10/28 イートレード
米国株式市場=反落、予想下回る米GDPを嫌気
06/10/28 07:01
(カッコ内は前営業日比)
ダウ工業株30種(ドル) <.DJI>
終値 12090.26(‐73.40)
前営業日終値 12163.66(+28.98)
ナスダック総合 <.IXIC>
終値 2350.62(‐28.48)
前営業日終値 2379.10(+22.51)
S&P総合500種指数 <.GSPC> <.SPX>
終値 1377.34(‐11.74)
前営業日終値 1389.08(+ 6.86)
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[ニューヨーク 27日 ロイター] 米国株式市場は反落。この日発表された第3・
四半期の米国内総生産(GDP)伸び率が、約3年ぶりの弱い数字となったことを嫌気し
た。また、ゴールドマン・サックスの報告書を受け、インテル <INTC.O> などの半導体株が
売られた。
キャタピラー <CAT.N> やウォルマート <WMT.N> などの景気循環株が軟調。キャタピラーは
1.7%安、ウォルマートは2%安となった。
ゴールドマン・サックスはこの日、「マザーボード」の需要が鈍化しているとの報告書
を発表。これを受け、インテルは3.1%安、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AM
D) <AMD.N> も3%安と売られた。
ダウ工業株30種 <.DJI> は73.40ドル(0.60%)安の1万2090.26ドル。
ナスダック総合指数 <.IXIC> は28.48ポイント(1.20%)安の2350.62。
S&P総合500種指数 <.GSPC> <.SPX> は11.74ポイント(0.85%)安の
1377.34。
この日発表された第3・四半期米GDP伸び率(速報値)は、年率1.6%の伸びとな
り、予想の2.2%を下回った。一方、市場は、10月の米ミシガン大学消費者信頼感指
数には反応薄だった。
産業機械大手のインガソール・ランド <IR.N> は3.7%安。第3・四半期決算の数字が
嫌気されたほか、第4・四半期の見通しが市場予想に届かないと発表したことに圧迫され
た。
一方、シェブロン <CVX.N> は予想を上回る決算が好感され0.3%高となった。
UPDATE2: 9月全国コアCPIは予想下回る、石油製品の押上げ寄与が鈍化
06/10/27 10:59
[東京 27日 ロイター] 総務省によると、9月の全国消費者物価指数(生鮮食品
を除く総合、コアCPI、2005年=100.0)は前年比0.2%上昇の100.4
となった。8月は0.3%の上昇だった。上昇は4カ月連続となった。ロイターがまとめ
た民間調査機関の予測では、前年比0.3%の上昇になるとみられていたが、発表の数字
は予測を下回った。石油製品のCPI押し上げ寄与度は、やや鈍化した。
石油製品はCPI押し上げに寄与したものの、押し上げ寄与度は0.43%ポイントと、
8月の0.48%ポイントから鈍化した。
石油製品の前年比の伸びをみると、ガソリン、灯油の上昇幅が大きい。ガソリンは
10.4%上昇(押上げ寄与0.24%ポイント)だった。
薄型テレビやパソコンなどの教養娯楽耐久財(18.1%低下)、移動電話通信料
(6.6%低下)などはCPIを押し下げた。
総合指数は前年比0.6%の上昇(8月は0.9%上昇)だった。全国の食料(酒類を
除く)およびエネルギーを除く総合指数は前年比で0.5%低下(8月は0.4%低下)
した。
一方、10月(中旬速報値)の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCP
I、2005年=100.0)は、前年比0.1%上昇の100.3となった。9月は横
ばいだった。
ロイターが事前にまとめた民間予測調査では、東京都区部コアCPIの予測中央値は前
年比0.1%上昇だった。発表の数字は予測と一致した。10月の前年比ベースでの上昇
は1998年8月以来。総務省によると、押し上げ要因は石油製品のほか、家賃、衣服、
診療代など。
石油製品は8.2%上昇したが、9月の11.5%上昇からは減速した。ガソリンは7.
