9月の機械受注統計
機械受注の結果、これから分析してみる=福井日銀総裁
20061110T193324+0900
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9月機械受注7.4%減、予想に反し減少-「一進一退」判断下方修正(4)
11月10日(ブルームバーグ):民間設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除く民需の受注額は、9月に前月比7.4%減と2カ月ぶりにマイナスとなった。事前予想の1.8%増を大きく下回ったため、日経平均株価はマイナス圏に反落、債券相場は急上昇(金利は低下)した。日本銀行の追加利上げ判断にも影響しそうだ。
内閣府が10日発表した機械受注統計では、船舶・電力を除く民需の受注額は、7月に同16.7%減と調査開始(1987年4月)以来最大の落ち込みとなったあと、8月は同6.7%増と若干戻したが、9月は再び減少した。7-9月も前期比11.1%減と、最大の減少幅を記録した。
機械受注統計は民間設備投資に1-2四半期ほど先行する。振れやすい統計のため、単月より四半期ベースでみることが多い。4-6月には前期比8.9%増と大幅プラスとなった反動で7-9月は減少しており、ならしてみる必要がありそうだ。一方で、先行き10-12月は同5.7%増とプラスの見込みだ。
みずほコーポレート銀行国際為替部の福井真樹シニアマーケット・エコノミストは、「機械受注はもともと振れ幅が大きいので、これで一喜一憂する感じではない」と指摘。来週のGDP(国内総生産)の内容をみる必要があるとしたうえで、「GDPは弱い数字となるとみられ、利上げに対する市場のマインドが後退するのではないか。来月には(日銀)短観があるので、ここで次の揺り戻しがあるのかもしれないが、日銀としては(利上げを)やりにくい展開が予想される」との見方を示した。
日経平均株価終値は1万6112円43銭(前日終値比86円14銭安)。債券先物中心限月の12月物は一時134年89銭まで上昇し、9月29日以来の高値をつけ、結局は21銭高い134円80銭で終了した。ドル円相場は午後3時40分現在、 117円52銭と、円が小反落している。
バークレイズ・キャピタル証券の会田卓司チーフエコノミストは、「設備投資は伸び率がより緩やかな水準に安定化する過程にあると考えられる」と指摘。同氏は、設備投資の減速は日銀が予想する景気シナリオ通りであることに注意すべきだとし、「景気シナリオが展望リポートで示した日銀の想定を上回らなくても、想定通りなら金利正常化の動きを開始するとの見方を変える必要はない」との見方を示した。
「一進一退」-判断下方修正
内閣府では、機械受注についての判断を「一進一退で推移している」とし、前月までの「増加基調」から下方修正した。7-9月は4-6月の受注を押し上げた通信、運輸などの業種が押し下げ要因となっており、反動という面が大きいとしながらも、1-3月の水準も下回ったため、想像よりも落ち込みは大きいと説明。一方で、受注がピークアウトしたかどうかの判断については、このところ増減を繰り返しているほか、受注残高をみると受注水準は高いことなども考慮する必要があるとの見方を示した。
エコノミストの見方
三菱UFJ証券経済調査部の西岡純子エコノミストは、足元の弱さは4-6月期が大口案件により底上げされている反動もあるとし、「日銀短観などでは企業の設備投資意欲はおう盛と解釈できるため、7-9月期の機械受注の結果をもって減速と判断するには時期尚早」との見方を示した。
また農林中金総合研究所の南武志主任研究員は、日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、9月調査)・設備投資計画・大企業は年度上期が下方修正されたものの、その分下期に後ずれした格好となっているため、10-12月期はやや持ち直すとしている。
日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、9月調査)の結果によると、06 年度設備投資計画(含む土地投資)は、全規模全産業で前年度比8.3%増と、前回調査時の同6.2%増から上方修正された。製造業、非製造業とも上方修正された。大企業全産業は同11.5%増で1990年度(同18.4%増)以来の大幅な伸びとなった。また、生産設備判断DIはマイナス1と約15年ぶりの不足超に転じた。
BNPパリバ証券の丸山義正エコノミストは、「現時点で機械受注の増加トレンドに変調が生じたとまでは判断できない」としながらも、10-12月の受注は増加が見込まれているが、増加モメンタムの衰えもうかがえるとしたうえで、「事後的に第2四半期が受注のピークだったと認識される可能性は否定できない」としている。
UPDATE2: 9月機械受注で基調判断を下方修正、10─12月は増加見通し=内閣府
06/11/10 15:54
[東京 10日 ロイター] 内閣府が10日午後に発表した9月機械受注統計は、設
備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)が、事前予測(
前月比1.9%増)を大幅に下回る前月比7.4%減の9975億円と2カ月ぶりに減少した
。
内閣府は機械受注の判断を「このところ一進一退で推移している」と、前月までの「増
加基調」から下方修正した。判断を下方修正したのは、今年3月以来。
7─9月期の実績は前期比11.1%減で、内閣府見通しの同4.9%増を大きく下回
り、2四半期ぶりに前期比減少となった。減少幅は現行の統計開始以来、最大となった。
内閣府は、非製造業を中心に受注が減少したと説明している。非製造業では、携帯電話等
の通信業や、鉄道車両を含む運輸業、その他非製造業の落ち込みが目立った。
10─12月期の見通しは、前期比5.7%増となっている。内閣府によると、この見
