10/27 ブルームバーグ 記事2
【来週の日本株】止まらぬ世界株高、日本の追随続く-米金利に安定感
10月27日(ブルームバーグ):来週(30日-11月2日)の日本株相場は、小幅上昇となる見通し。世界的な株高による日本株の出遅れ修正と、良好な企業業績を背景に、下値を切り上げる基調が続きそうだ。輸出関連の時価総額上位銘柄をリード役として、日経平均株価は心理的な節目である1万7000円を試す展開も予想される。
もっとも、日米とも上昇基調が続いて株価水準が高くなっていることから、上値では売り圧力が高まりやすい状況となっている。来週は日米ともに重要な経済指標が相次ぐだけに、指標の内容に加え、米国株の場合は株価や金利の動向に注視が必要だ。
東海東京調査センターの中井裕幸取締役は、「米国株式市場は高値警戒感を伴いながらも、長期金利の落ち着きなどから上昇基調は今後も続くだろう。日経平均株価は早晩、1万7000円を目指す可能性が高い」と指摘する。 米国の長期金利は9月下旬の4.54%から、10月23日には4.8%台まで反転上昇したものの、足元は4.7%台推移している。
今週の日本株は、日経平均株価が先週末に比べて小幅高となった。米国株高や企業業績への期待から、日経平均株価は終値ベースで5カ月半ぶりとなる1万6800円台まで上昇。需給の節目とされる5月の急落時のチャート上の「窓(1万6840円と1万6655円の間の空白部分)」も埋めたことで、戻り売りをこなすだけの強い買い意欲が出てきたとの指摘が出ている。ただ、下値を切り上げる一方で、1万7000円に近づく局面では上値の重さも認識される1週間となった。
米国市場動向が焦点に
来週の焦点は米国株式動向と国内企業の決算内容だ。今週は、米ダウ工業株30種平均が連日のように高値を更新し、26日にはハイテク企業の構成銘柄が多いナスダック総合指数も2001年2月以来の高値をつけた。現在の世界同時株高をけん引しているのが米国株高だけに、米国動向には引き続き注視が必要になる。
特に東京市場は、前日の米国株高を受けて取引開始直後こそ上昇するものの、その後は一貫して下落するという相場展開が今週は3日間もあった。こうした動きについて、市場では「米国株高による出遅れ感が最も大きな買い材料となっている表れで、当面の相場先行きは米国動向に左右される」(十字屋証券第1ディーリングチームの岡本征良チームリーダー)との見方が出ている。
FOMC声明が軟着陸を示唆
米国では25日、連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25%に維持することを決めた。市場の予測通り、金利は3回連続で据え置かれたことになる。声明では景気の底割れはなく、景気のソフトランディング(軟着陸)に成功し、中長期的にインフレ率も低下していくとしていた。 ライル・グラムリー元FRB理事はFOMCの決定について、「私の感触ではFOMCは恐らく、今後6カ月ないし9カ月間にわたり金利を据え置くことになるだろう」と述べている。
FOMCでマクロ景気に対する警戒感が一段と緩和されるとともに、7-9月企業業績の好調も鮮明化している。25日時点でS&P500種構成銘柄の約半数が四半期決算を発表したが、そのうち約73%が事前予想を上回った。ブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、1992年以来の平均は同 57%だった。
大和投資信託投資調査本部の長野吉納シニアストラテジストによると、「米国企業の7-9月業績は予想以上に好調に推移している。4-6月業績の増益率を下回ると事前に予想されていたが、上回る可能性が出てきた」という。
米国株相場は、連騰後とあってテクニカル分析上は過熱感が出ているものの、長期金利の安定や企業業績の好調が相場を下支えする基調は今後も続くとの見方が多い。来週11月1日には、10月のISM(米供給管理協会)製造業景況指数を控えているが、仮に指数が下振れするようなら、利下げ期待の高まりとなって株式相場にプラスになる公算がある。
企業業績は予想通り順調
一方、今週からは国内3月期決算企業の9月中間決算発表が本格化してきた。新光総合研究所によると、26日までに発表を終えた114社(発表率 9.3%)では売上高が前年同期比8.6%増、経常利益は同6.6%増となった。大和住銀投信投資顧問の門司総一郎チーフストラテジストは、「決算内容はおおむね好調に推移している」と評価する。