4%上昇し、CPI総合指数を0.07%ポイント押し上げた。一方、薄型テレビ、パソ
コンなどの教養娯楽耐久財や移動電話通信料は下落した。
総合指数は前年比0.5%の上昇(9月は0.5%上昇に上方修正された)だった。
食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数は前年比で0.1%の低下(9月
は0.3%低下)だった。
発表を受けて債券市場からは、「市場予想のプラス0.3%を下回ったが、直近の円債
市場ではプラス0.2%という数字を半分以上織り込んでいたため、サプライズはなく、
市場に対する影響も限定的になりそうだ」(リーマン・ブラザーズ証券チーフJGBスト
ラテジスト 山下周氏)との声が出ている。
ただ市場予想を下回ったことで「10月以降はガソリン価格の反落などの影響を受ける
ため、今後CPIの上昇幅は0.5%に近づくというよりも、ゼロ近傍で推移するとのイ
メージだ。少なくとも、日銀の年内利上げについては、物価面から困難になったとみてい
る」(大和総研・債券ストラテジスト 奥原健夫氏)との見方もあった。
指数の前月比、前年比は以下のとおり。
10月東京都区部消費者物価
[伸び率:%]
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│ 東京都区部・総合 │ 生鮮食品を除く・総合
┝━━━━━━━┯━━━━━━━┿━━━━━━━┯━━━━━━━
│ 前月比 │ 前年比 │ 前月比 │ 前年比
━━━━━━━━┿━━━━━━━┿━━━━━━━┿━━━━━━━┿━━━━━━━
10月 | 0.0 | +0.5 | +0.1 | +0.1
9月 | 0.0 | +0.5 | +0.1 | 0.0
8月 | +0.6 | +0.8 | +0.2 | 0.0
7月 | ‐0.3 | +0.2 | ‐0.2 | 0.0
6月 │ ‐0.1 │ +0.3 │ ‐0.1 │ 0.0
06年 5月 | +0.3 | 0.0 | +0.2 | ‐0.1
━━━━━━━━┷━━━━━━━┷━━━━━━━┷━━━━━━━┷━━━━━━━
(注)2005年=100
9月全国消費者物価
(単位:%)
━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━
│ 全国・総合 │ 生鮮食品を除く・総合
┝━━━━━━━┯━━━━━━━┿━━━━━━━┯━━━━━━━
│ 前月比 │ 前年比 │ 前月比 │ 前年比
━━━━━━━━┿━━━━━━━┿━━━━━━━┿━━━━━━━┿━━━━━━━
9月 | 0.0 | +0.6 | +0.1 | +0.2
8月 | +0.7 | +0.9 | +0.2 | +0.3
7月 | ‐0.3 | +0.3 | ‐0.1 | +0.2
6月 | 0.0 | +0.5 | 0.0 | +0.2
5月 | +0.3 | +0.1 | +0.2 | 0.0
06年 4月 | +0.2 | ‐0.1 | +0.1 | ‐0.1
━━━━━━━━┷━━━━━━━┷━━━━━━━┷━━━━━━━┷━━━━━━━
(注)2005年=100
再送:〔焦点〕対米輸出好調で米国発の景気減速観測が後退、外需がGDP押し上げも
06/10/26 08:54
*この記事は、25日夕方に送信しました。
寺脇 麻理記者
[東京 25日 ロイター] 輸出の好調さが9月貿易統計で示され、国内景気の先行きを楽観する声がエコノミストの間で広がり出した。対米輸出の強さを背景に、懸念されていた米経済の減速の影響が軽微にとどまるとの見通しが出てきていることが大きく影響しており、11月14日に発表の7─9月期GDP1次速報値では、外需がGDPを押し上げる構図が鮮明になりそうだ。
財務省が25日午前に発表した9月貿易黒字額は前年比6.9%増の1兆0140億円となり、2カ月連続で増加した。原油価格の下落傾向が響き、輸入額が前年比16.9%増とエコノミスト予想を大幅に下回ったことから、貿易黒字額は予想を上回る1兆円乗せとなった。 実効為替レートもプラザ合意以来の円安水準を付け、好調な米欧向け自動車輸出などに支えられて、輸出額は前年比15.3%増となった。対米輸出額、対米黒字ともに9月は過去最高を記録した。 価格変動を除いた数量ベースで輸出は前年比8.0%増と高い伸びを続けており「現在進行中である米国経済の減速による日本の輸出への影響は見られない」(カリヨン証券・チーフエコノミスト・加藤進氏)との声が出ている。