通し達成には、毎月、前月比4.3%増となる必要がある。前期比横ばいとなるには、毎
月同1.5%増となる必要がある。
野村証券金融経済研究所・シニアエコノミストの木内登英氏は、7─9月期はかなり大
幅なマイナスとなったと指摘したうえで「春ごろから輸出・外需が減速傾向にあったこと
が、内需の方にまで侵食してきたことが確認できる。しばらくは設備投資はもたつくと思
う」とコメントしている。
機械受注統計は、機械メーカーが受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査し
たもの。設備投資の先行指標として注目されている。
詳細は、以下のとおり。
機械受注(単位・%、‐は減)
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│ 8月 │ 9月
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│ 前月比 │ 前年比 │ 前月比 │ 前年比
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受注総額 │+12.0 │+17.2│‐13.0 │ ‐4.5
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民需(船舶・電力除く)│ +6.7 │ ‐0.5│ ‐7.4 │ ‐1.5
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官公需 │ ‐4.4 │ ‐5.5│ ‐5.1 │ ‐0.4
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外需 │+29.1 │+54.2│‐30.9 │‐18.1
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UPDATE1: 機械受注が予想外の減少、市場は株安・円安・金利低下で反応
06/11/10 14:55
[東京 10日 ロイター] 景気の先行きをみるうえで注目されていた機械受注が市場の予想とは逆に減少したことで、市場では、景気に対する弱気心理が強まり、株安・円安・金利低下の動きとなっている。設備投資の先行指標となる同統計に弱さがみられたことで、日銀の追加利上げに対しても後ずれ観測が高まっている。 午後2時に発表された9月の機械受注統計では、船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)が前月比7.4%減と、事前予想の1.9%増を下回った。これにより、7─9月期の実績は、前期比11.1%減となり、内閣府見通し(同4.9%増)を下回った。10─12月期の見通しも同5.7%増と、反発力に欠ける。内閣府では機械受注の判断を下方修正した。
最近の経済指標では、鉱工業生産や家計調査など経済の減速感を強める内容が続いたため、市場は弱い指標に反応しやすくなっていた。 野村証券シニアエコノミストの木内登英氏は「7─9月期の機械受注は、かなり大幅なマイナスとなった。機械受注は先行指標なので7─9月期、10─12月期の設備投資が弱くなることを示唆している。しばらくは設備投資はもたつく」と指摘している。
株式市場では、午後に入り反発していた日経平均が機械受注の発表を受けて反落。先物市場で売りが活発化した。個別銘柄でもコマツ <6301.T> 、オークマ <6103.T> 、アマダ <6113.T> など機械株が軟化している。 金利市場でも長短金利が低下した。短期市場では、ユーロ円3カ月金利先物・中心限月2007年3月限が前日清算値に比べて0.5ティック高い(金利は低下)99.310をつけた。債券市場でも10年最長期国債利回り(長期金利)が一時1.675%と9月29日以来、約1カ月半ぶりの低い水準を付けた。金利市場では、利上げ時期の後ずれ観測ばかりではなく「景気がピークアウトしたとの評価は否めず、政府・与党から利下げ要求が出される可能性がある」との声まで聞かれた。 為替市場では、円売りが持ち込まれ、ドル/円は一時117.60円付近まで小幅上昇した。
ただ、機械受注は毎月の振れが大きいため、こうした市場の動きが継続するかどうかは不透明だ。市場では、次の段階として、14日発表の7─9月期国内総生産(GDP)、29日の10月鉱工業生産などの指標を見極めながら、日銀の行動を探っていく。
〔表〕9月機械受注
06/11/10 14:14
[東京 10日 ロイター] 内閣府が発表した9月の機械受注統計は以下のとおり。
機械受注(単位・%、‐は減)
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│ 8月 │ 9月
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│ 前月比 │ 前年比 │ 前月比 │ 前年比
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受注総額 │+12.0 │+17.2│‐13.0 │ ‐4.5
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民需(船舶・電力除く)│ +6.7 │ ‐0.5│ ‐7.4 │ ‐1.5
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官公需 │ ‐4.4 │ ‐5.5│ ‐5.1 │ ‐0.4
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外需 │+29.1 │+54.2│‐30.9 │‐18.1
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