足元の好調を受け、市場の関心は通期業績の見通しに移った。発表企業ベースでの07年3月期通期経常利益は、前期比0.6%増。上期が6.6%増のため、仮に通期で企業側の予想通りとなる場合、下期(10月-07年3月)は逆に前年同期比4.4%減益の計算になる。上期業績が前年比増益を達成した企業で、通期業績を上方修正した企業は40%にとどまっており、企業業績の上方修正期待はなお強く、来週も相場の下値を切り上げる役目を果たしそうだ。
通期慎重の重み、鉱工業生産や米雇用統計の発表も
ただ、日経平均は27日までの1カ月間で20%上昇した。株価水準が高くなっただけに、「決算内容の悪い企業は大きく売られ、良くとも材料出尽くしで下げる可能性がある」(ベアー・スターンズ証券・倉持宏朗マネージングディレクター)との声も聞かれている。通期業績の上方修正の少なさが、相場全般の上値の重さにつながっているのも事実であり、期待と現実の狭間で、来週以降どれだけ通期を増額する企業が増えるかも、方向性を占うポイントになる。
来週の日本株相場に影響を与えそうな予定では、米国では30日にPCE(個人消費支出)デフレーター、11月1日に10月のISM製造業景況指数、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長講演、3日に雇用統計の発表などがある。国内では30日に9月の鉱工業生産、31日に日本銀行の金融政策決定会合と日銀「経済・物価情勢の展望」(基本的見解)、1日はアコーディアゴルフの新規上場などがある。 国内の鉱工業生産は、ブルームバーグ・ニュースの事前調査で前月比 0.9%減と2カ月ぶりに減少となる見込み。
このほか、国内の主な決算発表では、30日にTDKや京セラ、31日にJTやコマツ、デンソー、三菱重工業、1日にはブリヂストン、スズキ、2日はマツダなどが予定されている。
10月27日の海外金融・株式・為替市場
○米国株:反落。朝方発表された第3四半期の国内総生産(GDP)速報値が過去3年間で最も低い伸び率にとどまったことから、現在の企業の業績見通しが高すぎるとの懸念が広がり、株式相場は今週初めて下げに転じた。下げ幅はこの2カ月近くで最大。
半導体最大手のインテルを中心にテクノロジー株が下落。米証券大手のゴールドマン・サックス・グループが、第4四半期のマザーボード出荷の伸びの見通しを引き下げたことが嫌気された。小売業最大手のウォルマート・ストアーズも下げ、インテルとともにダウ工業株30種平均を構成する銘柄中で特に軟調だった。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(ボストン)の主任投資ストラテジスト、ネッド・ライリー氏は、「短期的な企業業績の勢いに乗じて相場を押し上げていた市場参加者は失望することになろう」とし、「来年は企業業績の伸びが6%もしくは7%となれば幸運だ」と述べた。
この日の反落前には、ダウ平均は4日連続で過去最高値を更新して引けた。S&P500種株価指数は7営業日続伸していた。主要株価指数は週間ベースでは5週続伸と、昨年11月以来最長の上昇局面となっている。
S&P500種株価指数終値は前日比11.74ポイント(0.9%)下げて1377.34。ダウ工業株30種平均は同73.40ドル(0.6%)安の12090.26ドル。ナスダック総合指数は同28.48ポイント(1.2%)下落して2350.62。この日のS&P500種とナスダックの下落幅は、9月6日以来最大。
週間ベースの上昇
週間ベースではS&P500種は0.6%上昇。ダウ平均は0.7%高。ナスダックは0.4%上げた。
米商務省がこの日発表した第3四半期のGDP(季節調整済み、年率)速報値は実質ベースで前期比年率1.6%増と、前期確定値の同2.6%増から伸びが鈍化した。住宅建設の落ち込みや貿易赤字の拡大が響いた。ブルームバーグ・ニュースがまとめた同期GDPのエコノミスト予想中央値は2%増だった。
GDP統計は米景気拡大が今後鈍化することを示唆しているとの懸念が広がり、株式相場では売りが加速した。アライアンスバーンスティーンの経済調査部門ディレクター、ジョー・カールソン氏は、GDP統計に示された自動車生産の増加は物価調整のために押し上げられたとして、次の四半期では反転するとの見方を示した。