日銀が25日午後に発表した9月実質輸出(2000年=100.0)は143.5となり、8月の147.2を下回った。信金中金総合研究所・上席主任研究員の角田匠氏は「過去最高となった8月の反動が出て、9月の低下は一時的。米国経済減速の影響が出たとは考えない。7─9月期をならしてみると、堅調な伸びとなっており、米国経済が意外に堅調なことを示している」と指摘している。 第一生命経済研究所・副主任エコノミストの長谷山則昭氏は「米国経済の減速が鮮明になってきていることから、先行きの輸出がある程度鈍化するとの見方は変わっていないが、思ったよりも7─9月期の輸出は強いという印象だ」として、足元までは堅調だと分析する。 米国経済のソフトランディング見通しや円安傾向なども踏まえて、リーマンブラザーズ証券・エコノミストの白石洋氏は「輸出の急減速は避けられそうだ。問題は内需がどの程度勢いを保てるかということだが、外需が腰折れしない限り、景気回復の大きな流れは変わらないとみている」とコメントしている。 野村証券金融経済研究所・シニアエコノミストの木内登英氏は「足元の輸出が堅調に推移していることが示された。日本の輸出は来年半ばあたりまで増勢を鈍化させるとみられるが、腰折れに至る可能性は低い」との見方だ。日本経済は一時的に回復の勢いが鈍化する場面が想定されるものの、設備投資と個人消費を中心とした内需主導の拡大が継続するとしている。 ただ、日銀とエコノミストの見方には、なおかい離が生じている。農林中金総合研究所・主任研究員の南武志氏は「米国の景気減速の影響は日本経済にはあまり影響しないか、もしくは輸出が鈍化しても民需に自律性が備わってきたので懸念するには値しないとの意見が、日銀を初めとして根強いが、過信は禁物だ」と指摘。GDPへの影響が大きい輸出が減少すると、マイナス効果が民間最終需要に波及するおそれがあるという。 米国経済について日銀は、住宅市場の調整が加速する一方で、個人消費や経済全体への悪影響はかなり限定的となっており「これまでのところはソフトランディング・シナリオの範囲内」(定例会見で福井総裁)などとしている。
11月14日には7─9月期GDPが発表される。貿易統計などを踏まえると、外需寄与度はプラス0.3%ポイントからプラス0.4%ポイント(4─6月期はマイナス0.1%ポイント)になるとの試算が複数のエコノミストから出ており、外需は実質GDPの押し上げ要因に転じる見通しだ。
〔アングル〕ソフトバンクの新料金発表、早期追加利上げに逆風との見方が浮上
06/10/24 14:02
[東京 24日 ロイター] ソフトバンクモバイルが23日に発表した携帯電話新料金プランが誘発剤となり、市場が予想する日銀の早期追加利上げがより困難になるとの観測が民間エコノミストの間で浮上してきた。新料金プランそれ自体のCPIへの影響は軽微と見られるものの、携帯電話料金の値下げ競争に火が付く可能性があり、今月末に発表される日銀の展望リポートへの影響も予想されるためだ。 <11月全国コアCPIへの影響は軽微との予想も> ソフトバンクは、24日の携帯電話の番号継続制(MNP)開始を前に、条件付きながら業界初の「かけ放題」を含む新料金プランを発表した。 総務省は携帯電話通信料を算出する際に、加入者数の多い3社の価格を加重平均して採用しているため、今回の新プランが幾ばくか全国コアCPI押し下げに寄与するとみられている。 昨年11月の携帯電話通信料値下げによる物価押し下げ圧力が一年たってはく落し、今年11月以後は、全国コアCPIを前年比で0.14%ポイント程度押し上げると期待されていただけに、物価上昇を期待する向きにとっては水をさされた格好となった。 しかし、携帯電話の料金体系が複雑なこと、総務省が新料金プランのどの部分をどの程度採用するかが不透明なことなどから、CPIがどのくらい押し下げられるかは、実際に11月の数字が発表されるまでは分からないという。 