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欧州EADSの格下げ懸念強まる-フェデックスの発注キャンセルで
11月8日(ブルームバーグ):債務支払いを保証するクレジット・デフォルトスワップ(CDS)市場では、欧州航空機メーカー、エアバスの親会社EADSの社債の格下げ懸念が強まっている。米小荷物輸送大手のフェデックスがエアバスへの23億ドル(約2700億円)相当の発注をキャンセルした上に、EADSが予想外の赤字決算を発表したためだ。
EADSの2006年7-9月(第3四半期)決算は1億9500万ユーロの赤字となり、フェデックスは10機の発注をキャンセルした。アーク・セキュリティーズのアナリスト、サイモン・バラード氏は、「今月か来月に格付けに何か起こるかもしれない」とし、「決算や納入遅延、受注キャンセルなどから、その可能性が一段と高まった」と指摘した。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、EADSを「A1」に格付けしており、9月22日に格下げの方向で見直すことを明らかにしている。英米系格付け会社フィッチ・レーティングスは10月10日、ムーディーズより2段階低い「A-」に引き下げた。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も11日に格下げした。3社はいずれも、再度格下げする可能性があるとしている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、EADS債1000万ドル相当が返済不能となった場合の保証となるCDSのコストは8日、2157ユーロ上昇し2万2520ユーロ。コスト上昇は信用の質に対する見方が悪化していることを示す。
欧州株:反落、医薬品株に売り-米中間選挙での民主党躍進を嫌気
11月8日(ブルームバーグ):欧州株式相場は反落。医薬品大手のグラクソスミスクラインとアストラゼネカが売りを浴びた。米国の中間選挙で民主党が下院の過半数を制したことを受け、市場では薬品価格の低下につながるとの見方が強まった。
ヘンダーソン・グローバル・インベスターズ(ロンドン)で約22億ドルの資産運用に携わるジョブ・カーティス氏は、「企業にとっては、ありがたくない環境になりかねない」と指摘。「大手製薬会社などに影響が及びそうだ」と付け加えた。
電力大手のスコティッシュパワーは買収打診を受けたことを明らかにし、株価が急伸した。原油価格の上昇を背景に、英BPや仏トタルなどの石油株も上昇した。
ダウ欧州株価指数は前日比0.1%安の359.56。ダウ欧州50種株価指数は同 0.2%下落。ユーロ圏の50銘柄で構成するダウ・ユーロ50種株価指数は0.1%弱下げた。
米民主党は12年ぶりに下院の過半数を制した。上院でも過半数に迫っている。
前日の市場では、ダウ欧州株価指数は2001年1月以来の高値に上昇。テレコム・イタリアなどの企業決算がアナリスト予想を上回ったことが相場を押し上げた。この5カ月間、予想を上回る決算と相次ぐM&A(買収・合併)発表で、増益と株価への見方が明るくなり、相場は上昇基調にある。
医薬品価格
欧州最大の製薬会社、グラクソスミスクラインは1.6%安。英大手のアストラゼネカは2%下げた。
来年1月に米下院議長に就任するペロシ民主党下院院内総務は、連邦政府が運営する高齢者・障害者向け医療保険制度の「メディケア」について、価格引き下げを求めて製薬メーカーと直接交渉を可能にさせる構想に支持を表明している。
アナリストらは、政府の処方薬負担が低下すれば、ジェネリック(後発薬)メーカーには追い風、大手製薬会社には逆風になるとみている。グラクソとアストラゼネカはいずれも、売上高の約45%を米国で稼ぎ出す。
スコティッシュパワーは8.7%急伸。ダウ欧州株価指数採用銘柄で値上がり率トップ。同社は買収打診を受けたと明らかにしたが、企業名は特定されていない。打診が正式な買収案提示につながるかどうかも不明という。
ダウ欧州株価指数に採用されている公益事業株で構成する指数は1%上昇し、産業別18指数のうち値上がりトップ。スコティッシュ&サザン・エナジーは 4.8%上昇した。
英独仏の株式指標
英国のFT100指数は前日比5.00ポイント(0.08%)安の6239.00。FTオール・シェア指数は同1.34ポイント(0.04%)下げて3196.47。
ドイツのDAX指数は同12.70ポイント(0.20%)安の6349.26。HDAX指数は同5.29ポイント(0.16%)安の3262.28。
フランスのCAC40指数は同0.62ポイント(0.01%)安の5437.16で終了した。
NY金相場:過去2週間で最大の下げ-4週間にわたる上昇で過熱感
11月8日(ブルームバーグ):8日のニューヨーク商品市場では、金相場が過去2週間で最大の下げを演じた。4週間にわたる相場上昇に過熱感が浮上した。
ドル安を受けた金への投資需要増加観測から、金相場は10月6日以降11 月7日までに8.8%上昇していた。年初来では19%高の水準。ソシエテ・ジェネラルのヘッジファンド・マーケティング担当ディレクター、マイケル・グイド氏は、「56ドルも値上がりしたため、一部にテクニカル分析に基づく利益確定の売りが出ている」と指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のCOMEX部門の金先物(12 月限)は前日比9.40ドル(1.5%)安の1トロイオンス=618.30ドル。下落率は10月23日以来最大。前日はほぼ変わらずだった。
金先物相場の7日相対力指数(RSI)は、過去6営業日連続で相場下落のシグナルとされる70を超えている。