JPモルガン・プライベート・バンクの株式ストラテジスト、ジャック・キャフリー氏は、「市場参加者は、GDPが予想よりやや弱かったと指摘している。この機会を利益確定のきっかけとすべきだろう」とし、「この日の株式相場の反落は実際、それほど意外ではない」と述べた。
消費者信頼感
GDP統計は株価を押し下げたものの、他の経済指標は消費者支出と消費者信頼感が引き続き力強いことを示した。第3四半期の個人消費は年率3.1%と、前期の2.6%から上昇。また、米ミシガン大学が調査した10月の消費者マインド指数(確定値)は93.6と、9月の85.4から上昇し、1年3カ月ぶりの高い水準を記録した。
インテルは前日比3.1%下落し、ダウ平均の構成銘柄中で最大の下げとなった。テクノロジー企業からなる指数は1.6%下げ、S&P500種の業種別10指数中で値下がり率が最大となった。
ウォルマート下落
小売銘柄も景気拡大見通しを受けて下落。ウォルマートは2%安と、ダウ平均中で2番目に軟調となった。米百貨店大手のフェデレーテッド・デパートメント・ストアーズや庭用品小売り最大手ベッド・バス・アンド・ビヨンドも下げた。
消費財関連銘柄は0.9%安。また、GDP統計で住宅市場の軟調が示されたことから、S&P500種構成銘柄中では住宅建設会社が軟調。住宅建設のパルト・ホームズやD.R.ホートンが下落した。
生命保険・住宅ローン保険会社ジェンワース・ファイナンシャルも安い。同社が発表した06年7-9月(第3四半期)の投資損失を除くベースでの1株当たり利益は66セントだった。これはバンク・オブ・アメリカ証券のアナリスト、タマラ・クラベック氏の予想同72セントを下回った。米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)は3月にジェンワースの発行済み株式の残り全部を売却した。
携帯電話サービスのオールテルも売られた。同社は新規加入者数が予想に届かなかったと明らかにした。同社の継続事業ベースでの1株当たり利益は60セントと、トムソンがまとめた24人のアナリストの予想平均64セントを下回った。
○米国債:4日続伸。2006年第3四半期の国内総生産(GDP)が減速し、インフレの落ち着きを示したことから買い進まれた。週間ベースでは、2週連続高となった。
GDP統計発表後に10年債利回りは3週間ぶり低水準になった。今週の米国債相場は、連邦公開市場委員会(FOMC)が金利を据え置き、インフレは落ち着くとの見通しを示したことで、地合いが改善した。
バークレイズ・キャピタルの金利ストラテジスト、マイケル・ポンド氏は、GDP統計を受け、「来年初めの利下げを予想している債券強気派が、若干勢いづいた」と話した。
キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時2分現在、10年債利回りは前日比約4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて4.675%。同利回りは週間ベースで11bp低下した。
10年債(表面利率4.875%、2016年8月償還)の価格は27日に約3/8上げて101 17/32。2年債利回りは4.74%と、今月10日以来の低水準を付けた。週間では13bpの低下。
午前8時半に発表された7-9月期のGDP速報値は実質ベースで前期比年率1.6%増と、前期の同2.6%増から伸びが鈍化した。住宅建設の落ち込みや貿易赤字の拡大が響いた。ブルームバーグ・ニュースがまとめた同期GDPのエコノミスト予想中央値は2%増だった。
伸び悩む場面も
午前10時に判明した10月のミシガン大学消費者マインド指数が上昇したことで、債券は伸び悩む場面もあった。同消費者マインド指数(確定値)は93.6 と、9月の85.4から上昇し、1年3カ月ぶりの高い水準を記録した。エコノミスト予想中央値は92.7だった。
一部投資家は、原油価格の低下で、10-12月期の景気が持ち直し、米国債にとって悪材料になると懸念している。モルガン・スタンレーの金利ストラテジー責任者ジェームズ・キャロン氏は、顧客向けリポートで、「この上昇は続かないはずだ」と指摘した。同氏は10-12月期の成長率が3%を上回ると予想している。