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストによると、今回の新料金プランで確実にコアCPIに押し下げに寄与すると言えるのは、月額基本使用料金を他事業者の同等プランより210円安く設定したという部分だけという。同氏によれば、この分けだと押し下げ寄与は「ごくわずか(マイナス0.001%程度)」という。 また「今回のサービスは、期間も対象者も限定されているので、総務省がコアCPIに反映させない可能性がある」(モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕エグゼクティブ・ディレクター)との声もある。同氏は「反映されても影響はネグリジブル」と予想した。 <今後の追随値下げ、展望リポートへの影響に注目> しかし、より重要なのは、今回のソフトバンクの動きが、携帯電話料金の値下げ競争を誘発する可能性があることだ。ソフトバンクは、他社が値下げを発表した場合、24時間以内に対抗値下げをするとしており「連鎖的に値下げ競争が激化する可能性がある」(上野氏)状況だ。 カリヨン証券の加藤進チーフエコノミストも「日本の携帯電話料金は割高で下げ余地がある。今後も方向として料金が下がるトレンドが続く」と予想した。KDDI <9433.T> の小野寺正社長は10月20日に行った2006年9月中間決算会見で「こちらから料金競争を仕掛けることはないが、他社がやってきたら考える」と述べている。 また月末にも発表される日銀の展望リポートで、市場が最も注目している07年のCPI見通しに影響を与える可能性もあるという。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「今回の動きで、慎重な審議委員はCPI見通しを弱めに置く可能性がある。そうなれば見通しのレンジが広がり、それを市場がどう受け取るかが注目される」と指摘した。 上野氏も、07年度のCPI見通しを「あまり上向きにしにくくなる」と予想。追随値下げの有無を含めて、来年3─4月期が値下げのヤマ場となりそうなためという。 <年内利上げの可能性後退との見方も> 経済企画協会が12日に発表したESPフォーキャスト調査によると、日銀の追加利上げのタイミングについては、調査対象となった36人の民間エコノミストのうち、12人が年内を予想した。 熊野氏は、追加利上げは「一番早いシナリオでは12月」としているが、それが今回の動きで「足を引っ張られる可能性がある」と指摘した。 加藤氏も「年内利上げは難しそう」と予想。ソフトバンクの動きの影響もあり、11月コアCPIが前年比プラス0.5%以上となる可能性が低くなったためだ。同氏は、追加利上げには、CPIが再び前年比ゼロ以下にならないと確信できるプラス0.5%を上回っていることが必要としている
訂正:〔焦点〕エコノミストはCPI上昇加速せずと予想、早期利上げでは見方交錯
06/10/27 17:05
訂正:本文3段落目の「下落幅縮小」を「上昇幅縮小」に訂正します。
児玉 成夫記者
[東京 27日 ロイター] 9月全国消費者物価(生鮮食品を除く、コアCPI)の発表を受けて、民間エコノミストからは、物価上昇が加速する兆候は少なく、物価面からは早期の追加利上げの必要ないとの指摘が多く出ている。しかし、日銀が物価以外の要因をより注視しフォーワード・ルッキングな金融政策姿勢を強めていることもあり、年内、年度内の利上げを予想する声も依然残っている。
<石油製品の上昇鈍化、CPI全体に影響> 9月全国コアCPIは、前年比プラス0.2%となり、市場予想(プラス0.3%)や8月(プラス0.3%)の実績値を下回った。こうした結果についてエコノミストからは「消費者物価が順調に上昇していくという楽観的な見通しに疑問を投げかけた」(ドイツ証券の安達誠司シニアエコノミスト)とのコメントが聞かれた。 上昇(訂正)幅縮小の主因は、石油製品価格の上昇鈍化。石油製品価格は前年比プラス11.5%にとどまり、8月のプラス13.2%から鈍化した。CPI押し上げ寄与度も、8月の0.48%ポイントから、9月は0.43%ポイントに低下した。 エコノミストの間では、10月全国コアCPIの上昇幅も前年比プラス0.2%にとどまり、加速しないとの見方が多い。 全国コアCPIの先行指標である、東京都区部コアCPIの10月速報は前月比で0.1%上昇、 前年比も0.1%上昇となった。10月全国コアCPIも同様に前月比0.1%上昇すると仮定すると、10月全国コアCPIの指数は100.5程度となり、前年比で0.2%の上昇になる。
