11/21 ブルームバーグ 記事
みずほF株が1年ぶり80万円割れ、本業振るわず-三菱UFJは小反発
11月21日(ブルームバーグ):みずほフィナンシャルグループの株価が、4日続落して年初来安値。一時は前日比2万7000円(3.3%)安の79万6000 円と、取引時間中としては昨年11月16日以来、およそ1年ぶりに80万円台を割り込んだ。中間決算で“本業”が振るわなかったほか、通期業績見通しが据え置かれたことで、投資家の失望売りが出ている。
みずほFは20日の取引終了後に、2006年9月中間期決算を発表した。連結純利益は、取引先の業績改善に伴う貸倒引当金の戻入益の発生により前年同期比16%増の3923億円だった。また、07年3月期の純利益予想は前期比11%増の7200億円を据え置き、期末配当は期初予想の1株当たり4000円から同7000 円の増配を見込む。
市場では、「通期業績見通しに上方修正期待が強かっただけに、失望感がある。本業のもうけを示す業務純益が大幅に落ち込んだこともマイナス材料」(大和証券SMBCエクイティ企画部の高橋和宏部長)との声が聞かれた。
中間期の連結業務純益は、前年同期比12%減の4477億円。海外向けの貸出金の増加などで資金利益が増加したほか、傘下銀行での投資信託販売などは好調だったが、国内外の金利上昇に伴い債券関連損益など市場部門収益が落ち込んだほか、傘下の証券会社が減益となった。
国内リテールの収益力は徐々に向上
一方、野村証券金融経済研究所の守山啓輔アナリストは、「国内リテール分野で、経常的に発生するベース経費を抑制する半面、個人向け店舗を08年3月までに100店舗出店する計画であるなど、戦略的投資を積極的に実施する計画で、収益力は徐々に上がっている」と分析する。
また守山氏は、預貸金利ざやの縮小は底を打ち、下期以降は利ざやの緩やかな改善経路入りが期待されると予想。株価水準も、民間優先株式希薄化を考慮した後の08年3月期の野村金融研での予想PERが13.3倍(前日終値ベース)となり、「今後の本業の回復期待に比べて割安感がある」(同氏)と見る。株価レーティングは、5段階評価で上から2番目にあたる「2」を継続した。
同様に前日、9月中間期決算を発表した三菱UFJフィナンシャル・グループの株価は小反発。三菱UFJの中間連結純利益は前年同期比では減益となったが、通期の業績予想は従来予想を上方修正している。
TOPIX5連敗、銀行や小売株など内需株安い-需給悪が続く(2)
11月21日(ブルームバーグ):東京株式相場は、TOPIXが5連敗。手掛かり材料難に欠ける中、前日の大幅安の反動から反発して始まったものの、下落に転じて終えた。中間決算で本業の低調が確認されたみずほフィナンシャルグループを中心に銀行株に売りが先行。個人消費の低迷を受け、セブン&アイ・ホールディングスなどの小売株も下落した。東証業種別33指数の騰落状況は上昇が16、下落が17。
日経平均株価は前日比8円20銭(0.05%)高の1万5734円14銭。TOPIXは同0.99ポイント(0.1%)安の1532.95。東証1部の売買高は概算で16億 4924万株。
外国人はもうかる市場へ、個人は闘争姿勢取れず
水戸証券の阿部進投資情報部長は、「表面的な理由を上げればきりがない。最終的には需給の問題。日本株だけ独歩安となっており、外国人投資家は決算に向けてもうかる市場に資金を向ける。裁定買い残は過去最高水準に積み上がっており、先物主体でどうにでもなる相場が続いている。新興市場の低迷で、個人投資家はファイティングポーズも取れない状況だ」と話していた。
反発力鈍い、追い証懸念も
この日の相場は小幅反発して始まった。TOPIXのRSI(相対力指数)が6月来の30%割れとなるなど、テクニカル指標の一部が買いゾーン入りを示唆しており、午前の取引前半は戻りを試す展開となった。
もっとも、取引開始前の外資系証券の注文動向は500万株の小幅な売り越しと観測されていたほか、個人投資家の追い証(追加証拠金の差し入れ義務)も発生したとみられ、後半は伸び悩んだ。過去最高水準の裁定買い残を背景に、先物主導で午後のTOPIXはマイナス圏に沈む場面が多く、日経平均も小幅な戻りとなった。
みずほFが大幅安、本業収益の回復カギ
