11/30 ブルームバーグ コラム
【きょうのチャート】米企業利益は「驚異的」-GDP比56年で最高
11月29日(ブルームバーグ):米国の国内総生産(GDP)のうち米企業の懐に入る部分が、ますます大きくなっている。2006年7-9月(第3四半期)の米企業利益は前年同期比31%増え、ベアー・スターンズによると、GDPに占める割合は過去56年で最高となった。
PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのチーフエコノミスト、スチュアート・ホフマン氏は、企業利益の伸びを「驚異的」と呼ぶ。
同氏はリポートで、「企業部門の財務の健全性は、企業に十分な投資余力を与える。特に、生産性を高める技術や機器、ソフトウエアへの投資が進むだろう」と書いている。
きょうのチャートは、名目GDPに対する企業利益(税引き前、在庫・資本償却調整済み)の割合を示す。( {.CORPGDP INDEX GP <GO>} )
最新データの12.4%は、40年間の平均(中央の緑の線)の8.7%を大きく上回る。
29日の米株式相場は06年7-9月(第3四半期)のGDP伸び率が改定値で2.2%に上方修正されたことを受け、上昇した。GDP伸び率は在庫増と貿易収支の改善により、速報値の1.6%から改定された。
ホフマン氏は「株式市場はGDP上方修正に対応して、高く始まった。これは景気の『ソフトランディング(軟着陸)』への完璧なシナリオだ」としている。
同氏は、10-12月(第4四半期)の景気の弱さを予想するエコノミストには同意できないとして、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標5.25%は「しっかり根が生えている」との見方を示した。
モルガン・スタンレーのエコノミストは06年第3四半期の増益率について、前年同期の利益がハリケーン「カトリーナ」の影響で押し下げられていたため、本来よりも高くなっている可能性があると指摘する。
モルガン・スタンレーのデービッド・グリーンロー氏とテッド・ウィーズマン氏はリポートで、「生産性上昇ペースの鈍化とコスト圧力の高まりで、今後の利益拡大は減速するとの予想を維持する」と書いている。