GDPで景気悲観論が後退、短期金利は早期利上げを織り込む | 20年間で5000万作る資産運用方法を考える・・・>゜)))彡◆

GDPで景気悲観論が後退、短期金利は早期利上げを織り込む

〔検証〕GDPで景気悲観論が後退、短期金利は早期利上げを織り込む
06/11/14 18:19


田中 志保記者

 [東京 14日 ロイター] 短期金融市場では、年末前後の日銀の追加利上げを織り込む形で金利が急上昇している。14日に発表された7─9月期の国内総生産(GDP)が持続的な成長を示す結果だったことで、悲観論に傾いていた景気認識が一気に修正された格好だ。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利が1月の利上げを大幅に織り込んだほか、1年物割引短期国債(TB)の落札利回りも過去最高水準に上昇した。

 <短期金利は年末前後の利上げを織り込む>

 7─9月期の実質GDPは前期比0.5%のプラス成長となり、市場の事前予想(同0.2%)を上回った。家計調査、鉱工業生産、機械受注など最近の経済指標が景気の失速懸念を生じさせる内容だったことから、7─9月GDPは場合によってはマイナス成長とみる悲観的な声も出ていた。それだけにGDPの結果は市場にとってサプライズで、ユーロ円3カ月金利先物・中心限月2007年3月限は指標発表直後に、前日清算値から6.0ティックの急落を見せた。一時99.260(利回り0.740%)まで下落し、3月までの利上げは完全に織り込んだ。

 短期市場のデリバティブ取引のひとつであるOIS(一定期間の毎日の無担保コール翌日物の加重平均レートを複利化したものと、数週間から2年程度の固定金利を交換するスワップ取引)市場でも、年末前後の追加利上げを織り込む動きが急速に高まった。市場関係者によると、来月12月の日銀金融政策決定会合から来年1月の会合付近までの1カ月物のOIS金利は0.37%後半まで上昇。これは、年末までの利上げを4割以上織り込んだ水準だ。GDP発表前は0.3%前半、前日夕方は0.3%付近だった。  また、同1月から2月の会合付近までの1カ月物は、前日夕方に0.40%付近で推移していたのに比べ0.4%後半まで上昇、「1月の利上げの可能性を8割以上織り込む」(外銀)水準となった。

 <足元から中短期ゾーンにかけて金利は軒並み上昇>

 金先やOIS市場での金利の上昇は、債券市場の金利上昇にも波及した。新光証券の債券ストラテジスト、三浦哲也氏は「OIS取引を見てみると、来春までに追加利上げされる確率は、前日時点で3割程度だったのに対し、きょうは7割近くまで上昇しており、これが短中期債の地合いを悪化させたとみることが可能」と指摘している。  東京円債市場では、2年利付国債利回りが一時0.835%に上昇し8月1日以来約3カ月半ぶりの水準をつけたほか、既発の5年債利回りも前日比0.105%高の1.260%まで上昇している。

 財務省が行った1年物割引短期国債(TB)入札の結果は、最高落札利回りが0.6817%と前回(0.5796%)から上昇した。ゼロ金利政策解除への思惑から急上昇した7月入札分の利回り水準を上回り、1999年4月に同TBの入札が始まって以来、最高水準となった。短期国債は足元の資金余剰感を背景にした需要が強く、利回りがなかなか上昇しない状況にあったが、今回のTBの落札結果は「次の利上げが12月や1月だった場合のプレミアムをようやく織り込んだ」(国内金融機関)という。

 年末から年明けまでの利上げ警戒感は、金融機関の資金需要も高めている。日銀が14日に実施した8000億円の共通担保資金供給(本店)オペでは、レートは全取りで0.370%。来年1月の日銀金融政策決定会合の2日目である18日を期日にした同オペの案分レートが0.340%だったのに比べ、資金需要の高まりが明確になっている。大手邦銀など、多少高いレートでも資金調達が可能な金融機関が、まとまって落札に向かった可能性がある。

 きょうの市場の動きは「これまで過度に弱気になっていた見通しに、急激に修正がかかった」(外銀)ことによる面は大きいが、市場はあらためて「早くて12月、遅くても1月までの利上げ」(国内金融機関)を意識する声が高まっている。  東短リサーチのチーフエコノミスト、加藤出氏は、GDPの結果は日銀が10月展望リポートで示した景気見通しに沿うもの、と受け止めている。今後、米国の消費や国内景気の動向をさらに見極める必要はあるものの、いずれも著しい悪化はないとみており「遅くとも1月までには、日銀が利上げに踏み切る可能性は高い」との見方を維持している。  また、日銀が利上げに対して慎重になりすぎるリスクを指摘する声も出ている。ある外銀の資金繰り担当者は、景気が日銀の想定シナリオ通りならば利上げをしないほうが説明責任を問われる、と述べている。