株価指数を終日押し下げたのが銀行株。東証銀行株指数は6月14日の安値を割り込み、年初来安値を更新した。とりわけみずほフィナンシャルグループの下げが目立った。株価は一時79万1000円まで下落し、年初来安値を更新した。売買代金は1625億円と東証1部の1位で、全体の7%を占めた。
みずほFGが前日発表した9月中間期の連結業務純益は、前年同期比12%減の4477億円。国内外の金利上昇に伴い、債券関連損益などが落ち込んだほか、傘下の証券会社が減益となったことが響いた。
ニッセイアセットマネジメントの西崎純チーフ・ポートフォリオ・マネジャーは、銀行株について、「企業は設備投資を増やしているが、潤沢なキャッシュフローを使っている印象で、あまり銀行の貸出し増、収益増に結びついていない。いかに収益をあげるかが見えてこないため、投資の対象と考えにくい」と話していた。
業績悪化銘柄には売り集中
軟調な相場動向が続く中、業績面で悪材料を出した銘柄には売りが先行した。代表銘柄がNOK。東証1部の下落率5位に入った。14日の今期業績下方修正によって投資家の信頼を損ねたとの見方が強く、下げ止まらない。フレキシブル基板(FPC)事業の採算悪化は下期も続くとみられ、買いの投資判断を付けていたアナリストが軒並み中立に引き下げた。
非鉄や海運の上げ目立つ
一方、再編期待や業務提携などのテーマはこの日も物色の柱となった。世界最大の金鉱を保有するフリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールドは19日、銅生産大手フェルプス・ドッジを現金と株式交換を通じて259億ドルで買収することに合意したと発表。株式上場する銅生産会社としては世界最大となる。フェルプス・ドッジ株1株当たりの買収価格は126.46ドル相当となり、11月17日終値を33%上回る。これを受けて前日の米市場では、フェルプス・ドッジは急伸し、S&P500種構成銘柄のなかで値上がり率トップとなった。東京市場はこの流れを引き継いだ。
原油価格の下落傾向を受け、商船三井などの海運株の上げも目立った。東証1部の値上り上位に、飯野海運が入った。前日のニューヨーク原油先物相場は下落。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場1月限は、前週末比17セント(0.29%)安の1バレル=58.80ドルだった。
ケンウッド、Uアローズの上げ目立つ
個別では、大和総研が投資判断を引き上げたケンウッドは4営業日ぶりに大幅反発。中間決算で粗利益率が想定以上に改善したうえ、積極的な出店を進める方針が打ち出したユナイテッドアローズも5営業日ぶりに反発した。
ジャスダックとマザーズが連日安値
国内新興3市場は朝方いずれも上昇して始まったが、ジャスダック指数と東証マザーズ指数が下落に転じて終えた。両指数は年初来安値を連日更新。大証ヘラクレス指数は下落する場面もあったが、プラス圏で終えた。ジャスダック指数は前日比0.1%安、東証マザーズ指数は同1.4%安、大証ヘラクレス指数は同1%高。
ジャスダック市場では、新卒社員の営業生産性が向上しなかったことなどで、中間業績を下方修正したテレウェイヴがストップ安。鋼材などの値上りで利益率が悪化したことなどを受け、プラコーも大幅続落。半面、大和総研が投資判断を引き上げたセプテーニ・ホールディングスが4日ぶりに大幅反発した。
東証マザーズ市場では、フィンテック グローバル、ACCESS、タカラバイオなどが安い。半面、光通信との業務提携を発表したドリコムが4日ぶりに大幅反発。高親和性抗体産生技術に関するライセンス契約を締結したと発表したトランスジェニックが5日ぶりに反発。
大証ヘラクレス市場では、午後2時すぎに米取引所と提携交渉すると報じられた大阪証券取引所が4日ぶりに反発。アセット・マネジャーズ、ダヴィンチ・アドバイザーズなども高い。半面、競争激化で「着うた」などの配信サービスが期初予想を下回ってことを受け、通期業績を下方修正したオリコンが3日続落した。
KFEJの初値42%安は今年最低成果に、名証セ市場
名古屋証券取引所のセントレックスに20日に新規株式公開(IPO)し、売り気配のまま初日を終了していたKFE JAPANの初値が2日目のこの日に形成された。初値は11万1000円と、公開価格(19万円)に比べて42%下落。初値のパフォーマンスは、今月2日に同じくセントレックスに上場したメンバーズの40%を抜き、今年最低となった。