また、GDP統計のなかで、変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコア価格指数は同2.3%上昇し、伸び率は前期の同2.7%上昇を下回った。
金利先物
GDP統計発表後の金利先物相場は来年1月の利上げ観測を約6%織り込んだ水準。今週はじめに同先物相場は、1月に利上げが実施される確率を14%織り込んでいた。
FOMCは25日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を5.25%で据え置いた。声明では、「インフレ圧力は時間をかけて落ち着く可能性が高い」とし、さらに景気について、「年初からこれまでにかけて減速しきた」と分析した。
FOMC前の債券市場では、米当局がインフレに対する警戒を示すとの観測から、10年債利回りは5週間ぶり高水準付近で推移していた。
AIGサンアメリカ・アセット・マネジメント(ニュージャージー州ジャージーシティー)で債券資産20億ドルの運用に携わるマイケル・チア氏は、25日のFOMC声明に予想ほどタカ派の要素が見られなかったことから、「パニック的な買いが入っている。」と話した。
○NY外為:ドルが下落。円に対しては約5週間で最大の値下がりを記録、ユーロに対しても下げた。米商務省が発表した7-9月(第3四半期)の実質国内総生産(GDP)速報値で景気減速が示されたのを背景にドルが売られた。
GDPの発表をきっかけに、事前に設定していた対円でのドル売り注文が発動、トレーダーは円に対してのショートポジションを手仕舞った。
INGキャピタル・マーケッツの通貨トレーディング担当ディレクター、ジョン・マッカーシー氏(ニューヨーク在勤)は、「GDPはドル売りの触媒となった。ドル相場が下落し、年初来の水準を抜けるには、対円でのドル売りが欠かせない」と語った。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で1ドル=117円60銭、前日遅くは同118円38銭だった。対ユーロでのドルは過去約5カ月間で最長の4日続落し、1ユーロ=1.2742ドル。前日は1.2694ドルだった。
ドルは、南アフリカ共和国のランドや英ポンド、スイス・フランに対しても下落。ブルームバーグが集計した主要16通貨のうち13通貨で値下がりした。
円は対ユーロで149円84銭と、前日の同150円27銭から上昇、約2週間ぶり最大の値上がりを記録した。米GDP発表前の対ユーロでの円相場は一時、最安値の150円74銭をつけた。
週間ベースでもドル下落
ドル相場はユーロと円に対して2週連続で下落。週間ベースでのドルは対円とユーロで1%下落した。
第3四半期の米GDP速報値は実質ベースで前期比年率1.6%増にとどまった。住宅建設の落ち込みや貿易赤字の拡大が影響した。ブルームバーグ・ニュースがまとめた同期GDPのエコノミスト予想中央値は2%増だった。
BMOキャピタル・マーケッツの通貨ストラテジスト、アンドルー・ブッシュ氏(シカゴ在勤)は、「GDPはすでに市場で理解されている状況を裏付けた内容だったが、その伸び率は予想を下回った」と語った。
トレーダーは、日本の消費者物価(CPI)統計を受け、日本銀行による利上げ観測を後退させ、円がドルとユーロに対して下落すると見込んでいた。総務省が27日発表した9月のCPIは、生鮮食品を除いたコア指数の前年比上昇率が0.2%上昇だった。ブルームバーグが事前にエコノミストを対象にまとめた調査では、0.3%上昇が見込まれていた。
米ミシガン大学が調査した10月の消費者マインド指数(確定値)は93.6と、9月の85.4から上昇し、2005年7月以来の高い水準を記録した。
第3四半期GDPは、住宅建設が過去15年間で最大の落ち込みだったほか、個人消費の加速が外国製品の需要を押し上げ、貿易赤字が拡大したのが押し下げ要因。ただ、企業の設備投資と個人消費の拡大が景気を支え、米経済は「穏やかな」成長になるとエコノミストらは見ている。
GDPはドル売りの新たな材料
ソシエテ・ジェネラルの上級為替トレーダーのクリスチャン・デュポン氏は、「ドルが苦戦しても驚かない。GDPはドル売りの新たな材料になる」と語った。
金利先物市場動向によると、来年1月31日のFOMC会合でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標が引き下げられる確率は6%となっている。また、来年3月21日の会合で利下げが決定される確率は40%が織り込まれている。