11月については、上昇幅がやや拡大するとの見方が多い。昨年11月の携帯電話通信料値下げによる物価押し下げ圧力が、1年たってはく落するため、全国コアCPIは前年比で0.14%ポイント程度上昇するという。 また、需給ギャップ改善も、引き続き物価押し上げに寄与するという。内閣府によると、4─6月期の需給ギャップはプラス0.3%と、3四半期連続でプラス圏内にとどまっている。 一方、原油価格の大幅下落による石油製品価格下落は、物価上昇圧力を弱める方向に働きそうだ。全国CPIの先行指標とみられている東京都区部CPIをみると、10月の石油製品価格は前年比プラス8.2%と、9月の同11.5%から鈍化した。
<携帯電話の競争激化や電気・ガス料金、CPIのかく乱要因に>
その後については、原油相場がどこまで下落するかなど、不透明要因が多い。不透明感を増幅しているのが、23日に発表されたソフトバンクモバイルの携帯電話の新料金プランだ。これについては、仮に総務省が物価算出の際に考慮するとしても、物価への影響は限定的との見方が多い。 しかし、新価格プランが誘発剤となり「再び価格競争が始まる可能性もある」(農林中金総合研究所の南武志主任研究員)。そうなれば物価への影響は無視できない。新基準での携帯通信料の全国CPI総合に対するウェイトは1万分の208と、旧基準(1万分の74)の3倍程度になっており、物価への影響力は大幅に増大しているためだ。
さらに今後の電気・ガス料金の動きも、物価動向の見通しを難しくしている。電気・ガス合計のウェイトは1万分の464と、携帯通信料の2倍以上。電力・ガス会社は3カ月に1度、燃料である石油・LNG価格や、為替変動などを反映して、料金を見直しているが、今年7─9月期の原油相場が強含んだため、来年1─3月期の料金は引き上げられるとの見方が多い。 しかし、それ以後、原油相場が大きく下落したため、来年4─6月期には引き下げに転じるとの見方が強い。
民間エコノミストの試算では、今後、物価が着実に上昇してくる基調ではないとの見方が多い。日興シティグループ証券の村嶋帰一ディレクターの試算によると、全国コアCPIは10月に前年比プラス0.1%と伸びを低下させた後、07年春にかけて前年比プラス0.2%で「全く加速しない」と予測する。 また、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストも、石油製品の伸びが急速に鈍化するとみられることや、7─9月期国内総生産(GDP)も4─6月期同様に潜在成長率を下回るとみられる点、米国経済の減速を背景に日本の成長が鈍化し、需給ギャップは当分改善しないとして、CPIの前年比伸び率は加速しないと予想した。07年度でも前年比でプラス0.3%程度にとどまるとみている。
こうした要因もあり「足元の物価環境を踏まえれば、日銀が短期的に利上げに踏み切るのは困難」(RBS証券の山崎衛チーフエコノミスト・ジャパン)、「日銀が追加利上げを急ぐような理由は、少なくとも物価面からは全く見当たらない」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との見方が多かった。
<日銀はCPI離れの可能性、総合判断なら早期利上げも>
一方、物価上昇圧力は限定的としながらも、年内、年度内の利上げを予想する向きもある。大和総研の牧野潤一シニアエコノミストは「12月の再利上げの可能性は残る」と警告した。日銀が物価だけに偏らず、総合的な判断を重視し始めたためだ。日銀が重視しているとされる鉱工業生産は、8月に過去最高水準を更新し、7─9月期も堅調な増加が予想されている。 村嶋氏もコアCPIの低位安定は「日銀にとって利上げのハードルにならない」として、同様の理由で来年1月の追加利上げを予想した。 経済企画協会の10月ESPフォーキャスト調査によると、民間エコノミスト36人のうち、年内利上げ予想は12人、年度内予想は26人と過半数を占めた。11月10日の次回発表で予想分布がどのように変化しているか注目される。