米中間選挙が日本株に逆風、外国人買いは不変とも
〔クロスマーケット〕米中間選挙が日本株に逆風、外国人買いは不変とも
06/11/08 16:40
<東京市場・8日>
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日経平均 |国債先物12月限| 国債283回債 |ドル/円(16:20) |
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16,215.74円 | 134.37円 | 1.725% | 117.73/79円 |
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─177.67円 | +0.35円 | ─0.025% | 117.67/71円 |
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注:日経平均、国債先物は大引け、現物の価格は15時現在。
下段は前日終値比。為替は前日NY終値。
水野 文也記者
[東京 8日 ロイター] 米国議会の中間選挙で民主党が躍進していることが日本株
の逆風となっている。民主党イコール保護主義とのイメージが強く、先行き日本の輸出産
業がダメージを受けるとの見方が広がっている。トヨタ自動車 <7203.T> の好決算やいすゞ
自動車 <7202.T> との資本業務提携に刺激された自動車株を除いて、東京市場では輸出関連
株を中心に幅広く売られた。
ただ、米国の対日経済政策が極端に変わることはないとの指摘もあり、外国人投資家の
日本株買いの流れは変化しないとの見方が支配的だ。
<日本株式、米保護主義シナリオを警戒>
米国株式市場が最高値圏にあるのにもかかわらず、日本株がさえない動きをしているこ
とについて、市場では「米中間選挙で事前に予想されたように民主党が躍進しても、財政
支出に歯止めがかかるなど米国にはポジティブな面がある一方、民主党は保護主義のイメ
ージが強いため、日本は打撃を受けるとの見方が強いことが要因」(みずほインベスター
ズ証券・調査部部長の一尾仁司氏)との声がある。
そうした見方があったため、好調な企業業績が輸出産業によって支えられている現状で
民主党が躍進した米国が保護主義に走ったシナリオを株式市場は警戒した格好となった。
外為市場では「事前に予想されている流れなら、あまり相場には影響しないと思う」(
信託銀行関係者)といった指摘があるなど、民主躍進は織り込み済みとのムード。しかし
「大きく円安に振れることは考えにくくなった。これが円安で『儲けている』というイメ
ージが強い現状では、株式マーケットにはネガティブに作用する」(大手生保系投信年金
運用担当者)という。
<海外勢の投資行動不変も、物色に変化か>
今のところ海外の機関投資家から日本株に流れる資金の動きに変化はみられないが、今
回の選挙結果を受けて日本に対するネガティブな印象が強くなるにつれ、外国人の日本株
への投資意欲が後退すると懸念するムードがある。
ただ、市場では日本株の下落は一時的なもので、海外からの資金流入は続くとみる関係
者が多い。ピクテ投信投資顧問・ヘッドトレーダーの小野塚二也氏は「民主躍進で日本に
は厳しいとのイメージが強くなったのは事実」としながらも「今の時代、米国のメインテ
ーマは日米貿易不均衡にはなりえない。対中が重要で、対日経済政策は急速に変わらない
と思われる。今回の選挙結果が海外勢の日本株買いを止める材料にはならない」と指摘す
る。
りそな銀行・チーフストラテジストの下出衛氏も「政策運営は行き詰まる可能性がある
が、米景気は失速しているわけではなく、政府や議会による大きな支援を必要としてはい
ない」とし、きょうの日本株下落の要因としてSQをにらんだ需給要因を挙げていた。
市場では「海外勢は米中間選挙で様子見しているという事情もあるが、14日に発表さ
れる7─9月期の実質国内総生産(GDP)が悪化すると予想されるなど、景気に対する
不安感が出ていることも気にしているようだ」(エース証券・専務の子幡健二氏)との声
も出ており、むしろ日本の経済自体により注目しているという。
もっとも、海外勢が日本株を買い続けるとしても、物色対象が変化する可能性が指摘さ
れている。市場では、民主党勝利で有利な産業として、政府系企業、ライフサイエンス関
連企業、代替エネルギー関連企業、生命保険関連企業などが挙げられていた一方、共和党
勝利で有利な産業として、薬品、石油・エネルギー、通信、レストラン、タバコ、損害保
険、政府IT関連などがピックアップされていた。
ある準大手証券のトレーダーは「石油など明らかにブッシュ政権下で恩恵を受けていた
とみられる産業は、株価見通しに不透明感が出てくる。米系の資金などは、こうした点を
踏まえ日本株の物色対象を選別することもありそうだ」と語っていた。