2007年第1四半期の利下げ期待について、RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツ(コネティカット州グリニッチ)の国際通貨戦略主任、アラン・ラスキン氏は、「市場は先走っている」と語り、「コアCPI指数を例に挙げても、インフレの安定圏と呼べる水準まで改善されていない」と指摘した。
○英国債:30年債に対する2年債の上乗せ利回りが2001年以来最大に拡大した。
今月に入り、2年債利回りは長期債より上昇ペースを速めた。インフレがイングランド銀行(中央銀行)の目標を上回っていると示されたことから、早ければ11月にも利上げを実施するとの観測が強まったことが背景。一方の30年債は、長期的な運用手段を必要とする年金基金からの買いに支えられ、利回りが押し下げられている。
4キャストの債券ストラテジスト、エリック・ワン氏(ロンドン在勤)は、「イングランド銀が金利を引き上げようとしているため、短期債は行き場を失っている」と指摘。「長期的な運用資産を必要とする投資家は買いを入れるしかない。この要素はいつまでも続く」と付け加えた。
英2年国債の利回りはロンドン時間午後4時半現在で5.02%と、30年債利回りを98ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上回り、2001年1月26 日以来最大の格差に拡大した。4キャストのワン氏は、数週間内に利回り格差は 1ポイントに達するとみている。2年債(2008年3月償還、表面利率5%)の価格は0.03ポイント上昇して99.96。
○欧州債:2年国債相場は週間ベースで5週連続安となり、ここ4カ月で最長の下げとなった。ドイツの企業景況感と消費者信頼感指数の改善で、欧州中央銀行(ECB)は来年以降も利上げを継続すると見られた。
金利動向に敏感な2年債利回りは今週、4年ぶり高水準となった。10年債との利回り格差は2000年以来の最小規模に縮小した。欧州中央銀行(ECB)のジャンクロード・トリシェ総裁は26日、欧州議会で、「インフレリスクは引き続き上振れ方向にある」と話した。
カリヨン(ロンドン)の債券戦略部門責任者、デービッド・キーブル氏は、「ドイツの企業景況感指数と消費者物価指数の上昇および、ECB当局者からの発言は、欧州の成長加速とインフレ高進を示唆している」と話した。
ドイツ2年国債の利回りは27日ロンドン時間午後5時半現在、前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し、3.71%。週間ベースでは2bp上昇した。同国債(2008年9月償還、表面利率3.5%)の価格は27日に0.03ポイント上昇し99.63だった。
米財務長官、ヘッジファンドのリスク査定強化を-インタビュー
10月27日(ブルームバーグ):ポールソン米財務長官は27日、ブルームバーグ・ニュースのテレビインタビューに応じ、1兆3000億ドル規模のヘッジファンド業界について、規制当局は投資家保護を確実にし、ヘッジファンドがもたらしかねない連鎖リスクを十分に把握することが必要だと述べた。
ポールソン長官は、「規制当局はヘッジファンドの情報開示が十分であるか、また、現在の金融システムが十分な流動性を確保しているかを調べる必要がある」と語った。
財務省が中心となって運営する作業部会は、ヘッジファンドが金融市場に与える影響を調査している。同調査には、米証券取引委員会(SEC)や連邦準備制度理事会、米商品先物取引委員会(CFTC)も関与している。
ヘッジファンド、アマランス・アドバイザーズが先月、天然ガス取引の失敗で破たんに追い込まれたことで、ヘッジファンドに対する規制強化を求める声が高まっている。米上院財政委員会のチャールズ・グラスリー委員長(共和、アイオワ州)は今月、ポールソン長官に対して、ヘッジファンドに投資する米退職基金の運用リスクが高まると訴え、ヘッジファンドの透明性向上に向けた取り組みを求めた。
ポールソン財務長官は、「様々なリスクをすべて考慮し、積極的ながらも、慎重な対応が必要だ。ヘッジファンドはこれまで金融市場に大きく貢献し、プラスの影響をもたらしてきた」と話した。