田副総裁、慎重派の3人の審議委員の中で存在感のある福間委員。この2人の動向が2月会合の帰趨(きすう)を握っていると言っても過言ではない。